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ProxmoxのKVMとLXCとは?
Proxmox VE(以下Proxmox)は、オープンソースの仮想化プラットフォームで、「KVM」と「LXC」の2つの仮想化技術を使えます。でも、「KVMとLXCって何が違うの?」と思う人も多いのではないでしょうか。
「Windowsを動かすならKVM?」
「LXCは軽いって聞くけど、どう違う?」
そんな疑問をスッキリ解決できるよう、それぞれの特徴や違いを紹介します!
1. KVMとは?(完全仮想化)
KVM(Kernel-based Virtual Machine)は、ハードウェア仮想化技術を利用して、**物理マシンとほぼ同じ環境の仮想マシン(VM)**を作る仕組みです。
KVMの特徴
✅ さまざまなOSを動かせる
Windows、Linux、BSDなど、幅広いOSを仮想マシンとして実行可能です。
✅ 物理マシンのように独立
CPUやメモリ、ストレージを各VMに専用で割り当てるため、他のVMと干渉せずに動作します。
✅ 仮想化のオーバーヘッドがある
仮想化の処理が入るため、物理マシンに比べると少しだけ性能が落ちることがあります。ただし、近年のハードウェア支援(Intel VT-x / AMD-V)によって、ほぼネイティブに近いパフォーマンスが出せます。
✅ スナップショットやバックアップが簡単
仮想マシン全体の状態を保存できるので、バックアップや復元がしやすいです。
KVMが向いているケース
Windowsを動かしたい
独立した仮想環境を作りたい
ゲームサーバーや大規模データベースなど、高負荷アプリを動かしたい
KVMは、「物理PCをそのまま仮想化したもの」と考えるとわかりやすいです。
2. LXCとは?(コンテナ型仮想化)
LXC(Linux Containers)は、ホストOSのLinuxカーネルを共有しながら、独立したユーザー空間を作るコンテナ型の仮想化技術です。
LXCの特徴
✅ とにかく軽量で高速
KVMのように仮想マシンをまるごとエミュレーションするのではなく、ホストOSとカーネルを共有するため、ほぼネイティブ性能で動作します。起動も一瞬です。
✅ Linuxしか動かない
ホストOS(Proxmox)のカーネルを共有するため、WindowsやBSDは動作しません。Linux専用の仮想化方式です。
✅ リソースの節約ができる
CPUやメモリの使用効率が良いため、1つの物理マシンで大量のコンテナを動かすことが可能です。
✅ スナップショットやバックアップが高速
仮想マシンのようにディスク全体を保存する必要がないため、スナップショットの作成が一瞬で終わります。
LXCが向いているケース
Linuxサーバーを軽量に動かしたい
Webサーバーやデータベース(NGINX, MySQL, PostgreSQLなど)を運用したい
テスト環境や開発環境を手軽に構築したい
LXCは、「1台のLinuxマシンを仕切って複数の環境を作るイメージ」です。
3. KVMとLXCの違いは?
KVMとLXCの大きな違いは、仮想化の方法と動かせるOSにあります。
KVMは、物理マシンを完全にエミュレーションするため、WindowsやBSDなどあらゆるOSを動かせるのがメリット。一方で、仮想化の処理が入るため、LXCに比べるとオーバーヘッドがあります。
LXCは、ホストOSのLinuxカーネルを共有するため、Linuxしか動作しないものの、軽量で高速。コンテナの起動も一瞬で、リソース効率も非常に良いです。
また、セキュリティ面では、KVMは仮想マシンごとに完全に分離されるため、より強固。一方のLXCは、ホストOSの影響を受けるため、KVMほどの独立性はありません。
4. どちらを選ぶべき?
結論として、以下のように使い分けるのがオススメです。
✅ Windowsを動かしたいならKVM
✅ リソースを節約してLinuxを動かしたいならLXC
✅ セキュリティを重視するならKVM
✅ 素早くサーバーを立ち上げたいならLXC
とはいえ、Proxmoxの最大のメリットは「KVMとLXCを同時に使えること」。
Windowsや高負荷なアプリにはKVM、軽量なLinuxサーバーにはLXCといった使い分けをすることで、より効率的な仮想環境を構築できます。
どちらも活用して、自分に合った仮想環境を作っていきましょう!