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Kubernetesを運用する際に知っておきたい、各ノードの役割と仕組み

Kubernetesを運用するうえで、ノード(特にワーカーノード)がどのようにデータを管理し、ネットワークを構築し、リソースを分配しているかを知ることは重要です。これを理解することで、クラスター全体の安定性が向上し、トラブル発生時の対応もスムーズになります。今回は、ノード上で機能するさまざまな仕組みやリソースについて触れていきます。


1. ファイルシステムの仕組み

Kubernetesでは、ノード上のファイルシステムが重要な役割を果たしています。たとえば、家の収納スペースをどのように使うかが家全体の快適さに影響するように、Kubernetesでも適切な管理が求められます。

  • /var/lib/kubelet
    家の中心にある収納庫のような場所です。Kubelet(ノード上で動作するエージェント)が利用するデータやキャッシュが保管されています。
    例:

    • Podのステータス情報

    • ボリュームデータのキャッシュ

  • /run/containerd
    一時的な作業スペースにあたる場所で、containerdを利用している場合にコンテナランタイムがここを使います。
    例: containerd.sock(Kubernetesとコンテナランタイムが通信する際に利用)

  • /var/lib/docker
    Dockerを使用している場合、コンテナのイメージやデータがここに保存されます。

  • /etc/kubernetes
    家の設計図ともいえる重要な設定ファイルの置き場所です。
    例:

    • kubelet.conf: KubeletがAPIサーバーと通信する設定

    • manifests/: 静的Podのマニフェストファイル

  • /var/log
    家の中の監視カメラや記録帳のように、各種ログがここに保存されます。
    例:

    • kubelet.log: ノードの動作ログ

    • コンテナの標準出力やエラーログ


2. ネットワークの仕組み

ネットワークは、Kubernetesのクラスターがスムーズに動作するための血管のような存在です。

  • IPアドレスとネットワークインターフェース
    ノードには固有のIPアドレスが割り当てられており、Pod間通信や外部アクセスに使用されます。

  • CNIディレクトリ(/etc/cni/net.d/)
    ネットワークプラグインの設定が保存されています。たとえば、家のWi-Fiルーターの設定ファイルのようなものです。
    例:

    • 10-flannel.conf: Flannelの設定

    • 20-calico.conflist: Calicoの設定

  • IPテーブル(iptables/nftables)
    ネットワークポリシーやサービスのルーティングを制御しています。
    例:

    • ClusterIPサービスのルーティング

    • Pod間通信の制御


3. プロセスの役割

ノード上ではいくつかの重要なプロセスが動いており、Kubernetesの中核を支えています。

  • Kubelet
    クラスターの管理者のような役割で、Podのライフサイクルを管理し、APIサーバーと連携します。

  • CRIランタイム(containerd、Docker、CRI-O)
    コンテナを作成・削除する役割を担い、Podが正常に動作するよう管理します。


4. ストレージの仕組み

Kubernetesのストレージは、Podがデータを安全に保存するための倉庫のような存在です。

  • /var/lib/kubelet/pods
    各Pod専用の保管場所で、一時的なデータやボリュームデータが保存されます。

  • マウントポイント
    Persistent Volumeやホストパスボリュームがマウントされる場所で、データの持続性を支えています。


5. CPU・メモリの管理

ホストノードの計算能力やメモリは、Kubernetesの効率的なリソース分配に欠かせません。

  • CPUコア
    リソースリクエストや制限(limits.cpu)に基づき、Podごとに割り当てられます。

  • メモリ
    limits.memoryに基づいてPodごとにメモリを管理します。

  • cgroups(/sys/fs/cgroup)
    リソース使用量を管理するLinuxの仕組みで、リソースの過剰使用を防ぎます。


6. その他の要素

  • デバイスファイル(/dev)
    GPUやブロックデバイスなど、特定のハードウェアを利用する際に必要です。
    例:

    • /dev/nvidia0: GPUデバイス

    • /dev/sda: ブロックデバイス

  • カーネル設定
    Kubernetesのネットワークやリソース管理に影響を与えます。
    例:

    • ip_forward: パケット転送の有効化

    • netfilter: ネットワークフィルタリング


まとめ

ノード上の仕組みやリソースの役割を理解することは、Kubernetes運用の安定性を支える大切な一歩です。それぞれの役割を押さえておけば、効率的なトラブル対応や運用計画が可能になります。普段見過ごしがちな部分にも目を向けることで、クラスター運用に自信を持てるようになるでしょう!

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