令和に八朔祭は消滅するのか-300年続く祭りを次の世代へ渡す使命-
第3回 祭りを行う上での形式(体制)について(2)
他の祭りやイベントとの比較
前回は、主に、年番制度について掲載しました。今回は、他の地域の祭り・イベントとの比較をすることで、那珂湊のお祭りの特徴を発見できるのではないかと考えています。
1.集客数の比較
平成22年度の茨城のイベント別集客数
比較して見えてくること
・PR力不足
・知名度不足
・閉塞的
・他地域より存続が困難
この表から、年度は違うものの、集客数に関しては他の祭りやイベントに大きく突き放されてしまっているのが、分かります。
この集客数が少ない原因として「PR力不足」や「知名度不足」が挙げられます。
これは、那珂湊の人たちだけでやろうとする団結力(悪く言えば閉塞感)が少なからず影響していると思われます。
一昔前ならば、那珂湊の人たちだけでお祭りを行うことができましたが、今の状況や将来的なことを考慮すると、外部の人(湊に住んでいない人)を取り込むことが必要になると考えています。
外部の人を取り込むためには、やはり認知度が必要となります。
先ほど比較した茨城の祭り・イベントのように、ある程度集客数が見込めているようであれば、将来の心配を過度にする必要はないと思われます。
しかし、那珂湊は近郊の地域の祭りよりも集客数が劣っている以上、積極的にPRをし、多くの人が祭りに参加しやすい環境づくりを行うことが急務となるのではないでしょうか。
2.祭りに参加する入口(若連等のお祭り組織と子供会の在り方・関係性)について考える
① 既存の組織の問題点
那珂湊の祭りに参加するための主な入り口として、(1)子供会や(2)若連等のお祭り組織が挙げられます。
しかし、活動を停止している子供会があったり、子ども会に入らない子供の数が増えてきていたりしているため、子どもが祭りに関わる機会が失われています。
また、若連等のお祭り組織においても、運営資源である「人」と「お金」が不足しているという課題を抱えています。
両者の関係性についても、対立が起きているところもある現状を踏まえると、祭りに参加するための入り口が十分に機能していない状況にあります。
このままでは、どちらの組織も持続可能な組織運営ができないため、今後、相互に良い関係性を築くことや組織自体の見直しをして、従来以上に人を取り込むための工夫が必要だと考えています。
②今後、どのような対応が求められるのか
まず、子供会に関して、子供会に入っていない子供が多くなっている状況を踏まえ、子ども会に入っていない子供も容易にお祭りに参加できるような環境作りが必要になると思います。
そうすることで、子供たちは今までよりもお祭りがより身近なものになるのではないかと考えています。
また、お祭りの組織においてはそれぞれの町内コミュニティの結束力が強いため、初めて参加したいという人がそのコミュニティ内に入りにくく、祭りに参加できないという意見があります。
そのため、湊フェスタの際に市民山車を運行させるなどの工夫を施したり、大々的に参加者を募ったりすることで、参加のハードルを下げ那珂湊のお祭りの魅力を知ってもらう良いきっかけを作ることが大切になるのではないかと思います。
③新たな祭りに参加するための入り口
那珂湊のお祭りは、主に、一小・二小地区で行われているため、この2つの学区の人が祭りの参加者の大半を占めています。
以前まで御祭禮に参加していた十三奉行が現在は参加していないため、三小学区の人は祭りに参加できていません。
三小学区の人が祭りに参加ができるように、新たな入り口を設けることが望ましいと考えています。
さらに、那珂湊の住民でなくとも、誰もが参加することができるような明確な仕組み(ガイドライン作成や興味を持ってくれた人を受け入れる組織をつくるなど)を設け、那珂湊の外からの参加者を増やすということも考えていかなければならないのではないでしょうか。
まとめ
今回は、他の地域の祭り・イベントと那珂湊のお祭りと比較していきました。
比較をすることで、他のお祭りの取り組みを参考にできたり、那珂湊のお祭りの特徴を再認識することができると思います。
そして、他の祭りの良いところを模倣したり、那珂湊のお祭りの強みの点をこれまで通りに続けたりすることで、持続的に継承可能なお祭りをつくっていければよいと考えています。
★告知
第4回の掲載予定は7月下旬頃です。
また、関連テーマとして、「特別編 祭りを行う上での形式(体制)について 〜大阪府 岸和田だんじり祭から学ぶこと〜」を掲載します。全国的な祭りとして存続している祭りから湊の祭りに反映できる点をまとめました。興味深い内容ですので、ぜひご一読ください。
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