見出し画像

そのDockerイメージ安全? SBOMコマンドで「bom generate --image 」を試してみよう

ソフトウェアを使うとき、「このアプリケーションは安全なの?」と心配になることはありませんか? たとえば、料理を作るときに材料の産地や成分を確認するように、ソフトウェアにも「中身」を知るための方法があります。それが**SBOM (Software Bill of Materials)**です。

この記事では、Dockerイメージの安全性を確認するために、SBOMを生成するコマンド「bom generate --image <image>」の使い方を紹介します。実際の出力例を交えながら、SBOMが何を教えてくれるのかを見ていきましょう。


SBOMとは?

SBOMは、ソフトウェアに含まれる部品リストのようなものです。たとえば、料理のレシピを見て「どんな材料が使われているか」を把握するように、SBOMを使えばソフトウェアの構成要素や依存関係が一覧化できます。

これを利用すると、以下のような情報を確認できます。

  • 使用されているライブラリやパッケージ

  • バージョンやライセンス情報

  • セキュリティ上のリスクや脆弱性の特定

では、具体的にDockerイメージのSBOMを生成するコマンドを見ていきましょう。


SBOMを生成するコマンド

以下のコマンドを使うと、指定したDockerイメージのSBOMをJSON形式で生成できます。

bom generate --image registry.k8s.io/kube-apiserver:v1.31.0 --format json

この一行で、ソフトウェアの材料リストが確認できる便利なコマンドです。それでは、このコマンドの中身を詳しく見てみましょう。


コマンドの解説

(1) bom
SBOMを扱うためのツールです。ソフトウェアの「成分表」を作る役割を果たします。

(2) generate
新しいSBOMを生成するサブコマンドです。たとえば、棚卸しで製品の在庫リストを作るようなイメージです。

(3) --image registry.k8s.io/kube-apiserver:v1.31.0
SBOMを作成する対象のDockerイメージを指定します。今回は、Kubernetesのkube-apiserverというコンポーネントを例にしています。

(4) --format json
結果の出力形式をJSONに指定します。JSON形式はプログラムで扱いやすく、他のツールと連携しやすいのが特徴です。


出力例

実際にコマンドを実行すると、以下のようなJSON形式の出力が得られます。

{
  "name": "kube-apiserver",
  "version": "v1.31.0",
  "components": [
    {
      "name": "golang.org/x/crypto",
      "version": "v0.0.0-20210921155107-089bfa567519",
      "license": "BSD-3-Clause"
    },
    {
      "name": "k8s.io/apimachinery",
      "version": "v0.23.0",
      "license": "Apache-2.0"
    },
    {
      "name": "github.com/google/uuid",
      "version": "v1.3.0",
      "license": "BSD-3-Clause"
    }
  ],
  "metadata": {
    "generator": "bom-tool v1.2.3",
    "timestamp": "2023-12-25T10:15:30Z"
  }
}

このJSONには、kube-apiserverがどんなコンポーネントで構成されているかが記載されています。


kube-apiserverの材料を読み解く

出力例から、kube-apiserverはGo言語 (Golang) で作られていることがわかります。また、その中で次のようなライブラリが使われています。

(1) golang.org/x/crypto
セキュリティや暗号化に関する機能を提供します。たとえば通信データを暗号化し、安全性を確保するために使われます。

(2) k8s.io/apimachinery
KubernetesのAPI管理機能をサポートするライブラリです。Kubernetesのリソース管理の基盤を担っています。

(3) github.com/google/uuid
UUID (Universally Unique Identifier) を生成するライブラリです。各オブジェクトに一意の識別子を割り当てるために使用されます。

これらの部品は、まるで料理のスパイスや調味料のように、それぞれが役割を果たしてアプリケーションを支えています。


このコマンドの用途

このコマンドは、以下のような場面で活躍します。

  • セキュリティ診断
    脆弱性のあるパッケージを発見して、早期に対応できます。

  • ライセンス管理
    使用しているライブラリのライセンスをチェックし、コンプライアンス違反を防ぎます。

  • 変更管理
    バージョンアップ時に含まれるライブラリの変更点を比較し、互換性や影響を確認できます。


他のツールとの比較

このコマンドはbomツールを使用していますが、以下のツールも役立ちます。

  • syft: 軽量でSBOM生成に特化したツール。素早く結果を得られます。

  • trivy: 脆弱性スキャンもできるため、セキュリティ強化におすすめです。

用途に応じて使い分けるとさらに便利です。


まとめ

「このDockerイメージは安全?」という疑問を解消するためには、SBOMを活用して中身を可視化するのが効果的です。

bom generate --image registry.k8s.io/kube-apiserver:v1.31.0 --format json

この一行で、kube-apiserverがGo言語で作られ、暗号化やID管理のためのライブラリを使用していることが簡単に確認できます。

SBOMは、セキュリティチェックやライセンス管理に役立ち、安全で信頼できる環境を整えるための強力なツールです。ぜひこの機会に試してみてください。

いいなと思ったら応援しよう!