FalcoとPrometheusの違い
クラウドネイティブ環境の運用では、セキュリティ監視やパフォーマンスモニタリングが欠かせません。
その中でよく使われるツールがFalcoとPrometheusです。この2つは似たように見えますが、役割や目的はまったく異なります。
今回は、それぞれの特徴や違い、そしてどのように補完的に活用できるかをわかりやすくまとめていきます。
FalcoとPrometheusの役割をざっくり説明すると…
Falcoは、クラウド環境のセキュリティ番犬。
システム内で怪しい動きがないか監視し、問題を検知して通知します。Prometheusは、健康診断装置。
システムのパフォーマンスや状態をモニタリングして、異常があればアラートを出します。
これを例えるなら:
Falco → 家に泥棒が入ろうとしていないかチェックする「防犯カメラ」。
Prometheus → 家の温度や電力使用量を測って異常を検知する「スマートホーム監視装置」。
Falcoの特徴
Falcoは、セキュリティに特化したリアルタイム監視ツールです。
目的: 不審な動作やセキュリティインシデントを即座に検知する。
監視対象:
Linuxのシステムコール(syscall)。
KubernetesクラスタのPodやコンテナ内での動作。
主な機能:
異常検出: 権限昇格、不正アクセス、ネットワークの不審な通信を見つける。
通知: SlackやWebhookで警告を即座に送信。
ルールベースの検知: 独自のルールを設定して環境に合わせたセキュリティ監視が可能。
例:
Pod内でrootユーザーが不正にシェルを起動。
システムファイル(例: /etc/shadow)が改ざんされた。
→ Falcoは「誰かが泥棒をしようとしている!」と教えてくれる存在です。
Prometheusの特徴
Prometheusは、システムの健全性やパフォーマンスを監視するモニタリングツールです。
目的: 時系列データを収集して、システムの状態やリソース利用状況を把握する。
監視対象:
CPU使用率、メモリ使用量、ネットワークトラフィックなど。
主な機能:
メトリクス収集: サービスやインフラから数値データを収集。
アラート連携: 異常値が検知された場合にアラートを発行。
可視化: Grafanaなどと連携してデータをグラフ化。
例:
CPU使用率が80%を超えたらアラートを出す。
HTTPリクエストのレスポンス時間が異常に長い場合に通知。
→ Prometheusは「この部屋、ちょっと暑すぎるよ!」と教えてくれる装置です。
FalcoとPrometheusの違いを整理
目的の違い
Falcoはセキュリティイベント(例: 不正アクセス、改ざん)を検出します。
Prometheusはパフォーマンスの異常(例: 高いCPU負荷)を検出します。
データの種類
Falcoはイベントデータを監視し、「何が起きたか」をリアルタイムで分析します。
Prometheusはメトリクスデータを収集し、「状態やパフォーマンス」を時系列で記録します。
通知のタイミング
Falcoは不審な動きが発生した瞬間に通知します。
Prometheusは収集したデータからしきい値を超えた場合にアラートを発行します。
FalcoとPrometheusを補完的に使う方法
FalcoとPrometheusはそれぞれ異なる役割を持つため、組み合わせて使うことでより強力な監視体制を構築できます。
ユースケースの例
Falcoで不審な動作を検出
例: Pod内で予期しないシェルが起動した。
Prometheusでリソース状況を確認
例: シェル起動後にCPU使用率が急上昇している。
→ これにより、セキュリティインシデントが発生した際の影響範囲や原因を迅速に特定できます。
まとめ
Falcoは「家を守る番犬」のように、セキュリティイベントをリアルタイムで検知して警告を発します。
Prometheusは「スマートホーム監視装置」のように、システムの健康状態をモニタリングして異常を教えてくれます。
両者の違いを理解し、それぞれの強みを生かして環境を監視することで、セキュリティとパフォーマンスの両面で安心してクラウドネイティブ環境を運用できます。FalcoとPrometheusを組み合わせて、より強固な監視システムを構築してみましょう!