僕の小規模な退職 その30
今年は何かしらのコンテストやコンペに挑戦したい。
昨年末から年明けにかけて心の中にそんな気持ちが出てきた。
何のことかというと、ずっと続けてる趣味の「模型」のことだ。
子供の頃、プラモデルが好きだった。
初めて作ったのはたぶん1/100のゴッグだったと思う。
今でいうところの旧キットの方。
スナップフィットではないから接着剤を使う必要がある。
たしかキットに同梱されている接着剤を使った記憶がある。
それじゃ全然足りなくて最後の方はセロテープでくっつけたような気がする。
たしか幼稚園年長か小学校低学年くらいだったと思う。
その後はガンプラはもちろん。
ゾイドとかマシン英雄伝ワタルのプラクション、ミニ四駆やBB戦士とかを経てタミヤ1/35MMなんかを作った記憶がある。
訳も分からずに戦車を作った。
なんとなくパッケージのカッコ良さとかで選んで買っていたと思う。
たしか一度だけ塗装とジオラマにも挑戦したはずだ。
今みたいに情報が手軽に入らなかったから作り方もわからず指紋ベタベタの出来だったと思う。
それでも自分で作ったものには愛着が沸く。
下手な仕上がりでもこう思っていた。
「カッケェ…。」
中学に上がってからはプラモデルから遠ざかった。
高校の時もそうだ。
部活とか受験とか、色々理由があったと思う。
その時の楽しい事が他にあったんだと思う。
大学3年くらいの時かな。いや4年だったっけ。
なにやら最近のガンプラが凄いという話を聞いた。
当時はMGとかPGが登場して数年経っていた頃だったと思う。
大学の友人がキットを組み上げたらしく観させてもらった。
たしかMGザク2だ。
「無改造でこんなに格好良いの?」
「塗装無しでこんなに色分けされてるの?」
記憶にあるガンプラと違いすぎた。
久々に模型店に赴きMGドムを購入して組み立てた。
「カッケェ…。」
その後、もっと安価なHGUCシリーズがぞくぞくと発売された。
当時のHGUCは1,000円未満のキットが主流。
「この値段でここまで色分けされているなんて。」
この頃、友人とよくカプコンの「連邦VSジオン」をプレイしていた。
ゲーセンに小銭をいくらつぎ込んだか分からないくらいハマっていた。
だからというわけでもないが一年戦争のモビルスーツを同じスケールで揃えたいと思っていたのだ。
HGUCシリーズならばそれが可能。
そう思った。
でもまだザクがキット化されていない。
08小隊版のHGは売っていた。
でも他のHGUCとディテールが異なる。
ガンダムの対になるザクが欲しかった。
そんな時にシャアザクが発売された。
すぐに買って組み立てた。
「カッケェ…。」
就職してから再びプラモデルから離れた。
でも20代後半の時。
本屋で目にしたある雑誌を見て、再びプラモデル熱が高まった。
忘れもしない。
モデルグラフィックス294号。
何度も読み返して今では表紙がボロボロだ。
巻頭特集はMSV。
最新キットのMSVでは無い。
当時キット。旧キットの特集だ。
旧キットの事を「モナカキット」と表した内容で、最新キットに出せない味わいを最大限引き出す魅力的な作例が多数載っていた。
引き込まれるように見入った。
神々しいまでの立ち姿。
プロポーションも完璧。
最近のキットでは無いのにだ。
子供の頃、指紋ベタベタで作ったのと同じキットのはずなのに。
関節の可動域が狭い。あのキットたちのはずなのに。
直立の棒立ちしかできなかったはずなのに。
それが素晴らしい程にハの字に股を広げている。
股間を若干突き出して背筋を伸ばし顎を下げて立っているのだ。
素立ちこそ至高と言わんばかりに。
これだ。これが望んでいた姿だ!
「カッケェ…。」
その日は長時間立ち読みしたがその雑誌を購入しなかった。
でも後日、やっぱり忘れられずに購入した。
そこからだ。
プラモデルを再開し、改造と塗装にも挑戦しようと思ったのは。
ツールや塗料もコツコツ揃えた。
雑誌のハウトゥを真似ながら改造もした。
誰に見せるわけでもないのに。
自分だけの愉しみとして。
趣味としての週末モデリングを楽しんだ。
もうかれこれ15年ほど行っている。
何のサークルにも、コミュニティにも参加していない。
それが急に「コンペやコンテストに挑戦したい」という気持ちが沸いて出てきたのだ。
なぜかはわからないが。
なぜか急にそう思ったのだ。
なんだが衝動的に「今年は挑戦の年だ」という感情が降ってきたのだ。
だから出すことにする。
何かのコンペとかコンテストに。
今まで何にも出したことが無いからレギュレーションもよくわからない。
でも今から学ぶ。
絶対に出す。
そして誰かに言われたい
「カッケェ…。」と。
44歳。推定無職。#いま始めたいこと