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ヴァイオレット・エヴァ―ガーデンは、なぜタイプライターを使って手紙が書けるのか?


ヴァイオレット・エヴァ―ガーデンとは?

「ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン」は2015年に出版されたラノベです。京都アニメーションが2018年からTVシリーズ、劇場版とアニメ化し大人気になりました。
絵が素晴らしく,ストーリーも心に響くもので、歴代のアニメでも人気が高い作品です。

ヴァイオレットは戦争で両上肢の上腕切断(肘の上)という大きなケガをして、両腕に義手を装着しています。それでも、文字が書けない人達に成り代わって手紙を書くという代筆屋という仕事に従事するようになりました。

義手でタイプライターが打てる?

ここで、上腕断端で義手を装着して、タイプライターが打てるのか?という疑問に当たります。
作業療法の学生によく出す問題なのですが、ただ正解を求めるわけではなく、想像力を養う問題として尋ねています。

どうやって指先をコントロールしているのだろう?
どうやって義手のような人工物と身体をつないでいるのだろう?

知識を覚えるという勉強ではなく、どうして?という疑問を持って今まで学んだことから結論を導く、というとてもよい学習材料になります。

©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会


戦争とリハビリテーション

リハビリテーションは古くから様々な領域で行われていましたが、一般に知られるようになったのは第一次世界大戦あたりからで、戦争でケガをした兵士を療養することが目的でした。
そのような理由で、切断の患者さんに対する義手・義足の適応が早くから求められていました。
ヴァイオレットも、初めはいろいろ苦しいことがありましたが、少佐に会うまではという一途な思いが、素晴らしい手紙を書けるようになった原動力になったと思います。

ところで問題の答えですが、下記の映像を見て、ヴァイオレットがどうだったか想像をしてみてください。

こちらは、現在義手で最先端を行くアメリカにあるジョンズ・ホプキンズ大学応用物理研究所の映像です。(英語ですが、映像を見るだけでもある程度理解できます)


具体的な生活上での目的を見つける


この手が動いたら、脚で歩けたらー。

患者さんや家族によく言われる言葉ですが、作業療法士はできるだけ「そうなったら何をしたいですか?」と聞くようにしています。

動いたり歩いたりすることは目標ですが、その先に何をどうしたいか、という具体的な目的がなければ、なかなかそこには到達しません。

「おじいさんのお墓参りがしたい」
そう、だから歩けるようになりたいのです。
もし、代替手段があるなら、それも含めて一緒考えます。


©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会


やりたいことを聞いて、それが実現したら、取り戻せたら,
どんなに幸せになれるだろうか―。
患者さんと一緒になってそのことを考えながら、作業療法士は日々の課題に向かっていきます。
そして、その思いを形にするためにも、こうした器具の開発や介入を通して、生活を取り戻すかかわりを私たちもしなければといつも思います。

手紙なんて、いつから書いていないでしょうか。
なんか久しぶりに、メールではなく手紙を書いてみたくなりました。


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