![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/46434330/rectangle_large_type_2_9b1dfa25af0a9dc8db352e6e6ef2ea45.jpeg?width=1200)
『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン 』について推測してみた。
その2「ラストシーンが“3年後”の理由」
『劇場版 ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン』のラストシーンの原画が展示されて、その中に3年後の指示がある事について考えてみました。
本編の最後、デイジーは
「彼女は受けていた仕事を全て終えると勤めていた郵便社を辞め」
と言っていることから、ヴァイオレットは依頼を全て終わらせてからエカルテ島に行っていると思われます。本編の前半、アイリスが受けた電話で
「御指名のドールは、あいにく3か月先まで予約が埋まっておりまして」
と答えていますので、依頼を終えるには3か月以上かかったはずです……としても、ラストシーンまで3年はさすがにかかりすぎるように思えます。
そこで、3年掛かったのはヴァイオレット側ではなくギルベルト側、すなわちエカルテ島に理由があったのではないかと考えました。
エカルテ島における最大の理由は“ギルベルトが、ヴァイオレットが、ライデンの人間である”という事ではないかと。
本編の後半に差し掛かった時、エカルテ島で嵐に遭って泊めてもらった灯台で、灯台守の女性がモールス信号の電文を見て
「あんた達、ライデンの郵便社から?」
と訝しげだった事を見ると、ホッジンズは“ライデンから来た"とは言えずに灯台に泊めてもらっていた様子。ホッジンズは、学校に着いたときにも噂が広まる事を懸念していたので、戦後数年経っていたとしても、まだ慎重にならなければいけなかったと思われます。
エカルテ島の島民の中には、あの老人のように、戦争は終わったという事を受け入れられるようになった人が出てはいましたが、まだまだかなり少数だったのではないでしょうか。戦争当時はまだ幼かったはずの子供達が、
「ライデンの人なんか、みんな死んじゃえばいいのに」
と、ライデンへの憎しみを抱いている事からも、2人の理解者が増えるまではそれなりに時間は必要だったのではないかと思います。
ヴァイオレットとホッジンズが島を去る時、老人が葡萄畑でギルベルトへ語り掛けた
「帰る所があるのなら、帰った方がいい」
という言葉。ギルベルトの行動から察したのかもしれませんが、本当はどこからか(灯台守の女性から?)聞いたのかもしれません。とすると、ギルベルトの事が島民に知れ渡るまでそんなに時間はかからないと思われます。
"ギルベルトはライデンの人間だ"という事実を子供達が突然聞かされたらショックを受ける事は誰でも想像できそうです。いくらライデンが憎い島民でも、さすがにそこは配慮したのではないかと考えました。老人や、賛歌の詩をヴァイオレットが書いたことをギルベルトに話したご婦人のように、2人の理解者が、少しずつ時間をかけて周囲の人達の気持ちをほぐしていったのではないかと。
といっても傷跡が深いと思われるエカルテ島、いくら小さい島とは言っても島民に受け入れられるようになるにはそれなりの時間が掛かったと思います。1年以上島にいたギルベルトでも気を使うような状況だったのだから、新しく来たヴァイオレットとなれば、さらに慎重にならざるを得なかったのではないかと思います。
そこで1番の理解者となったのは、灯台守の女性ではないかと考えました。
ヴァイオレットが郵便社にいたという事、ギルベルトとの事、ユリスの事、全てを見て聞いていた女性はヴァイオレットの1番目の理解者になったと。
エカルテ島にヴァイオレットが来た時、いきなりギルベルトの所へ行ってしまっては2人が島で孤立してしまう。それは避けたいと思った女性はヴァイオレットを灯台に住まわせて、郵便の仕事を手伝わせるところから始めたのでは。
エカルテ島での代筆の仕事は“何か月も予約待ち”という事はなさそうなので、ヴァイオレットは初めてC.H.郵便社に来た時のように配達も行ったのではないでしょうか。
そこでヴァイオレットと接するうちに島民の心も解きほぐされて、ヴァイオレットを受け入れていくようになったのでは。
そして時が流れて、島民がギルベルトを、ヴァイオレットを受け入れるようになった3年後、ヴァイオレットは灯台からギルベルトの家に移った。
「もう二度と離れる事はない、これからはずっと二人一緒に」と指切りをして。