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CycloneDX形式でSBOMを管理しよう 〜ソフトウェアの成分表でセキュリティを強化〜

ソフトウェア開発では、多くのライブラリや依存関係を組み合わせてアプリケーションを構築します。しかし、これらの依存関係に脆弱性が潜んでいないか、ライセンスは適切かといった点を確認することは重要です。

これはちょうど、家を建てるときに使用する部材の種類や品質をリスト化して管理するのと似ています。使用する木材や金具の情報を把握しておけば、補修や安全管理もスムーズに進められますよね。

ソフトウェアの場合、その「成分表」として使われるのが**SBOM (Software Bill of Materials)**です。

その中でも特に注目されているフォーマットがCycloneDX形式です。今回はCycloneDX形式の特徴や具体例をあげながら、まとめていきます!。


CycloneDXとは? 背景と特徴

CycloneDXは、2017年に**OWASP (Open Web Application Security Project)**によって提唱されたSBOMの標準フォーマットです。

(1) 背景
近年、サプライチェーン攻撃の増加に伴い、依存関係や脆弱性の管理が課題になっています。特にオープンソースソフトウェアの利用が増えたことで、管理すべきコンポーネントも複雑化しました。

こうした課題を解決するために登場したのがCycloneDXです。

(2) 特徴

  • 機械的解析が容易: JSONやXML形式で記述され、自動解析やCI/CDパイプラインへの統合が可能。

  • 依存関係の可視化: ライブラリ間の関係性を明確に記録。

  • ライセンスと脆弱性管理: ライセンス情報を記録し、脆弱性対策を強化できる。


CycloneDX形式のSBOM例

以下は、CycloneDX形式で記述されたSBOMのサンプルです。

JSON形式のサンプル

{
  "bomFormat": "CycloneDX",
  "specVersion": "1.4",
  "serialNumber": "urn:uuid:3e671687-395b-41a4-91b5-ecbfae6bcad6",
  "version": 1,
  "metadata": {
    "timestamp": "2024-12-27T12:00:00Z",
    "tools": [
      {
        "vendor": "CycloneDX",
        "name": "cyclonedx-go",
        "version": "1.0.0"
      }
    ],
    "component": {
      "type": "application",
      "name": "example-app",
      "version": "1.0.0",
      "licenses": [
        {
          "license": {
            "id": "MIT"
          }
        }
      ]
    }
  },
  "components": [
    {
      "type": "library",
      "name": "gin",
      "version": "1.9.0",
      "licenses": [
        {
          "license": {
            "id": "MIT"
          }
        }
      ],
      "purl": "pkg:golang/github.com/gin-gonic/gin@1.9.0"
    },
    {
      "type": "library",
      "name": "logrus",
      "version": "1.8.1",
      "licenses": [
        {
          "license": {
            "id": "MIT"
          }
        }
      ],
      "purl": "pkg:golang/github.com/sirupsen/logrus@1.8.1"
    }
  ],
  "dependencies": [
    {
      "ref": "pkg:golang/github.com/gin-gonic/gin@1.9.0",
      "dependsOn": [
        "pkg:golang/github.com/sirupsen/logrus@1.8.1"
      ]
    }
  ]
}

CycloneDXのポイント解説

(1) メタデータ
SBOMの作成日時や使用ツールが記録されています。この例ではcyclonedx-goを使って生成されたことがわかります。

(2) コンポーネント情報
アプリケーションの依存関係を一覧化し、それぞれのライブラリについて名前やバージョン、ライセンス情報が記載されています。

例:

  • ginライブラリ (バージョン1.9.0) はMITライセンス

  • logrusライブラリ (バージョン1.8.1) はMITライセンス

(3) 依存関係
各コンポーネント間の依存関係が明記されています。この例では、ginがlogrusに依存していることが示されています。


CycloneDXはどんなイメージ?

CycloneDXは、ソフトウェアの「材料表」を整理して可視化する役割を果たします。

例えるなら、これはレシピに記載された材料リストのようなものです。

  • レシピでは料理名と材料が示されるように、SBOMではアプリケーション名と依存関係が記録されます。

  • 材料の産地や成分表と同じように、バージョンやライセンス情報が明示されます。

  • 材料同士の関係性も示されるため、変更や問題発生時に素早く対応できます。


まとめ

CycloneDX形式のSBOMは、ソフトウェアの構成情報を整理し、依存関係やライセンス情報を記録することで、セキュリティやコンプライアンス管理を強化します。

これは、食品ラベルが消費者に安心感を提供するのと同じように、開発者に安全性と透明性を提供するツールです。

特にGolangでは、多くのライブラリが使われるため、SBOMの活用はプロジェクト管理に役立ちます。CycloneDXを活用して、セキュリティリスクの可視化と対策を進めていきましょう。

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