古くに加工された石塔の耐震化。
東日本大震災でも2月の地震でも同様に、古くに加工された石塔で、建てられた当時のままだったものは、その多くに倒壊などの被害が出てしまいました。
1 基礎がなく土の上に建てられている
2 セメントもしくはモルタル接着のみ
3 効果のない接着材料の使用
4 接着せず積み上がっている
上記が被害が多かった主な理由になります。
今回は3のお話です。
古くに加工された石塔は機械加工ではなく手加工だったため、接着面(石同士が合わさる部分)が凸凹である場合がほとんどです。実はこの凸凹の表面には、現在僕達が常用しているコーキングボンドの効き目はあまり期待できません。
今回倒壊した石塔でも、あらわになった接着面に効果がなかったであろうコーキングボンドが多く見受けられました。
コーキングボンドは施工性に優れていて地震に効き目がありますが、適切な使用をしないと何の意味もなさなくなります。弊社では凸凹の表面には基本的に使用しておりません。
そのため弊社では古くに加工された石塔は芯棒とセメント接着にて建上を行います。
セメントは一般的なものに薬剤を混ぜて接着力を強化して使用。またエフロレッセンスを防止するために白華抑制剤も使用しています。基本的に全段同様の施工となります。
先の震災以降から今回の地震までに、このような施工させていただいたものには被害はほぼありませんでしたので、効き目はあると弊社では考えております。
今も昔も石塔を建立するということは金銭的な御負担がございます。御先祖様もその石塔を建立する当時は大変な御苦労をなさったはずです。処分することは簡単です。ですが、こういった施工で地震への備えを行い墓守を続けていけば御先祖様もきっとお喜びなるはずです。
そして今を生きる皆様にたくさんの幸福を届けてくださると僕は信じています。