おいしいと感じること
中学生の頃、おいしいものがわからなくなった。
味覚が変になったというよりは、おいしいと言うべき基準がわからなくなった。
「こういう食べ物が好き」というものはあったけど、同じ食べ物が複数あったときどちらの方がおいしいか、というようなことはわからなかった。
家以外でも食事する機会が増えるにつれて、だんだん「あのお店とこのお店だとこっちの方が好きかもしれない」といった感じのことを思えるようになって、自分なりに「おいしい」と言えるようになったのは20代になってからだった。
中国語で「おいしい」を意味する言葉も「好吃」(好き・食べる)と書くようなので、食べていて好きと思えればそれはもう「おいしい」と言っていいのだろう。