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【歌舞伎鳩:番外編】唐茄子屋 不思議国之若旦那(一月シネマ歌舞伎)

たった一日働くだけであらゆることが巻き起こる、勘当された愛すべきばかだ……若旦那の初仕事!

吉原遊びが過ぎて勘当された若旦那・徳三郎(中村勘九郎)は橋から身を投げようとしているところを偶然通りかかったおじ(荒川良々)に助けられる。事情を聴いたおじの勧めで徳三郎は唐茄子かぼちゃ売りの商いをはじめることに。商いの途中で様々な人に出会い少しばかり成長した徳三郎だったが、執心していた傾城・桜坂(中村七之助)の身請けが決まったと聞き、たまらず吉原へ向かう。しかし、徳三郎が迷い込んだのは、どこかイビツで不思議なパラレルワールド「第二吉原」で…!?

唐茄子屋 不思議国之若旦那 / シネマ歌舞伎


予告編を見ているだけだったので、アリスっぽい要素があるやつ、という雑認識で見に行きました。
上映案内の段階で、「若旦那応援上映」回がある映画館がある、というのを聞きつけていて(時間合わず見られませんでしたが)、どういうこと……? と思っていたのですが、本編見て分かった。愛すべきばか若旦那すぎて、確かに応援したくなるかもしれない笑


あらすじの通り、花魁に入れ込んで勘当された若旦那が唐茄子の行商をする話なのですが、まあどうしようもない甘ちゃん、しかし人は良いのだろうというところと愛嬌だけで全部チャラになっている……。勘九郎さん、こういうちょっと情けない役、似合いますよね……。

吉原の大門の横にある小門をくぐると、パラレル吉原に通じるわけですが、その前段階からぬるっとパラレルっぽくなり、そのままぬるっと話が終わったので(てっきりどこかで夢オチすると思った)、若旦那はまだどこかで居眠りでもしたままなんじゃないかと思ったりして。
またこのパラレル吉原の中で、若旦那が小さくなったり、さらに小さくなったりするのですが、そこに勘九郎さんの実際の二人の息子さんを配しているのが、こういう一家ならではだな〜と思いました。これあと数年したら同じキャストではできなくなるよね。子どもはあっという間に大きくなっちゃうから。

テンポよくコミカルに進んでいくので、げたげた笑いながら見ており、それきりです。笑った笑った。エンターテイメント映画(歌舞伎)で、とても楽しませてもらいました。


パンフレットが唐茄子の形をしておりかわいかったので買ってみて、読んでいてようやくこの話が「唐茄子屋政談」という落語を元にしていることを知りました。

こちらのお話も愛すべき若旦那……。結構そのままお話を持ってきているんですね。映画を見ながら、なんか江戸言葉で話してるなあと思ってはいたのですが、落語での話し方をそのまま持ってきているのか。

また劇中で、なんか妙にすごい下ネタするじゃん!? と思っていたところも、まさかの落語から……。わたくしは品のない鳩でございますから、げったげたやっていたわけですが、元の落語もまったくもってまあ! わかっていてもひどい(褒めてる)。ここまでど直球下ネタ(バレ噺)ってあるんですね、知らなかった。しかしこれって、高座にかかることあるんですかね……?(実際に聞いてはみたいけど笑)

映画の半券で新宿末廣亭の入場料割引をやっていたのも合点がいきました。
もちろん寄席にも行ってきたわけですが、知ってはいても聞いたことはなかった「時そば」「まんじゅうこわい」「子別れ」なんかを聞けて大満足。
片方を知るともう片方ももっと面白くなる、こういう相互作用があるものは楽しいです。


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