2023年のM-1きっかけに9番街レトロにハマった話

2023年のM-1決勝。

2024年1月。ちょうど1年前の今頃、正月休みで時間を持て余していた私は、録画したまま見ていなかった2023年のM-1を何となく見始めた。

当時の私はリアタイでM-1を見るほどお笑い好きでもなかったが(というかテレビ番組自体見ていなかった)、正月休み以外はほとんど仕事三昧だったが故に、せっかくなら楽しく笑えるお笑いを見たいと思ったことがきっかけだった。

M-1をリアルタイムで最初から最後まで見たのはかなり前。
2008年のNONSTYLEが優勝した年だった。
当時、まだ学生だった私は、家族みんなでテレビを囲み、リアルタイムでM-1を見ながら、当時優勝したNONSTYLEのボケや敗者復活で最後に出てきたオードリーの爆発力に大笑いしたことは今でも記憶に残っている。

あれから15年。
テレビは今や配信でアーカイブの時代。テレビを家族皆で囲むということすら、貴重な時間になりつつある。
リアタイせずとも、録画せずとも、後から配信で全てが見られる時代。

かくいう私も社会人になり、仕事に追われる日々を過ごす中で、かつてM-1きっかけでハマったお笑いからも、録画狂とまで呼ばれていたテレビからも、あたかも時代に順応するかのように徐々に遠のいていった。

そんな私が、去年の1月2日。
録画していた2023年M-1を見て衝撃を受ける。
トップバッター令和ロマンのネタを見て、一機に心をつかまれた。
これは優勝するわ、と唸った瞬間だった。
しかし、その後続く芸人さんたちのネタも、いやはや面白い、おもしろい。
この組もすごい、この組はこうくるのか。
どの芸人さんも知らなかったからこそ新鮮で、笑いながらも誰が決勝に行くのか、ずっと手に汗握る展開で久しぶりにテレビの前で熱くなった。

録画ではあったが早送りはせず、決勝、そして最後の優勝の瞬間まで全て見届けきり、その熱が冷めやらぬまま、徹夜でM-1関連の動画を見漁った。
そして、ネクストデイで流れた2023年のM-1公式PV(日食なつこさんのログマロープ)で号泣。

おいアラサー、情緒どこいったよ。
いやでも、そんな事より漫才カッコ良すぎる。
お笑いすごい。あっつい。

それも全てはこれまでのM-1の歴史と、演者たる芸人さん達の力量と、運営側の企画努力等全てが集約して合致した結果だとは思うが、見事に一視聴者である私は沼に落ちた。
当時、M-1に熱くなりすぎて、ログマロープばっかりエンドレスリピートしてたことを思い出す。

いやはや、ここまでくるとミーハーにも程がある。
はい。自覚しています。
M-1やお笑いの本気勢の方々、大変申し訳ない。

きっかけは何にせよ、こうして私は十数年ぶりにお笑いに対する熱が再燃したのです。
そして、その中でもやはり優勝した「令和ロマン」は特に興味深かった。
初めての決勝にして、あの佇まいとあの余裕、そしてネタの質。
ルーキーにして可愛げがないと散々弄られていましたが、これはお笑いの新しい時代が来そうだと、ミーハーながら思った次第です。

突然ですが、私は趣味と呼べるほどの趣味は特にありません。
しかし、一度好きになったものへの追究心は計り知れないものだと自負しています。
ハマったら一直線。知りえる情報は全て知り尽くしたい。
まずは、ネットで検索、検索、検索。
あらゆる動画を見漁り、そしてネット記事を読み漁り、無料ゾーンを過ぎたら、労働者としての特権を大いに使い、お金を惜しまず有料動画や雑誌をも買い占める。
そんな生粋のオタク気質なのです。

M-1きっかけに魅了された令和ロマンも例に漏れず、そんな私のオタクルーチンワークに無事に組み込まれたのですが、ある時、YouTubeでひとつの動画に出会います。

それが、「黙って食べれん」です。

はい、ここでようやく私は9番街レトロの京極さんを知ることになるのです。
タイトルに出しときながら、「9番街レトロ」という単語が出てくるまでに1476文字も使っています。反省しなさい、オタク気質。
本当にごめんなさい。

気を取り直して。
さてはてもはや、令和ロマンと9番街レトロのファンの方で知らない人はいないであろう有名チャンネル。

2023年のM-1→令和ロマン→黙って食べれん→9番街レトロ
という恐らく考えうる中でも王道すぎる王道ルートを私は辿ったと思われる。

この動画を初めてみた時、初のM-1決勝の舞台で、初出場とは思えない完璧なネタをやり切って、もう既に王者かのような風格で優勝した令和ロマンのくるまさんのあまりに人間味あふれる姿に吃驚したことを思い出します。
と同時に、そんなくるまさんと心地よい言葉のキャッチボールを交わす顔出ししてないイケボ声にも興味を持ち、概要欄を見てそのイケボ声の持ち主が「9番街レトロの京極風斗さん」だと知るのです。

「生姜焼きで黙れん」から京極さんを知ったもので、私の中での京極さんの第一印象は、「面倒見の良いお兄ちゃん気質の先輩芸人さん」という感じでした。
くるまさん敬語使ってるし、先輩芸人というのは間違いない。
でも若そうだし、くるまさんより少し年上くらいかな?と思って検索したら何とビックリ、くるまさんの年下かい!!
そして、年齢検索ついでに読んだWikipedia情報の何とも興味深いこと。

え、まだ28歳なの?(※当時) 
そして、え・・・中卒?? 
修学旅行のために高校進学して旅行行った後出席日数足りなくなって学校辞めて、NSC入ったって何事????

何かもう動画で感じた印象とのギャップがありすぎて、
それが逆に私のオタク気質スイッチを全開にしたのです。
いろいろと情報過多すぎるのよ、京極さん・・・。

ここからはもう慣れたものでいつもの如く、検索、検索、検索。
まずはYouTubeの動画を見漁る日々が続きました。
「黙って食べれん」「京極風斗の道楽ちゃんねる」「岡田を追え!!」等など。
動画内でのくるまさんや岡田さんとの会話のやり取りがあまりに軽快で面白く、その独自のセンスと洒落っ気を持ち合わせている京極さんの魅力に気づけばどんどんハマっていく自分がいました。

ああ、こういう人のことをカリスマって言うんだろうなーとか思ってたら、前組んでいたコンビでまさしく「カリスマ」キャラだったと知って、何じゃそりゃとビックリしたのも良い思い出。

さて、ここまででお気づきの方もいらっしゃるでしょうが、この時点での私の興味は「京極風斗」さんオンリーでした。

しかし、そんな時「なかむら☆しゅん」さんの魅力を知り、コンビとしての「9番街レトロ」を好きになるきっかけとなった動画に出会います。
(※☆は当時の芸名表記に倣います)

それがこちら。

はい、カジサックさんのチャンネルです。

この動画を初めて見たときの衝撃といったら!
いや、なかむらさん面白すぎんか!?!?
動画内でも言われてましたが、なかむらさんが発する言動、表情、仕草、スベった時の雰囲気までもひっくるめて、芸人としての「無敵感」がすごい。
人懐こさや朗らかさもありつつ、その突拍子もない身振り素振り言動に動画見ながらニヤニヤが止まらなかった。
そう、ニヤニヤなのです。
何だかなかむらさんを見てると、気づけばニヤけているんですよ。
何かもうずっと変。こちらの情緒まで乱してくる。

そしてもう一点、この動画を見て思ったこと。
京極さんとなかむらさんのコンビとしてのバランス感が絶妙すぎる。

全身真っ黒で、ボソッと発する言葉が絶妙な京極さんと、
細身のスーツで絶妙に意味不明なボケを乱発するなかむらさん。
そんな一見正反対に見える二人が交わす会話のテンポ感が絶妙で非常に心地よい。
まさに「絶妙」なのです。

あと、意味不明ななかむらさんの言動に毎回爆笑する京極さんも何だか新鮮だった。
コンビで相方にこんな笑える人いるんや・・・って純粋に驚きました。

動画の内容としては、質問形式の雑談でしたが、それはもう一個の漫才を見たかのような満足感で、この動画だけでもはや何十回見たか分からない。
本当にありがとうございます、カジサックさん。

そんなこんなで、9番街レトロって面白いな、となり。
ここでようやく「9番街レトロ」のチャンネルに行き着くのです。(遅い)
そして初めて2人のネタを見ます。

チャンネル内で最も再生数が多いネタ、「夜眠れない」。

正直ね、初めてネタ見るときは怖かったんですよ。
何せハマったきっかけが「ネタ」からではなかったので、これだけ面白いと思ったお二人のネタを見て「面白くない」と感じてしまったら、めちゃくちゃ悲しいな、と危惧していたのです。
どれだけその芸人さんが好きでも、ネタによっては好き嫌いはどうしたって出てくるものですから。
だからこそ、一番敬遠してた動画でもあります。

そんなこんなで恐る恐る見始めたのですが・・・、
最初の掴みでそんな私の不安は一掃されました。

「じゃあ、端からいきますね・・・」
「ええわけないやんっ!?!?」

ここで一気に掴まれた。
終始めちゃくちゃ笑ってました。(知らない方は動画見てみてね)

「こいつら縦が好きやねん!!!」

見終わった後、このワードが頭から離れなかった。
こんなワード、どうやったら思いつくの???

初めて見たこのネタが好きすぎて、今でも笑いを欲してる時に定期的に見ます。

で、他のネタ動画も続けて見ました。
京極さんがチャンネルに上げてるネタ動画は、「見られてもいい賞レースで使わないやつ」とおっしゃってましたが、それが逆に9番街のネタ動画として成功してる気がする。
「夜眠れない」は9番街の中ではまだ正統派な気がするんですが、「イグアナをプレゼント」とか「ペット可のレストラン」とかは、当時の雰囲気も相俟って、もう自由すぎてカオスすぎて面白い。

こういうネタの形もあるのかと、初見時はそれはもう衝撃でした。
なかむらさんが漫才の型にハマらず、ツッコミながらもボケ倒し、ネタ作り担当の京極さんもそんななかむらさんのボケを許容し、ボケ側にも関わらず笑いながらそのズレたレールを直すことなく突き進んでいっちゃう。

これぞカオス。このカオスこそ9番街らしさで、噛めば噛むほどクセになってしまう。
多分これは賞レースやテレビではなかなか見られない漫才の形で、ふたりの平場力も相まって、だからこそ劇場で、生で見たいと思わせる魅力が2人にはあるのだと思う。

こうしてネタ動画で更に一気に9番街レトロの虜となったのですが、ここからはもう私のオタク生活に照らし合わせたかのように怒涛のコンテンツ供給が始まり、私の2024年はめでたく9番街レトロ一色の1年となりました。

先述したカジサックチャンネルがきっかけで知った「深夜のハチミツ」もFODで一気見したし、
劇場での二人がもっと見たくて、FANY会員になって配信動画買いまくったし(初めて買った記念配信動画は笑かすマン)、
日中の隙間時間や作業時間は9番街レトロのチャンネル動画を一気見したし(チャンネル動画多すぎて全然見終わる気がしなかった)、
さらにその合間で京極さんのVIVI連載やnoteを読み漁りもしたし、
職場へ通勤時間は全て2人のラジオを聴く時間になったし、
なかむらさんの「えぐいっちtokyo(仮)」の単独ライブを見たり、まさかの本出版に驚愕しつつも購入したり、
京極さんの「あつ森配信」をリアタイしたり、ハモネプでベースの才能に吃驚したり、
そうこうしてたら、「9番街フェス」もあり、
そんな中で「ナイチン街レトロ」も始まり、
京極さんがnorienomotoさんとコラボしてパリ行ったり、その商品をお迎えしたり、
初めてM-1を予選から追って、その結果に涙するなどしたり……。

いや、この1年濃すぎんか!?!?1?!?
多分、2024年は9番街が広く知られるようになった年だったと思うのですが、知名度が上がるにつれて供給量もとんでもないことになってたのだと、こうして振り返ってみると実感しますね。

何ともオタク気質が唸るオタク三昧の日々を過ごさせてもらいました。
私の日常がこんなにも「お笑い」に染まるとは。

おかげさまで2024年は大きな体調不良もなく、心身ともに健やかな1年でした。健康に笑いは大事だね。
ありがとう、いい薬です、9番街レトロ。

9番街レトロの魅力は全然書きたりませんが、この時点でもう5000字になるのでいい加減自重します。
お2人の初見時と現時点での印象の違いとか、それが故の魅力とか、平場力とか、コンビとしてのバランス感とか、そりゃもう語りつくしたいことは山ほどあるんですが、如何せん長い。
ここまで読んでくださった方がいたとしたら奇跡。ありがとうございます。

では、最後に。タイトルにも入っているので、とりあえず原点に戻ります。
私のお笑い再燃きっかけとなったM-1についてですが。

賞レース至上主義といわれる昨今。
応募数の増加や審査基準、大学お笑いの増加、予選からのYouTube配信等など、私が学生時代に一度ハマった当初とはまた異なる色を持ち始めておりますが。

こうして振り返ると、やはりM-1は普段「お笑い」から離れている人にとっても、近づくきっかけをくれる存在なんですよね。
十数年、お笑いから離れていましたが、M-1きっかけにまたお笑い熱が戻り、令和ロマンや9番街レトロ、更に色んな芸人さんを知ることができました。

芸人さんたちにとっては、それはもうしんどい賞レースだということは言うまでもないのでしょうが、
とはいえこのテレビ離れした昨今の実情の中で、M-1は「お笑い」を知る一つの大きなきっかけになってくれている巨大コンテンツであることも、また事実なんだなぁとミーハーが故に実感した次第です。

そういう意味でもそのきっかけを作ってくれた「令和ロマン」と、
いかなるきっかけがあったにせよ、あらゆるコンテンツで以って全方位にひっかかる魅力を発揮してくれた「9番街レトロ」。
この2組に出会えたことが2024年の大きな収穫です。
この2組については、まだまだ書き足りないので、また機会があればオタクの備忘録として記録に残したいと思います。

2024年のM-1、前人未踏の2連覇を成し遂げた令和ロマン。
そして、2025年は京極さんのフットンダ王決勝進出から始まりましたね。
いやはや、最高の1年になりそうだ。

と思っていたら、フットンダの配信がないことを後から知り、初泣きをかましました。
おい、情報収集はオタクの基本やで。

とにもかくにも皆さんが、今年も「お笑い」で心身ともに健康でいられますように。

私自身、色々な事情が相まって、生の「お笑い」は体感できていませんが。
今年は行くきっかけが掴めるといいな。

長々とすみませんでした。
今年も皆さまにとって良い年になりますように。


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