先は長いぜ国民民主
選挙で伸びた国民民主党、比例の議席を三つも他党に譲るほど勝ちました。
しかし、玉木雄一郎のスキャンダルでつまずいてしまいました。
新人議員に研修を受けさせているようですが、玉木雄一郎が行動を律するべきでしたね。
とはいえ、まだ国民民主の支持はあるようです。
理由は、政策重視の党で、その政策が支持されているからでしょう。
小池百合子や石丸伸二のようなよくわからない力で支持を受けているのであれば、もうダメだったかもしれません。
政策重視だったことが国民民主の命を救いましたね。
選挙の約束は守られるか?
国民民主党は選挙前後で主に以下の政策を掲げていました。
1.所得税減税(103万円の壁)
2.消費税減税
3.ガソリン代の値下げ
4.現役世代の社会保険料軽減
一度に全部はやらない。
選挙後の玉木雄一郎の発言を聞いていると以下のように言っています。
「民主党政権の反省として、一度に全部やろうとして失敗した。」
つまり、一気にやらずに、少しずつやるということです。
たしかに、一気に多くのことを変えようとするとリソースは分散するし、現場も混乱するでしょう。
当たり前だと思います。
なので、重要度や難易度を考慮して優先順位を付けて物事を進めるという極めて普通の判断で政策を実現しようということです。
とりあえず、上記の4つのうち
「1.所得税減税」
「3.ガソリン代の値下げ」
に注力しているようです。
「4.現役世代の社会保険料軽減」は、実行する意思はあるようですが、難易度が高く、時間をかけているようです。
「3.消費税減税」は、短期経済対策で、賃金上昇率が安定的にプラスになるように実施するとのことです。
玉木雄一郎と古川元久の話を聞く限り、デフレに陥るような状況であれば、積極的に実施するべきだが、無条件に今すぐやるべきという感じではないようです。
つまり、消費税減税は選挙用の宣伝文句ですね。
それでも、デフレになるくらいだったらやるべきと本気で言っているわけですから、全く嘘というわけではないと思います。
※消費税減税は下記動画28分ごろから
少し脱線しますが、玉木雄一郎の税制政策の基本的な考え方は
「ストックに課税し、フローは減税する」
というのもののようです。
若者に貯蓄がなく高齢者に貯蓄があるという状況を考えれば、(世代間の対立を煽るわけではありませんが)妥当な気がします。
消費がフローなのか、判断が付きませんが、投資(消費も?)への課税優先度は低いようです。
※消費税減税のやる気が低そうな感じは下記動画37分ごろから
※税制の考え方は下記動画54分ごろから
話を戻すと、全部一気にやる気はなく、
まずは、「1.所得税減税」に注力しているようです。
具体的には、課税最低限の引き上げです。
これは、そもそも生存権の問題なので、共産党が昔から主張していたようです。
今は何故か、財源を考慮していて、主張は弱くなっています。
それでも178万円までとは言わないが、引き上げは支持のようです。
※課税最低限への言及は下記動画1分ごろから
財源について、玉木雄一郎は税収の上振れで賄えると主張しております。
第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣は以下のように主張しています。
「GDPデフレーターベースで+0.6~0.7%のインフレ持続で、政府債務残高/GDPを上昇させずに基礎控除75万円引き上げ分となる7.6兆円の財源捻出が可能となる。」
なんだか難しいことを言っておりますが、インフレを維持すれば、財源はある、ということです。
ただ、少し気を付ける必要があるのは、永濱利廣は、プライマリーバランス(PB、基礎的財政収支)は前提にしていません。
政府債務残高/GDPを前提にしています。
政府債務残高/GDPを悪化させない範囲で財源捻出可能と言っているのです。
永濱利廣は、PBの財政論は20年遅れであり、先進国は政府債務残高/GDPの財政論が普通だと言っています。
その前提に立てば財源は十分あるということです。
おそらく、「財源はない」と主張する人たちはPBを前提としているので、議論を嚙合わせるには、まず、前提をすり合わせる必要があります。
財務省や各種経済研究所の資料には「政府債務残高/GDP」という言葉がよく出てきますので、噛み合わないということはないと思います。
なので、永濱利廣によれば、適切な経済政策をとれば財源の問題はない、ということです。
ただ、デフレになれば、課税最低限の話を含めあらゆる前提が崩れるので、デフレにならない事が何より大事だということです。
国民民主党はデフレになるくらいだったら一時的な経済対策で(国債を発行し)消費税減税を行うと言っています。
政権について
衆議院選挙の結果、自民党は少数与党になりました。次回の参議院、衆議院選挙の結果によっては政権交代が起きるかもしれませんが、今のところ、玉木雄一郎はハングパーラメントを主張し、連立の気配はありません。
野党の連立について質問があるたびに、玉木雄一郎は、
「国家の基本政策(安全保障政策、エネルギー政策など)で一致できないと連立は組めない」
と一貫して回答しています。
これも民主党政権のときの反省でしょう。
民主党政権時に、福島瑞穂が閣議の署名を拒否し、罷免、社民党が連立を離脱するという事態が発生しました。
政権を担うことになれば、安全保障は避けられません。そこで意見が分かれれば、政権は維持できません。短命政権になれば国民の政治不信も高まるし、他国から付け込まれることになります。
結局誰も幸せにならない、であれば、無理して政権を取るのではなく、基本政策の一致を確認したうえで連立を組むというのは正しいでしょう。
今後について
衆院選で議席を伸ばしたと言っても第3野党です。まだまだ弱小政党です。
まずは議席を確保することが重要ですし、何より玉木雄一郎の代わりを見つけることが必要でしょう。
玉木雄一郎は傑物だと思いますが、代わりがいなければ、党の寿命は短くなります。
不倫の問題で厳しく処分できないのは、玉木雄一郎の代わりがいないからでしょう。
私自身は不倫スキャンダルはどうでもいいと思っている人間です。
フランスでは、シラクもオランドも不倫の報道はありましたが、大して問題になりませんでした。報道するが追求せず、良いか悪いかは有権者の判断、といった感じです。
私はそれで良いと思います。ただ、菅野志桜里や山﨑真之輔、そして、今後同じことが発生したときに、党の処分として整合性が取れるようにした方が良いでしょう。
玉木雄一郎だけ特別扱いというのは、国民民主党という党のガバナンスに影を落とすことになります。
民主主義の利点のひとつは、代謝出来ることです。
自民党が生きながらえているのも代謝が起きるからです。安倍晋三については全く意図しない形で政治の世界を退場することになりましたが、安倍派については、自民党の代謝の力が発揮されました。
国民民主党が生き残っていくかどうかは、玉木雄一郎の代わりを生み出し、代謝可能な組織を作り上げられるか否かにかかっているでしょう。