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SNAT (Source NAT)とは?

ネットワークの話になると「SNAT」という言葉を耳にすることがありますが、具体的にどんな仕組みで、どんな場面で役立つのでしょうか?今回は、SNATの基本的な動作や利用例、そのメリットを整理してみます。


1. SNATの基本とは?

SNATの役割

SNAT(送信元ネットワークアドレス変換)は、主に内部ネットワーク(プライベートIPアドレス)と外部ネットワーク(グローバルIPアドレス)の間で以下のような役割を担います。

  • プライベートIP → グローバルIPへの変換
    内部サーバー(例: 192.168.x.x)が外部と通信する際、送信元IPアドレスをグローバルIP(例: 203.0.113.1)に変換します。

  • 外部からの応答を正しく内部に届けるための橋渡し
    変換後の通信が外部から戻る際、SNATはその応答を元の内部サーバーに正しくルーティングします。

SNATを実行する仕組み

SNATは以下のようなデバイスやサービスで実行されます:

  • ルーター(家庭用・企業用問わず広く使用される)

  • クラウドサービスのNAT Gateway(例: AWS、Azureなど)


2. SNATの通信フローを理解する

(1) 内部から外部への通信(SNATの動作)

  1. プライベートIPアドレスを持つ内部サーバー(例: 192.168.1.10)が外部にリクエストを送信。

  2. その通信はSNATを実行するルーターやNAT Gatewayを通過。

  3. 送信元IPアドレスがグローバルIP(例: 203.0.113.1)に変換される。

  4. 外部の受信先にはすべての通信がこのグローバルIPから送られているように見えます。

(2) 外部から内部への通信(DNATの動作)

SNATとは別に、外部から内部への通信ではDNAT(宛先ネットワークアドレス変換)やポートフォワーディングが利用されます:

  1. 外部からグローバルIP宛ての通信を受信。

  2. DNATやポートフォワーディングで、通信を内部の適切なサーバー(例: 192.168.1.10)にルーティング。


3. SNATの利点

(1) セキュリティ向上

内部ネットワークのプライベートIPアドレスが外部に公開されないため、内部ネットワークのセキュリティが向上します。

(2) 送信元IPの統一

複数の内部サーバーからの通信を1つのグローバルIPに統一することで、外部のサービスやAPIとの連携が簡単になります。

(3) 内部ネットワークの柔軟性

内部ネットワーク内のIPアドレスを変更しても、外部通信には影響しません。これにより、内部構成を柔軟に変更できます。


4. SNATの実例

例1: AWS NAT Gateway

AWSのプライベートサブネット(例: 10.x.x.x)内のインスタンスが外部と通信する際、NAT GatewayがグローバルIPを使用して送信元IPを変換します。

例2: 内部サーバーからの外部通信

オンプレミスの管理サーバーが外部のソフトウェアリポジトリやAPIにアクセスする際、SNATを使うことで内部アドレスを隠しつつ安全に通信を行えます。


5. まとめ

  • SNATは内部ネットワークから外部ネットワークへの通信を効率化する仕組みです。

  • 送信元IPを変換することで、セキュリティを向上させつつ、通信を正しくルーティングします。

  • 内部サーバーが外部APIやサービスにアクセスする際に欠かせない役割を果たします。

SNATを正しく理解すれば、ネットワーク設計やトラブルシューティングがさらにスムーズになります。

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