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【デ・キリコ展】 キリコの世界にどっぷり 【感想】



デ・キリコ展へ


上野の東京都美術館で開催されている、「デ・キリコ展」を見た。
ジョルジュ・デ・キリコは後に「形而上絵画」と呼ばれる不思議な絵を描く20世紀の画家だ。サルバドール・ダリやルネ・マグリットなど様々な芸術家に影響を与えている。
私は好きな芸術家であるハンス・ベルメールがキリコに影響を受けていたというのを知って今回の展覧会に興味を持った。


1 自画像・肖像画


展示は5つのセクションに分かれており、初めは自画像だった。展示室に入ると部屋自体もデ・キリコの世界観に合わせてデザインされておりテンションが上がった。
「自画像のある静物」は一見普通の静物絵画だが小さな自画像が背景にあるのが面白い。


2 形而上絵画


デ・キリコはイタリア広場に啓示を受け、形而上絵画を描くことになる。やはりここのセクションが一番デ・キリコだ!という感じがする。

塔の絵を最初に見ることで、その後の絵に塔が登場するとメインではないのにやけに気になるようになってしまった。赤色の塔、なんか良いな。キリコが惹かれたのもわかる気がする。

形而上絵画は本当に脈略のないものが描いてあるので、絵の隅々までしっかり見ようとしても不思議と全体を把握することができない。さっきの絵になんのモチーフが描いてあったかすぐ忘れてしまう。それでも繰り返し出てくるモチーフは記憶に残る。ビスケットは事前にビスケットがミュージアムショップで売っていることを知っていたので美味しそうだな…という気持ちで眺めていた。

メインビジュアルにもなっている「形而上的なミューズたち」はやっぱりインパクトが強い。赤いマヌカンの顔にぽっかり空いた暗闇が魅力的。
「不安を与えるミューズたち」はタイトルも含めなんだか良い。不安を与えるってなんだ?と思うが、左のマヌカンの赤く膨れた頭部と右のちょこんと座ったマヌカンの四つに分かれた足をじっと見ていると確かに不安になってくる気もする。
マヌカンが座った時の下半身が上半身に比べてとても小さいのは荘厳さを出すためらしいが、私にはなんだか可愛くも見える。

私にも早くデ・キリコにとってのイタリア広場のような存在が早く現れてほしいと願った。


3 1920年代の展開


ここで「剣闘士」「室内風景と谷間の家具」などの新たな主題が出てくる。絵のタッチもルノワールに影響されたようなものになる。デ・キリコにルノワールのイメージはなかったため驚いた。絵の上手い人もまた別の絵の上手い人から勉強しているのだと実感できた。 


4 伝統的な絵画への回帰


こちらのセクションの絵もデ・キリコの代表的な絵とだいぶ印象が違い、いわゆる写実的な絵だ。デ・キリコに限らないがモデルになってくれる家族や恋人がいることにちょっと羨ましくなってくる。


5 新形而上絵画


「オデュッセウスの帰還」、とてもシュールで良い。というかこの年まで長生きして絵を描いているのがまず凄い。
月と太陽のモチーフも良い。このコードがついていて点灯している月と太陽たちはなんだか子供部屋に置いておきたくなる。
彫刻作品はどれもキラキラしていて、これ照明の当て方考えるの大変だろうな、照明によってだいぶ印象変わっちゃうな…と考えていた。
舞台のための衣装のデザインがキリコらしくて可愛い。現代風にしてアパレルで出してほしい。


グッズ


デ・キリコの絵をイメージした木製の塔や積み木が可愛すぎる。おしゃれなイタリア食材もあってお腹が空いた。沢山あって悩んだ結果気に入った絵のポストカードとクリアファイルを購入した。

まとめ


思ったよりもボリュームがあり非常に満足した。やはり会場内もデ・キリコの世界観のような空間になっているのが非常に良かった。不思議で奇妙な形而上絵画だけでなく、比較的普通の絵もあることでよりデ・キリコに対する理解が深まった。あとデ・キリコが哲学に傾倒していたことを知り、私も勉強したくなった。やっぱり美術と哲学って近いよね。
写真は撮れないのでこのように感想は早めに書き留めておくのが良いなと思った。(このnoteのサムネになっているようなフォトスポットはある)

東京での展示は8月29日までなのでお早めに…!


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