真のギタリスト&DTMerのためのデスクチェアを考える
5年間使ったアーロンチェアを売却したので、ギターを使うDTMerに適したチェアは何か?をゼロベースで考えてみました。もちろんチェアに関しては主観によるところが非常に大きいのでご参考まで。ぶっちゃけ実際に座ってみないと何も分からんので可能な限り試座してください。
求める要素
①DTMが快適にできる
②ギター演奏に向いている
③リラックス(仮眠)できる
この3つです。とりあえず欲張りセットからスタートしましたが…
③リラックス(仮眠)できる
まず③ですが、①②を満たしつつリラックス用途にも使えるチェアとなると選択肢が極端に限られることや、チェアで寝ると腰を痛めそうという理由で最終的に諦めました。リラックス用のソファ等は別に用意することにします。
①DTMが快適にできる
アーロンチェアを売却した理由にも詳しく書きましたが、簡潔に言えばPCだけを長時間操作する一部の作業とは異なり、DTMでは機材操作やペーパーワークなどの前傾作業も多くあるため、後傾座のエルゴノミクスチェア全般が向いていないなという結論に至ったからです。
なのでアーロンチェア、エルゴヒューマン、コンテッサなど有名どころの後傾エルゴノミクスチェアは候補から外し、一般的な直立座姿勢のオフィスチェアを候補に残しました。
またDTM用途でもアームレストはあったほうがいいと思いますが、後傾座の高級エルゴノミクスチェアでアームレスト跳ね上げ式のチェアは後で候補に挙げた数点を除いて存在しません。
②ギター演奏に向いている
「ギター用のイスを別に用意する」という選択肢ももちろんありますが、私は可能な限りギターを弾くまでの手数と時間を減らしたい派です。気軽にギターが弾けるほど練習も制作も捗ると思ってます。なのでメインのチェアでギターも快適に弾けることが必要です。
何をもって「ギター演奏に向いている」と考えるかですが、まず後傾座は深く腰掛けても浅く腰掛けても弾きにくいため骨盤が直立するフラットな座面のものがいいです。
次にギターを弾くとき深く腰掛けるのか浅く腰掛けるのか。私はアーロンチェアでは浅めに腰掛けていたのですが(そうしないと弾けないので)、試しに事務所で使ってる一般的なオフィスチェア(イトーキ Colt)でもしばらくギターを弾いてみたところ、フラットめの座面で深く腰掛け、背もたれに背中をつけて弾くと長時間の制作でギターを抱えっぱなしにしても疲労が少ないらしいことが分かりました。やはり長時間作業するならギター用途でも深く腰掛けて背もたれのサポートを使った方がよさそうです。
そこでチェアに深く腰掛けた状態でもギターを弾きやすい条件を考えると↓の2つ。
①アームレストなしor跳ね上げ式
アームレストがあると普通に干渉します。なのでアームレストなしか跳ね上げ式(可倒式)のどちらかになります。
アームレストなしでよければかなり選択肢は広がるんですが、腕は2本で10kgほどあるためミキシング等で長時間PC作業すると肩こりの原因になるかもしれません。実際事務所ではアームレストなしのチェアで仕事をしていますが、同じ時間アーロンチェアに座っているよりも肩こりがひどい感じがするんですよね。きちんと比較してないのでなんともですが、ここはこだわってアームレスト跳ね上げ式(可倒式)のチェアに絞ることにしました。
②座面枠のサイドが反り上がっていないこと
メッシュ座面は構造上どうしてもフレームが必要になるので、ボディとの干渉やギターにキズが付くことを考えるとギターも弾くならむしろフォーム座面に絞ってしまってもいいくらいかもしれません。
その他
座面の最低高
身長÷4、身長170cmなら425mm程度まで下げたいところです。特にギターを弾く場合は太ももが斜めだとギターがすべるので太ももが床と水平になるまで下げられた方が弾きやすいと感じるかもしれません。ただし足台やフットレストを置いて調整できるので最優先事項ではありません。
脚部の素材
メタルの方がカッコいいですが冬場はめちゃくちゃ冷たくなります。選択肢があり耐久性に問題がなければ樹脂製をおすすめします。
候補
というわけで条件をまとめるとこんな感じです↓
・座面がフラットめで直立座が取れるチェア
・アームレスト跳ね上げ式 or 可倒式
・座面枠とギターボディが干渉しない
・座面が430mmくらいまで下がる
・できれば脚が樹脂製
アームレスト跳ね上げ式ではアームレスト自体の調整機構(高さや位置)がない簡易的なものになっているモデルも多いのでそれらも除外しました。
この条件で探したものをいくつか挙げます。
Wavebone Voyager II、Viking
いろいろ考えて最終的にはVoyager II (Foam)を購入したので最初に書きます。Voyager II (Mesh)、上位モデルのVikingもまとめて単体レビュー記事を書きました↓
以下は候補に挙げたものの見送ったモデルです↓
サンワサプライ150-SNCM030
エルゴノミクス系でアームレスト跳ね上げができます。スペック的には良いのですが最低座面高485mmは高すぎます。試座してませんが後傾座なので見送りました。
HINOMI H1 Pro V2
これも後傾座のため除外しましたが、海外でギタリスト向けにおすすめしている人がいたので興味ありそうな方のために載せておきます。試座してませんが結構座面枠が反り上がっているように見えるのでギターと干渉しないかが心配です。
TOKIO EN01
これもエルゴヒューマン系でアームレスト可倒式です。リラックス用の装備も充実してます。要予約ですが東京と岐阜の2か所で試座できるようです。ネットのレビューがあまり芳しくないのもありますが、座面が大きすぎ(座面前端〜背もたれが500mm)て膝裏が当たりそう&アームレスト間隔が広すぎて左右調整もできないため見送りました。
HAG Capisco Chair
かなり個性派で、チェアとサドルの中間みたいな形状なのでギタリスト向けにおすすめする声を見ました。恵比寿で試座できたので座ってみましたが、アームレストの張り出し部分(↓)がギターボディに干渉してしまいました。
またPC作業時にアームレストが使えない、ロッキングを垂直でロックできない(=常にロッキング可能な状態なのでしっかり背もたれに体重をかけられない)、脚の間に来るサドルの凸部分が大きく硬いので脚を閉じられない、アームレストと一体の背もたれが左右にガタつくなどビルドクオリティが微妙、樹脂モデル(Capisco Puls)はアームレストが樹脂むき出しで快適でない、など良くない点が目につき、正直これに数十万出すならサドル型で背もたれが付けられるドラムスローンとかで十分では…?感が否めませんでした。
コイズミJG6
こういう一般的なオフィスチェアでアームレスト可倒式というのは意外と貴重です。これも試座してみて、(フォーム座面なのもあり)ギターを抱えても干渉する部分がなく割と快適に弾けるのですが、ロッキングを垂直でロックしてもかなり遊びがあり、背もたれに体重をかけると5度くらい後傾してしまうため、あまりフラットな座面のメリットを活かしきれていない印象でした。PC作業ももうちょっと前傾姿勢が取れた方が好みです。アームレストも高さ調整のみで前後・左右の調整ができません。ヘッドレストは固定式で一切調整できず、体格によりますが私の場合ヘッドレストの一番上の枠が後頭部に当たってしまいました。ランバーサポートは簡素ですがJG5のように痛くはないので悪くないです。価格の割にビルドクオリティが微妙で、レビューでも耐久性が低いという声が多めです(試座したものもアームレストを倒すロックボタンが壊れてました)。
コイズミJG5
試座済み。ロッキングの遊びはJG6ほどではないものの、樹脂製のランバーサポートが岩のように硬く、ロッキングすると背骨を折られる気分になりました。
ハーマンミラーミラ2チェア
試座済み。ミラ2はアームレスト調整範囲が広く「限界まで下げればギターが弾ける」という声もありましたが、普通にボディが干渉してダメでした。その他の座感や品質はアーロンチェアの方が上という印象。傾斜がついたアームレストはPC作業でも違和感が大きそうで人を選びます。