【バレエ鳩】白鳥の湖 全2幕(キーウ・クラシック・バレエ)
(ヘッダーの写真はサギ)
いざバレエ
昔から見たいものがたくさんある。能・狂言に始まり、歌舞伎、文楽、オペラ、バレエ、などなど。
今年に入ってようやく歌舞伎を見、感想文を認めるまでの沙汰になっておりますが、この度ようやく念願のバレエを見ました。
なんと懸賞でチケットを当ててしまった……特に応募したことも忘れていたため、いきなり届いて驚きました。ああいうのって当たることあるんだ。
あらすじ
出演(主な来日予定ソリスト)
長澤美絵
オクサーナ・ボンダレンコ
アンナ・レズニチェンコ
タラス・コフシュン
コスチャンチン・マイオロフ
北口雅人
感想
バレエは台詞がなく、マイムを使って会話するというのを知識としては知っていても、見たのは初めて。これは本当に会話をしているように見えるということを知りました。会話という表現が高度に単純化されている。
「白鳥の湖」は、なんとなくうっすらぼんやりうろ覚え知識しかなく、その状態で見ていたのですが、それと少しの想像力だけでお話の内容が伝わってくるのですごい。マイムや踊りが、それだけの力を持って物語を表現しているということですよね。
見る前は、お話がわかるかどうか結構不安だったけれども、最後まで集中して見ることができて良かったです。
「白鳥の湖」といえばあの純白のバレエ衣装。
あの衣装を纏って群舞をすると、まるで白鳥の群れのように見えるのも驚きました。あのバレエ特有の足の動かし方で移動したりすると、チュチュがしなやかに揺れて、湖面に浮かぶ白鳥の群れが見える。表現の力を感じさせます。これは写真や動画ではわからないところで、やっぱり本物は見るべきだなと思わされました。
また、ちょっと前に「鷺娘」を見ていたので、人間の身体で鳥を表現する際の違いが見えて面白かった。羽ばたきひとつとっても、袖のある衣装を活かす日本舞踊と、腕のみで表現するバレエとでは動き方が違う。
また、選んでいる鳥の違いも面白いなと思いました。どちらも白い鳥ではあるけれども、鷺は一羽でじっと佇んでいる鳥、白鳥は群れで水上にいる鳥。
鷺はその二本足で立っている姿が人間のそれに近く、また着物のほぼ直線的なフォルムにも合っている。
白鳥は水上にいてどちらかというと横に広い長方形のかたちをしているわけだけれども、それが前述したバレエのチュチュの形に沿っている。
どういう経緯でその選択なのかまではわからないながらも、しっかりと自分たちの表現に取り入れるように選んでいるのが面白いですね。
こうして初めて見るものを体験していると、やっぱり本物を見るべき、と思う瞬間がいくつかあるのですが、ひとつは前述の衣装について、もうひとつは足音でした。
考えてみれば当然なんですけどね……! でも実際に聞くまで、足音のことなんてひとつも考えたことがなかった。
トゥシューズの擦れる音、それが軋む音、跳躍して着地した時の足音など、案外聞こえるのが発見でした。でもこれはもしかしたら音源使用だった(オーケストラが入っていなかった)からかも?しれない。それを確かめるためにも、生オケのバレエも見てみたいものです……。
そのほか細々したこと
オデットとオディール、一人で二役演じ分けるのが見ていて面白かった。オデットが始終悲しげというか、翳りのある表情をして可憐に踊るのに対して、オディールは溌剌として力強い。しかしそれを見るにつけ、王子様はなんでこの二人を見分けられなかったんですか……?と思ったり(野暮)。
照明が、踊っている人をピンポイントで追っていくのがなんとなく新鮮に見えた。背景に月が描いてあり、照明の当て方で見え方が全然違うのが面白かった。ラストで、夜が明けたときの照明の表現が良かった。
舞台のすみずみで、すべての人が何かしら動いていて目が足りない……! また主役などが踊る時に、周りでぴたっと止まっている人たち、すごい姿勢で止まって動かないので、体幹と筋肉のすごさを感じた。
道化の役、古今東西あらゆる創作物に道化は出てくるけれども、この役って主役を食いそうなくらいに華やかで技術がいるものだよなあ。今回は日本人の方が踊られていて、しかもこの方のために振付されたものらしかった。動きが軽やかで少し現実味がない雰囲気をしていて、まさに道化そのもの。
悪魔の役の人の衣装が格好良かった。黒鳥?カラス?のような衣装で、王子様と最後の戦いに挑む時、途中で羽を負傷するのだけれど、衣装でも羽が取れて、ダンサーさんも腕を動かせなくなる振付が印象的。きちんと衣装とキャラクターがリンクしていて良かった。
バレエは初めて見ましたがとても面白かったです。やっぱりいつか生オーケストラのバレエ公演も見てみたい。
「くるみ割り人形」の音楽が好きなので、クリスマスシーズンに見たりとか、したいですね。あとは「ジゼル」とか……「真夏の夜の夢」とか……。