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【ルイーズ・ブルジョワ展】 作品一つ一つから彼女の叫びが聞こえてくるような密度の高い展覧会
ルイーズ・ブルジョワ展へ
森美術館で開催されている「ルイーズ・ブルジョワ展 地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ」を見てきた。
恥ずかしながら今までルイーズ・ブルジョワのことは知らなかったが、「地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ」という副題に惹かれて展覧会へ行く事を決めた。この文章を見た時、絶対私はこの展示好きだろうなと思ったのだが、実際私の好みぴったりだった。
森美術館は六本木ヒルズ森タワー53階にある。エレベーターをぐんぐん登っている時点でアトラクション感があり期待値が凄い。
帰りにふと思ったが会場内にあった大きな蜘蛛の作品をどうやってここまで運んだのだろうか…?めちゃくちゃ大きいエレベーターとかがあるのだろうか。
作品紹介
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パフォーマンス《宴/ボディ・パーツのファッションショー》より抜粋
外にいる姿が馴染み深いブルジョワの蜘蛛が狭い部屋の中に閉じ込められている姿を見るのは新鮮でなんだか面白い。後ろではパフォーマンスの映像が流れている。この映像の音声は他の部屋にも響いており、それが静まった展覧会の中でBGMのような役割を果たしていてとても良かった。
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部屋に入った瞬間、美しい景色すぎてびっくりした。これは高層階ならではの展示方法だ。夜景バージョンも見てみたくなる…。ヒステリーは女性特有の病気だという固定観念から解放された様子を解放的な空間で表しているのだろうか。
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防火扉に囲まれた小さな椅子の前には鏡があり、防火扉の内側には数本の槍も刺さっている。説明するとこれだけのことだが、解説にある通り叱責されている子供のような苦しい・辛い心情が伝わってくるのですごい。直接的な表現はないのに中を覗き込むたび胸が痛くなる。救ってあげたいがただの鑑賞者には何もできない。小さな椅子はここで永遠に罪を反省させられるのだろうか。
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私が惹かれた副題の元となった作品。色合いは薄いピンクに水色とかわいらしいが、何度も針を刺され立体的に浮かび上がった文字やシワが寄った布に生々しさを感じるような気もする。
展覧会を見た感想
作品一つ一つから彼女の叫びが聞こえてくるような密度の高い展覧会だった。作品はどれも大体作者の思いが詰まっているだろうと言われればそうなのだが、一見シンプルな見た目の作品から苦しみ・欲望・苦悩・怒りのような様々な激しい思いがぶつかってくるような体験は初めてだ。
作品の見た目の話で言うと、ピンク、赤、水色といった配色が印象的だった。
ピンクといえば女性らしい色という固定観念があり、女性に押し付けられた役割を表現するようなブルジョワの作品にうってつけだ。内臓や性的な生々しさも含んだ色である。今回の展覧会のキービジュアルにも使われている。
ブルジョワにとって赤は感情の激しさを伝える色であり、その他にも血、痛み、暴力、恥などを意味しているという。(「部屋X (肖像画)」キャプションより)実際、ブルジョワの真っ赤な作品は子供が見たら恐怖で泣き出してしまいそうなほどの激しい怒りや憎しみを感じられるものが多かった。しかし、その奥には静かな悲しみのような感情も感じられた。
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水色は激しい感情の中に混じる一滴の純粋さ・素直さのような物を感じさせられた。特に最終章の青空の修復には水色が印象的な作品が多かった。前半で高まった激しい思いを最後に沈めるような順路になっているのだろうか。
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芸術の良いところはマイナスな感情を作品として昇華できるところだと思っている。私もブルジョワほどではないが、日頃悩みや苦しみを感じていることが多い。行き場のない叫びを芸術に託してみても良いのだろうか。
ミュージアムグッズ
ミュージアムショップにはアパレルやお菓子、紅茶など様々なグッズが売っていた。私はこのアクリルマグネットを購入した。(かわいい)本来柔らかな布でできている作品がつるつるのアクリルになっているところが面白くて気に入った。
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