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オンボロバイクでパミールへ③【修理編】

タジキスタン北部の古物市で中古のバイクを買って旅した日の話です。
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翌日、事態は急変した

山間の日干し煉瓦の家並みが美しい村の近くで、彼が突然バイクを止めた

「タイヤがパンクしたみたい」

私達は修理道具すら持っていないし、そもそも直し方も知らない

偶然にも数メートル先に車の修理工房があり、もしかしてこのおじさんが釘置いた?とさえ疑ったが、彼にはどうすることもできなかった

仕方なくタクシーを拾ってDushanbeに向かうことにした

タクシーと言っても、一般車をヒッチハイクしてお金を払う仕組みだ

ここからDushanbeまで90km

後部座席を倒して、Citi Ace2とわたしと荷物がぎゅうぎゅう詰めにされた

Dushanbe郊外の修理工房に着くと、ここでもCiti ace2は大人気だった

素人のおじさんが寄ってたかって、あれこれ口出ししてくれた

プロの手にかかると、あっという間にチューブを入れて元通りにしてくれた

お礼を言い、お金を払い、修理工房を後にする

「やっぱプロすごいね〜」と鼻歌歌いながら走り始めたところで、タイヤはまたパンクした

たった10分しか走れなかった

「もういい、置いていこう」

1日で2回もパンクし、大移動し、へとへとだった

見知らぬマンションの駐車場にCiti Ace2を置き去りにして宿に向かった

「明日迎えに来るからね」

すぐに修理工房に連絡をし、事情を説明した

明日車で例のマンションまで迎えに来てくれるという



翌日、今度は別のプロの手にかかった

ここの修理工房は兄弟経営で、昨日はまだ高校卒業したてぐらいの弟くんが担当してくれた

若いから見くびっちゃいけないと思っていたが、兄の手にかかると彼の過ちが露呈した

「あぁ〜チューブレスタイヤにチューブ入れたんだね」

過ちは露呈したが、金は返ってこなかった

新しいタイヤが必要だ。取り寄せになるから3日後になるけどいい?」

このカオスな大都会に3日も滞在するのか…と絶望したが、仕方なく待つことにした



そして3日後、見事新品のタイヤを履いたCiti Ace2と再開を果たすと、心做しか少し逞しく見えた

私達の気分は絶好調で、爽快に走り出した

しかし、それも束の間の喜び

20分後、タイヤはまたしてもパンクした

「……どうする?もうこれ絶対パミール行けないよね」

「もう俺はこんなポンコツ置いて、今すぐ母国に帰りたい!売るのも嫌だ、買った人が可哀想だ!」

「それなら、誰かにあげようか?」

「でも、パンクしたバイクなんて…」

こうして私達は道路沿いの小さな自動車修理工場に入った

翻訳機にこう打ち込んで画面を見せたのだ



「プレゼントします。タイヤを直して好きなように使ってください」

騒ぎを聞きつけ人がわらわらと集まってきたのは、言うまでもない

さらばCiti Ace


※この後パミールに行ったのですが、City ace2とはさよならして良かったと心底思いました。どうか、どこかのCityで活躍してくれていますように。






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