10年前の私。
何かの裏紙に走り書きした懐かしい文字を見つけた。
この時、私は言葉を喋ることができなかった。
声帯ポリープが疑われたのは、今からもう10年以上も前のこと。
当時、私は小吉という2人組のアコギデュオで音楽活動に励んでいた。
学生時代から結成したデュオでは、社会人になってからも音楽活動の情熱は人一倍強く、未来に希望を持って活動していた。
ある冬の日。
いつものように相方と集まって練習をする。
そして、いつものように自分たちのオリジナル曲を歌う。
それが、何故かその日だけはファルセット(裏声)が出ない。
空気が抜けるみたいに、どうやっても出ない。
当時、相方にはふざけてるんじゃないかと思われたと思う。
「ちょっと疲れてるのかな?今日は調子が悪いだけ」
自分にそう言いきかせて、年明け集まる時には良くなってるだろうと軽く考えていた。
ところが、予想に反して年が明けても思うように歌が歌えない。
「これは、おかしい…!」
2013年がスタートしたばかりだった。
そこから、目に見えない声の病気との闘いがはじまる。
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