最近買ったプラグインのレビュー
最近またプラグイン沼にハマっていくつか買い足したので、買ったものと検討したものの感想を書いておきます。
いつも言ってますが僕は一人でなんでもやるアマチュアDTMerであってミキシングエンジニアではないので、簡単に、素早く、そこそこいい結果になればいいと思ってます。なのでシリアスなミキシングをしたい人の参考にはなりません。
ちなみにこういうレビュー記事を読んでると「偉そうに語ってるけどお前どんくらいのレベルなの?」って思いますよね。そういう方には作品聞いてもらうのが一番早いと思います。これ聞いて判断してください。てか曲聞いてください。お願いします。
Valhalla DSP - Valhalla VintageVerb
リバーブって本当にめんどくさいし迷うので、僕は2種類だけに絞ってます。すなわち、①リアルな空間表現、奥行き、陰影をつけるためのナチュラル&スムーズなリバーブと、②「リバーブ鳴ってますよ!」感を出すための聞かせるヴィンテージ系リバーブ。(PlateやShimmerはまた別)
①はFabfilter Pro-Rを使ってます。iZotope Neoverbも持ってるけど、Pro-Rほどナチュラル&スムーズでないのと、tweakがやりづらいのと、負荷が高めなので使ってない。Valhalla Roomもデモったけど結構荒いサウンドでやや古さを感じるし、ERとTailが別ページなのはありえない。
②はH-Reverbとか使ってたけど、負荷が高く、UIが取っ付きづらく、プリセットがアーティスト系ばかりで全然使いやすくなかったので新しいものを探してました。ヴィンテージ系というととりあえずUAD Lexicon 224とかRelab LX480とか人気だけど、Lexiconって実機知らない人からしたらめちゃくちゃ取っ付きづらいじゃないですか。しかも当然、224なら224の音しか出ない。
僕は「これ1つで色んなカラー出せまっせ!」みたいなものが大好きなので、VintageVerbにしました。モードが沢山あるし、安いし、動作軽いし、操作子が1パネルに収まっている。スネアやヴォーカルにEMT 140でなんかしっくりこないときに使おうと思います。シンセリード系にかけるととっても濃密で良い。
iZotope - Ozone 9 Advanced
Ozoneはアシスタント機能やマザーシップは全く使ってません。その上で、個別モジュールには良さげなものがあるのでO8Aからアップデート。
特に気になっていたのがLow End Focus。簡単にローエンドに迫力を付けられて、副作用がほとんどないので気に入った。これはレイテンシが鬼だけど、それだけ裏側では複雑な処理がされているんだと思う。ちなみにR-Bassのようなベースエンハンサーではないようなので、あくまでローエンドが存在する2mixのローの存在感をコントロールするもの。ベースエンハンサーとしてはLeapwing Audio RootOneが評価高いが、高いのでまだ手を出してない。
Master Rebalanceは、ミキシングで使うことはないけど、カメラのマイクで録っただけのバンドのリハやライブ音声をいじるのに使えるかもしれない。割と自然にバランスを変えられる。ドラム練習用に擬似マイナスワンを作ったりもできるね。
その他はO8Aからあまり変わってないけど、マルチバンドのImagerは必ず使う。
ヴィンテージ系各種は、マスタリング用だからあまり突っ込むことは想定されてないのかもしれないけど、どれもかなり歪みやすくて、これを使うならそれぞれUAD等の個別プラグインを使った方がいいと思う。ただVintage Tapeは割とイメージするテープ感に近いので使うこともある。
(追記)Vintage Limiterにサイン波を入れて実験してみたところ、TubeモードでCharacterがおよそ0.2以下になるといきなりハーモニクスが増えるようです。Modernモードも名前の割に倍音が多く、Tubeモードのようにノンリニアではないものの、0がもっとも歪み、値を上げると倍音も減っていく。Vintage Limiterはリリースが遅く、それを速めようとCharacterを0にするとブワッと倍音が増えるので、挙動を頭に入れつつ慎重に設定する必要がありそう。いずれにしてもVintage Comp/Limiterは他社の実機エミュよりも色付けに重きを置いたモジュールなんだなと理解しました。もちろんプロのエンジニアが絶賛している製品なので「悪い」と言いたいのではなく、「適当に使うと良くないね」という当たり前の結論。
マキシマイザーは歪み始める限界は低いものの、割と突っ込んでも原音のトランジェント感やバランスが破綻しづらくて、これしか持ってない人はこれでいいじゃん、という感想(IRC IVの場合)。特に今時-6LUFSとかまでマキシマイズすることはないので、そこまでマキシマイザーの性能に拘る意味もあまりない。ただ、手持ちのOzone、Pro-L2と比較してもA.O.M. Invisible Limiterが歪み耐性でもトランジェントの保持でも今だに最高性能なので、自分が使うならA.O.M.。Invisible Limiter G2については、パラメーターが無駄に増えた上にレイテンシも増大してるので、LN時代に18,000円出すほどの費用対効果が見込めずアップデートしていない。
O9は負荷が軽くなったらしいけど違いはほとんど分からなかった。
iZotope - Neutron 4
まとめてMPS5にアップデートしたのでNeutronも新しく。もしかしたらEQもコンプもiZotopeに統一できちゃうのでは…と期待してみたものの、結論からいうとFabfilterには勝てなかった。
まずEQ。Q幅の調整がシビアすぎて、ちょっと動かしただけで大きく変わってしまう。ハイパスローパスのスロープがデフォルトで-6db/oct。MS処理ができない。など。EQはN3から変わってないけど。
コンプはなぜかデフォルトで3バンド分割になっている…。これは普通に個別トラックのコンプとして使うには使いづらすぎる。新しく追加されたPunchモードも、これはトランジェントシェイパーじゃないの…?(Punchモード自体は使いやすくはある)。それからOptoコンプモードがほしい。などなど。
まあFabfilterがあるならFabfilterを使うのが正解でした。
良かったものもあって、Exciterモジュールに追加されたTrashモード。これが地味に神。Trash 2自体はちょっとできることが多すぎて以前デモったものの買いはしなかったんだけど、これは非常に直感的にサウンドデザインができて、XYパッドでモードを即座に切り替えたりブレンドしたりがサクサク試せる。Toneスライダが単なるポストEQではなくて、きちんとハイローの歪みバランスが変わるのも良い。
ちなみに破壊系のディストーションはほぼスクリームヴォーカルにしか使わない。サチュレータとしてはSaturn 2は必須プラグインだけど、破壊的なディストーションとして使うにはInputをかなり上げなきゃいけないし、モードの切り替えも2階層メニューを潜る必要があるので、即座に、とは行かないのが悩みだった。
Unmaskモジュールも新顔。これはWaves FactoryのTrack Spacerに相当するサイドチェイン専用のスペクトラルコンプですね。こういう処理はあまりやらないのでTrack Spacerを単品で買うほどではなかったけど、Neutronに入ったことで気軽に試せるようになったのはありがたい。ただしやや負荷が高い。
iZotope - Trash 2
セールで1,500円程度だったので、結局その後フルバージョンのTrash 2も買ってしまった。当然Neutron Exciterよりできることは多く、FAULTYフォルダの"Bad Breakup"モードとかは、Lorna Shoreっぽいイカれたスクリームを真似できるので楽しい。ただやはり機能が多すぎて取っ付きづらいので、とりあえずはモードをパチパチ切り替えていくとこから始めるべきだね。
UIが古臭く(実際古いプラグイン)、最近のiZotope製品のような洗練された操作性はないので早くTrash 3がほしいところ。ゲインマッチとXYのブレンドパッドもつけてくれ。
破壊系ディストーションでは他にWaves BerzerkとかUAD Culture Vultureとかもデモったけど、Trash 2の方が単純に出せる音の種類が多い。こういうクリエイティブ系はパレットが大きいほどいい。
おわり
こんなとこです。ド定番ばかりのNothing Newで申し訳ない。ただ最近、真新しい製品よりある程度定番を買った方がハズレが少ないなと気付いた。