作業療法士は対象者の将来をイメージできているか?-「Angel Beats!」を見て考える
生活を支える作業療法
ここ近年、訪問リハビリテーションが増えてきました。作業療法士も生活場面の中で作業療法を行うことが増えて、より一層持っている力を発揮できていると思います。
ここでいう訪問リハビリテーションというのは、自宅に訪問して行うことだけを指している訳ではありません。対象者がこの先どのような生活を望んでいるか、それをどう実現していくかというところまで含まれます。
ただ目の前の課題をこなしていくことも大事ですが、それが何につながっていくのかということも考える必要があります。
かかわりのその先
TVアニメ「Angel Beats!」は、ゲーム開発会社のVisualArt's/Keyによって制作された、2010年に放送されたオリジナルアニメです。原作・脚本が麻枝准で、「泣かせる」脚本を書くことで有名な方です。
あらすじをあまり詳しく言えないのですが、主人公が意識を取り戻すと、「死んだ世界戦線」というチームと「天使」が戦っているというシチュエーションでした。一応そこは死後の世界であるということは本人も薄っすらと理解しています。(下の動画は関連ゲームのものです)
大学病院に勤務していたころ、入院中の小児科の患者さんを多く見ていたことがありました。大学病院という性格上、入院期間も長く、もう家にも戻れない子もいました。笑顔で遊びながら作業療法をしているときはいいのですが、終わって家族と話をする場面などでは、こちらも苦しくなることがありました。でも相手の前で感情は見せられません。
その仕事を辞めて、少し時間が空いてからこの作品に出会いました。
もうそれは、どうしてこんな発想が浮かぶのか、涙を流しながら見ていて不思議で仕方がありませんでした。
医療には、前に進むこともあれば、しっかりと終わらせなければならない場合もあるのです。
でも、これでようやく、自分もその感情に一区切りつけられたなと思えるようになりました。
もちろん自己満足なのでしょうが、私はこの作品に出会えて救われたと感じることができました。
日々の生活を支える仕事、というのは簡単に聞こえますが、長い道のりでもあります。自分も対象者も時間が経てばお互いに変化します。求められることも必要なことも変わってきます。
訪問リハビリテーションを依頼されたということは、その時点で課題があるということですが、課題が解消されても生活は続きます。
その先も、お付き合いできる仕組みなどがあればよいですね。
それはきっと、自分のやってきたことを振り返るためにも。