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自分の生き方は自分が選ぶ―「劇場版ベルサイユのばら」を観て
1972年の作品―女性の自立を描く
今月はライブ三昧なのですが、その合間にアニメ「劇場版ベルサイユのばら」を観ました。
この作品は原作の池田理代子先生が1972年に発表し始めた作品で、すでに50年以上が経過しています。しかし、今見ても伝わるのは女性の自立というハッキリとしたテーマです。
多くの方はあらすじをご存じだと思いますが、主人公のオスカルはその生涯を、フランス皇太子に嫁いできたマリー・アントワネットを守るためにと、女性でありながら男性のように育てられてきました。近衛兵として王宮で王妃の身を案ずる生活をしていました。
しかし、フランス国内の内情悪化により、貴族と平民の対立から国王や王妃であるアントワネットへの憎悪が強くなります。
オスカルは、フランスとその国民を愛していましたから、実際にその目で平民の暮らしを見てこれは貴族に問題があると理解し、とうとう平民が起こした暴動で王宮に刃向かい、平民側について戦いました。
映画はまるでミュージカルのような作りになっており、初めちょっと戸惑いました。でもあの長いストーリーを2時間にまとめるにはとてもよい手法だったのではないかと思います。
でも大事な部分はしっかりとアニメーションでセリフも挿んできます。
私もコアなファンではないので、このくらいでちょうどよかったです。
オスカルの苦悩
オスカルは、重要なところで自分の生き方を自分で選択します。男性として軍人になるときはフランス国家への愛を掲げています。貴族である父親からそう言われたことをすんなり受け入れたのは、当時の女性は父に言われればそうせざるを得なかったこともあるでしょう。
しかし、国内情勢が悪化し、これからは結婚して女性として生きよという父の命令には真っ向から反対し、婚約を断っています。
これは、当時そう簡単にできないことだと思いました。いや、当時だけでなく、いまでもこの国でも起きていることかもしれません。
自分の道を進む
性別にかかわらず、どんな人でも自分の意に反することを求められて悩んでいる人はたくさんいると思います。病気や障害があったり、自分を守ってくれる家族などの大人の存在がなかったりすれば、何かをあきらめざるを得ないこともたくさんあります。
それでも、選んだ道がとても苦しいものだとわかっていても、オスカルは自分で選ぶことがどれだけ大切かをわかって行動したのだと思います。
「自立」は作業療法の目的
作業療法は、自分で選ぶという能力を育てていくためのかかわりです。自立するためには、まず何をしたいかということが自分でわかること、そしてそれを実現するための手順を作り、それを実行するための練習をします。
オスカルが自分の生き方を選べたのは、日頃から何をどうしたいか表現しなさいという教育を受けてきたからでしょう。
流れに乗っていればそれほど苦労しなくて済む、人と同じことをやっていればとりあえずその場はしのげる―このような教育をしていては自立した人間に育たない。
そして、自立は独りで実現するものではなく、自分を支えてくれる大切な誰かと一緒にかなえていくものかもしれません。
オスカルにアンドレがいたように。
我が身が引き締まるような、かなり強いメッセージをいただきました。