紅白歌合戦の出演基準を読み直すー今年の女性J-POPアイドル枠はどうなるのか?

どうも。みなと4648です。早いもので今年も残すところあと1ヶ月半を切りました。おひさまとしては多少なりとも日向坂46が年末の紅白歌合戦に返り咲くかを気にする時期になりました。CREWとしては花誰でダメだったので期待していません、なぜ当時選ばれなかったのか疑問に思うことが今もあります。そこで今回は、紅白歌合戦の出演基準を読み直し女性J−POPアイドルの出場がどうなるかを考えてみようと思います。


2021年から2023年を振り返る

まずは、近年の女性アイドルの紅白出場について振り返ってみましょう。

2021年

出場:櫻坂46「流れ弾」、日向坂46「君しか勝たん」、乃木坂46「きっかけ」概要:櫻坂46が改名2ヶ月で出場した2020年に続き2回目の出場、乃木坂46は生田絵梨花さんの卒業を祝い本人のピアノのもとグループ随一の人気曲を披露
SNS等で流行した曲:超ときめき♡宣伝部「すきっ!〜超ver」など

2022年

出場:日向坂46「キツネ」、乃木坂46「裸足でSummer」
概要:日本ハムファイターズの応援曲として「きつねダンス」が大流行、日向坂46はそのあおりを受け2年前のカップリング曲を披露することに。乃木坂46は齋藤飛鳥さんの卒業を祝いセンター曲を披露。櫻坂46の連続出場が途絶える
SNSで流行した曲:STU48「花は誰のもの?」、FRUITS ZIPPER「わたしの一番かわいいところ」など

2023年

出場:櫻坂46「Start over!」、乃木坂46「おひとりさま天国」
概要:乃木坂46は2020年「Route 246」以来久々に当年リリース曲を披露。櫻坂46は異例とも言われる返り咲き。日向坂46の連続出場が途絶える
(アイドル枠ではないと推測される若手女性アーティストの出場者:新しい学校のリーダーズ「オトナブルー」、ano「ちゅ、多様性。」)
SNSで流行した曲:高嶺のなでしこ「可愛くてごめん(たかねこver.)」など

選出基準を読み直す

例年「今年の活躍」「世論の支持」「番組の企画・演出」という曖昧な3本柱が選出基準とされています。しかし、それぞれにおいて疑問が残ります。

「今年の活躍」

この項目では以下の4点を参考にしているようです。

(1)CD・DVD・Blu-rayの売り上げ
(2)インターネットでのダウンロード・ストリーミング・ミュージックビデオ再生回数・SNS等についての調査
(3)有線・カラオケのリクエスト等についての調査
(4)ライブやコンサート

ここに関する疑問は言うまでもありません。「ダウンロード・ストリーミング・ミュージックビデオ」で坂道グループ以上の数値を叩き出すことは少なくなく、「SNS」に関してはむしろ体感では坂道グループが話題になることの方が少ないまであります。試しに2021年のMV再生回数を見てみましょう。

櫻坂46「BAN」(2021/4/14発売)1282万回
日向坂46「君しか勝たん」(2021/5/26発売)1660万回
乃木坂46「僕は僕を好きになる」(2021/1/27発売)1717万回
超ときめき♡宣伝部「すきっ!〜超ver」(202/5/19リリース)1387万回
(再生回数は2024/11/18執筆現在、一番再生されている動画の数値を掲載)

このように、超ときめき♡宣伝部の再生回数は坂道グループ並みでしたが紅白に出場できませんでした。しかし、SNSでは坂道のどの楽曲よりも話題になっていたと記憶しています。

また、「有線(中略)のリクエスト」についても疑問があります。「2022年間USEN HITランキング」でSTU48「花は誰のもの?」が第10位、坂道グループでトップ30にランクインした曲はありませんでした。明確な差異があるにも関わらず、この年STU48は出場を逃しています。

CDの売り上げに関しても、オリコンシングルランキングを2023年に関して見ると乃木坂が最高4位(前年と同じ)、日向坂が最高11位(前年より4つ上昇)、櫻坂が最高16位(前年より3つ上昇)、STU48が28位(前年と同じ)でしたので、必ずしも順当とは言えません。もっともそれぞれの指標1つだけで線引きできるほどではない微々たる差異ではあるといった方が正しいでしょう。

ライブやコンサートについては客観的に指摘することが難しい項目です。

「世論の支持」

この項目では以下の2点を参考にしているようです。

(1)NHKが行った世論調査の結果(質問は「紅白に出場してほしい歌手男女3組」)
(2)NHKが行ったウェブアンケート調査の結果(質問は「紅白に出場してほしい歌手男女各3組以上10組まで」)

「世論の支持」はNHKの調査で決定しているようで、公開情報ではないので何とも言えません。アイドルに関してはおそらく「今年の活躍」の指標が秋元康氏プロデュースグループや旧ジャニーズ系のCD多売商法の影響を大きく受けるため、それを是正するためのものだと考えられます。しかし、女性J–POPアイドルに関してはこれによる変動はないようです。乃木坂46のレコ大登場が「ごめんねFingers  crossed」で途絶えていることから分かるように乃木坂レベルでも近年の話題性が所詮界隈にとどまる規模のものでしかなく、インディーズを含めたアイドル曲もSNSで注目される中で、世間一般に聞いた結果坂道グループが圧倒的に紅白に出場して欲しいと思われているのか、疑問が残ります。

「番組の企画・演出」

言うまでもありません。2022年のテーマ「LOVE & PEACE-みんなでシェア!-」に対して最善であるはずの「花は誰のもの?」が選ばれませんでした。MV再生数、USEN・SNS指標が大幅に伸び選出の下地となる話題性が大きかったにも関わらずテーマでも考慮されていない現状、少なくとも女性JーPOPアイドルにおいてはこれが出演基準として影響しているとは到底考えられません。

他方で、同年日向坂46はきつねダンスブームを受けて(おそらく曲名だけで)「きつねメドレー」に巻き込まれました。これに関する考察は後述します。

選出基準に感じる疑問ー結局はNHKの匙加減?

このように、どの基準・指標を見てもそれがどれだけ重視されているのかよくわからないと言うのが現状です。

かといって、それ以外の社会的話題性を考慮しているとも思えません。AKB48は2020年に12回連続の出場とはならず落選しましたが、AKBグループに激震を与えたNGT48の事件(2018年)が影響していれば2019年に落選していてもおかしくありません。

ただでさえ曖昧な基準をとりながら指標も客観的に見ているとは思えない現状、出演できるかどうかはNHKの意向ただ1つにより決まっており、紅白に出場したことで他のグループよりも活躍していた、などと言うことはまったくもってできないと結論づけるのが妥当でしょう。

とはいえ、NHKの意向以外の部分について見えてくるものもあります。

仮説①:坂道は「SONY枠」、他グループは話題枠?

近年坂道グループ以外の女性JーPOPアイドルが出演していないことを見るに、「SONY枠」が事実上存在していると考えられます。つまり、坂道グループは今年の活躍や世論の支持に左右されない「スーパーシード」の存在だということです。2022年以降の2年間は、その枠が3から2に減らされていたと想像できます。そしてAKBグループの長女・AKB48が妹グループより長く出場したことから1枠は乃木坂で確定しており、2022年は後述する「番組の企画・演出」の関係で日向坂46が、2023年はSONYの意向で櫻坂46が選ばれたと推測できます。2023年櫻坂46が返り咲いたのはもちろん本人たちの努力もありますが、坂道グループ2番手の存在として優先させるべきという経営上の判断が少なからず働いているのではないかと考えられます。欅坂46の正の遺産は全て引き継がせていること、シングルも毎年3作と日向坂より多くリリースしていること、3グループを併記する場合「乃木坂46・櫻坂46・日向坂46」と誕生順に関わらず2番目を固定していることなどがその証左です。先述した通り指標上の優劣は微妙な中、結局のところNHKとしては1枠を他に回すことができればよかったのでは?と思えます。

これに対して他の女性アイドルは話題性によって紅組全体のバランスを見て決定されていると考えられます。最も上に挙げたグループを筆頭に全部のグループが過去3年間年々出場が増えるK-POPグループに話題性で負けているとは到底思えませんが。

仮説②:選出基準には明確な優先順位があるのでは?

こうなると2022年「SONY枠」の残り1つに日向坂が選ばれたのは「キツネ」問い楽曲があり構成上披露して欲しいからに他ならなかったのでは?という思考に至ります。つまり「①②世論の支持・今年の活躍(話題曲がデジタル限定の場合もある他基準間の優先順は不明)、③番組の企画・演出」という順で、坂道グループについては「SONY枠」として「①番組の企画・演出、②事務所の意向」という順で考慮されると考えられます。

結論:「紅白に選ばれること=選ばれなかったグループより活躍している」という式は成立していない

このように、紅白歌合戦の選出基準は曖昧で、女性J-POPアイドルにも枠という概念がある可能性も濃厚です。SNSや有線等で話題に上がったグループが出場できる仕組みとは必ずしもなっておらず、紅白に出場できるかどうかが今年1年の世間の評価一般を代表しているとは到底考えられないのです。これはもはや茶番であり、紅白に出られたからすごいんだとか、紅白に出られなかったから世間一般に評価されていないんだとかいうことは決して言えないのです。選ばれなかったとしてもNHK・事務所の意向や演出にそぐわなかったか、あるいは所属事務所の関係で土俵にすら立てなかったのだなとだけ感じれば良いのです。

2024年の紅白に求めること

このように結論づけても、やはり推しや今年流行したグループに登場して欲しいという気持ちは強くあります。「SONY枠」が残るならせめて坂道から1グループだけ落選などという結果はやめて欲しいですし、単純に「今年の活躍」基準4に当てはまるひなたフェス2024をNHKがどう評価するのか気になっています。また、2021年からヒットソングを連発している超ときめき♡宣伝部はいい加減出場すべきだと思いますし、勢いを増すFRUITS ZIPPERをはじめとするアソビシステムなどSNSを席巻するJ-POPや、=LOVEをはじめとする指原さんプロデュースグループなど新章に突入したJ-POPアイドル戦国時代を印象付けるグループなどが大晦日の夜を賑わせてくれることを期待せざるにはいられません。

終わりに:紅白は誰のもの?

近年、K-POPアイドルの出場数拡大やSTARTO社に関係する男性アイドルグループの出場の是非といった話題で、紅白歌合戦に向けられる視線は厳しいものになっています。今回の女性J-POPアイドルについて考察した結果からも、その年のトレンドを反映した番組になっているか疑念が拭えないことが見えてきました。年末の家族団欒に楽しく見れる、今年の音楽トレンドのベスト版としての紅白歌合戦が帰ってきて欲しいと願うばかりですし、世論・世相を正しく反映した公共放送の公平さ・矜持が見れることを期待しています。

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