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オンボロバイクでパミールへ①【購入編】
その日、国境を越えてタジキスタン北部の街Khujandにやってきた
乾いた草原を抜け、ヒッチハイクとバスを乗り継ぐと、噴水と銅像、ライトアップと国旗だらけのきらびやかな街が広がっていた
想像していた荒涼な大地とはかけ離れていた
それもそのはず、2500年前にアレキサンダー大王によって設立されたKhujandは、シルクロードの交易所として栄え、その立地条件から交易、産業、農業の重要な中心地へと発展してきたのだ
キルギスから目的地パミール高原に入るには、Oshから南下することが多いが、南西部のFann mountainにも興味があったためKhujandから南下するルートを選んだ
Kujandの華麗な中心街や賑やかなバザールを楽しみながら、今後のトレイルに向けて買い出しをした
パミールで100kmほど歩く計画を立てていたため、ナッツとドライフルーツだけで25kgほどになった
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Kujandでは、原付バイクに乗っている人を時折見かけた
「あぁ〜バイクあったら楽しいのになぁ」と彼
タジキスタンには公共の交通機関がないのだ
正確には「パミールにはない」
村間の交通手段はなく、地元の人のシェアタクシーかヒッチハイクになる
半数以上の人口が、政府の定める貧困ラインに属しているGBAOでは、車の所有率は非常に低い
とにかく、バイクがあったら楽しいだろう
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すぐにバザールでバイクを買える場所を尋ねて歩き回った
どうやら土曜日の古物市で買えるらしい
しかし、みんな地図が読めないため正確な情報が得られず、更に聞いて回ることに
英語を少し話す刀売りの青年に訊いた時、思わぬ答えが返ってきた
「古物市?明日だから連れて行ってあげようか?じゃあ、明日6時でいいかな?」
6時?日の出前だけど…
思いの外早い待ち合わせ時間だったが、心が踊っていたのでそんなのはどうでも良かった
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翌日、彼が車で宿の近くまで迎えに来てくれた
「僕、10時から仕事なんだ。だから、帰りはタクシーか買ったバイクで帰ってね。」
まさか、出勤前に早起きしてまで付き合わせることになるとは…申し訳ないが、ありがたく案内してもらうことにした
古物市は予想以上に混沌としていた
川沿いにシートを敷き、あらゆる物が雑多に並んでいた
誰が買うの?という車や電化製品の欠片や古着、そして動物まで
アニマルマーケットの横にはシャシリクスタンドもあり、常に香ばしい匂いが漂っていた
古物市を出た先の4車線道路は、買われた動物と、歩きたがらないそれを引っ張る人達で溢れていた
人混みを掻き分けてバイクセクションに入ると、どう見ても動かなそうなバイクから割とピカピカなもの、そしてトゥクトゥクまで、バリエーションは豊かだった
私達はいくつか試乗させてもらい、一番状態の良さそうなものを選んだ
値引き交渉後の価格で$300だった
どう考えても高い!
でも、高揚感でいっぱいの私達は、自分達の都合の良いように解釈し、購入を決めた
「私達のお金で彼らの生活が少しでも潤ったらそれでいいよね!」
「KujandからDushanbeまでのシェアタクシーは1人$10。バイクがあればFann mountainまでもパミールでの交通手段も困らないよね!」
こうして私達も一応バイカーに属すことができた
蛍光緑の中国製中古バイクにはCiti Ace2というステッカーがどーんと貼られている
そして、売り主の青年は言った
「鍵がないから一緒に買いに行こう」
え?さっき試乗させてもらった時の鍵は?
とにかく着いていくと、ビニールに広げられた鍵をひとつ指して、購入していた
「え?鍵ってどんな鍵でも動くの?それって鍵の意味成してる???」
疑問だらけだったが、とにかくバイクは走り出した
売り子の青年に別れを告げ、Citi ace2と共に私達の新しい旅が始まった
給油して(ガソリンスタンドに行ってペットボトルからガソリンスタンドを入れた)バザールに行き、チェーンの鍵とヘルメットとバックパックを固定するロープを購入した
試行錯誤してバックパックをバイクに括り付けてみたが、重みに耐えきれず今にもタイヤがぺたんこになりそうだった
「食料25kgは買いすぎたね」
「でもほら、ベトナムとか5人乗りしてるし、大丈夫でしょう」
そう言い聞かせることにした
ここに2人乗りします
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