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【歌舞伎鳩:番外編】野田版 桜の森の満開の下(九月シネマ歌舞伎)

野田版 桜の森の満開の下


あらすじ

深い深い桜の森。時は天智天皇が治める時代。ヒダの王家の王の下に、三人のヒダの匠の名人が集められる。
その名は、耳男、マナコ、そしてオオアマ。ヒダの王は三人に、娘である夜長姫と早寝姫を守る仏像の彫刻を競い合うことを命じるが、実は三人はそれぞれ素性を隠し、名人の身分を偽っているのだった。そんな三人に与えられた期限は3年、夜長姫の16歳の正月まで。
やがて3年の月日が経ち、三人が仏像を完成させたとき、それぞれの思惑が交錯し…。

野田版 桜の森の満開の下 / シネマ歌舞伎


耳男:中村 勘九郎
オオアマ:松本 幸四郎
夜長姫:中村 七之助
早寝姫:中村 梅枝


面白かった……物語に引き込まれました。
縦横無尽に走り回る耳男のパワフルさ、耳を切り落とされて痛がりながらもどこか何か抜けているような違和感、夜長姫に募らせる恨みと、それが反転する感情の表出、中村勘九郎さんに圧倒されました。こんなに面白い役者さんを見つけられて鳩は嬉しい。

中村七之助さんの夜長姫も凄まじかった。妖じみた女を、もうそれが本性かのように演じられている。幼い残酷さのようなものがある狂ったお姫様なのに、あまり嫌悪感がないのがすごいところ。

歌舞伎の役者さんたちで座組が構成されていて、公演も歌舞伎座のようですが、歌舞伎とはまた違ったような演出で、実験的でしかし完成されていて、もっと磨き上げることもできそうで、舞台全体としても力強いものがありました。実際に見てみたかった……。

坂口安吾「桜の森の満開の下」、この演劇と、もう一つ朗読劇で聞いたことがあるのですが、なんか全然内容が違ったような……? どうもよくこの本に突き当たるので、そろそろきちんと小説を読みたいところです。

とても面白くて圧倒されたために、逆に感想が書けないこの始末。
もう何度か見たい。返す返すも実際に見てみたかった。



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