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小型ギターアンプ比較
小型アンプをいくつか購入・試奏したので感想のメモ。基本ドロップC以下でメタルコアばっかり弾いてるので歪みを重視してます。普段はKemper ProfilerをApollo Twinに繋いでモニタースピーカーで聴いています。
LEKATO JA-02 II
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2023年発売でレビューが良いので買ってみました。
JOYO JA-02 IIと同じ製造元のOEMと思われます。バッテリー容量などマイナーな違いはありますが単純にブラックがよかったのでLEKATOに。
良いところ:評判通りかなりサウンドデザインが良いです。全帯域バランス良く出ていてクリーン、クランチ、リードどれも使える音だし、アナログなのでレスポンスも良く弾いていて気持ちいい。
微妙なところ:あくまで「このサイズとしては良い」のでローが太く出たり、色気・ピッキングニュアンスが付くものではないです。サイズなりの音。ZO-3の内蔵スピーカーを強化した感じ。
Positive Grid Spark GO
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こちらも2023年発売。
良いところ:モデリングは上位機種と同じなので良いです。Appも操作しやすい。鳴り方は筐体なりですがローもしっかり出てます。質感も価格相応に良いです。
微妙なところ:出力に対して筐体が小さすぎ&貧弱すぎます。クリーンでも音量を稼げるように最大音量を大きく設計してるんだろうけど、クリーンでも歪みでも一定以上の音量を出すとコーンあたりから「バリバリバリ…」という異音(音割れ)が生じます。設定や別個体も試して同様だったのでこういう仕様っぽい。音割れしないようにするにはかなりボリュームを絞らなくてはいけません。「ギグバッグに入れて常時携行したい」「音質・音量より小ささが最優先」という明確な目的がない限りSpark MINIがすべての点で優れています。高級なオモチャ、ガジェットの域を出ない印象でした。
BOSS KATANA-MINI
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前出のJA-02 IIとSpark GOを売って買いなおしたのがこちら。発売は2017年。こちらはTHRやSparkとは異なり純粋なアナログソリッドステートアンプです。刀シリーズでもアナログ回路はこれだけらしい。
良いところ:アナログ回路だけあってレスポンスは抜群に良いし、デジタルの悪い部分がないので弾いていて気持ちいい。Amplug Metalとか持ってましたがあれに近いオーガニックな歪みです。事前にYouTubeで聴き比べた感じローが薄いペラい音か?と思ってましたが実際に聴くと必要十分なローが出てます。コーンもこのクラスでは10cmと大きく余裕を感じます。7弦ドロップAでもきちんと歪みレスポンスも落ちないのが気に入りました。ダウンチューニングは質の悪いデジタルだと粗が出やすいです。
微妙なところ:真空管でもなければ最新のモデリングアンプでもないので深く歪ませても音が潰れない余裕感・立体感はないです。Spark MINIと比べれば歪みの質感はグシャっとして平面的。このサイズとしてはかなり良いですがあくまでトランジスタミニアンプの限界は感じます。
好みの問題ですがBOSSはJC-120からイメージできるように全体的にクール・シャープ・寒色系の音なので、「真空管=丸い温かい音」とイメージしてる人にはTHRとかの方が合うと思います。
YAMAHA THR5 V.2
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こちらは試奏のみ。ぼっちちゃんアンプですね。THR10は後継機が出ましたが本機は2014年発売と10年以上経ってます。
良いところ:クリーン、クランチはBOSSよりむっちりしていてウォームでローが出ます。クランチのピッキングに対するニュアンスは非常に真空管的。FX沢山で楽しいし、ステレオなので空間系かけたときの拡がり感、包まれ感はとても気持ちいい。
微妙なところ:デジタルアンプは日々急速に進化しておりまさに日進月歩ですが、10年以上前に発売されたTHR5 V.2は特に歪みで古いモデリング特有の飽和感、低解像度感があります。これでめちゃくちゃ安いなら考えますが今でも2万以上するので、もうちょっと頑張ってTHR10IIやSpark MINIを買った方が絶対良いです。THR5IIが出れば最高なんですが。
YAMAHA THR10II
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こちらは所有している友人がいたためじっくり試奏させてもらいました。
良いところ:マイルドすぎてモコモコ、音抜けが悪いと言われるTHR5 V.2と比べると全体的にシャキっとしていてモダンです。モデリングも全て作り直したそうで、Appでバンクを変えるとさらに大量のモデリングにアクセスでき誰にとっても納得できる音が作れそうです。チューナーもついてるしAppでコンプやゲートも使えるのがデジタルの強み。
悪いところ:見た目の好みが分かれる以外は欠点らしい欠点がないのでド定番なのも頷けます。個人的にはブラックモデルが出てくれたら欲しいのですが、カラバリは巨大な30Wモデルにしかありません。↓のSpark MINIもですがここまで多機能なアンプをいじる時間があったらKemperを立ち上げるので私の用途には合いませんでした。
Positive Grid Spark MINI
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こちらも楽器店で試奏のみ。
良いところ:Spark GOと同じ2インチスピーカーなのでコーンの音割れは同じように発生するのでは?と思って試奏したのですが、全ての面ではるかに余裕があり試奏した限りでは音量Maxでも明確な音割れ・異音はありませんでした。デジタル部はさすがPGで、今回試した中では圧倒的にハイファイ、緻密、高解像度で瑞々しい音。いくら「モデリングはな~」とか言ってもアナログミニアンプや10年前のモデリングアンプでは超えられない壁を軽々と超えてます。
ハードウェア操作を最低限に割り切って煩わしいApp操作を前提とした代わりにAppの操作感は優秀。ストレスなく使えるし、アンプもFXも豊富なのでウォームからクールまで今回挙げたすべてのサウンドが自由に作り込めます。
微妙なところ:私個人の運用の問題ですがKemperのサブとして「弾きたいときに即座に音が出せる」という目的からするとゲインやEQすらスマホと接続してAppを立ち上げないといけないというのはやはり面倒です。多少手間がかかってもメイン機として音が良くて多機能なアンプが欲しい人向け。
買ったもの
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今回は「KemperとApolloとモニタースピーカーを起動するのがめんどくさい時にサッと音が出せるシンプルでコンパクトで音が良いアンプ」を探していたのでBOSS KATANA-MINIにしました。アナログなのでこのアンプにはこのアンプの音しか出ませんが、3チャンネルどれも素晴らしいサウンドで、5150好きなのでBROWNチャンネルさえあれば他の歪みは要りません。App不要のシンプルさ、アナログ実機の満足感、3バンドEQも良いです。音作りに向ける集中力と時間をすべて演奏に向けられるシンプルさが本質的な美点だと思います。