【邦楽駄話】爆風スランプが集まり、トライセラトップスが去る
爆風スランプの復活曲が変すぎてやめられない。
26年ぶりに集って作った曲がこれってのがいい。
小学校の音楽の教科書にランナーがのっていた。野球の応援でブラスバンド部が演奏してるイメージもある。
だけど「かっこいい存在」ではなかった。学校の先生も許してくれる「いい子のロック」って感じで。演奏力の高さに気づかず、サンプラザ中野くんの見た目だけが記憶に残った。
久しぶりに聞いた彼らに長いブランクがあったのと同じで、こっちも音楽聴きの経験値が溜まっている。
だから中野くんの外見と歌詞だけじゃなくて、ちゃんとドラムとベースの音がすごいって、今はわかる。
ランナーの歌いだしの「雨をさけたロッカールームで…」の、出だし一行で青春のピークから終わりに差し掛かってる感じもすごい。「上野発の夜行列車」みたいに、無理して文字数詰め込んでないのに、情報量ぎっしりだ。
コメント欄に「日本のレッチリ」。
そうなのか!?確かにファンクだし、そうなのか…?
コメントに「宇多丸さん化してる」。
長年、ライムスター宇多丸はサンプラザ中野って何度も何度もいじられ続け、実際は似てないからうんざりしてたのに、逆転してる?
一方、寂しいニュースもある。
フジファブリックに続いてトライセラトップス、解散。
じつは、ファーストアルバム持ってたんです。
よく行く中古CDショップにコーナーがあったから、十分ヒット曲なんだろうけど、もっと売れるはずなのに本気出してないような、ふしぎな存在だった。
今聞いても、最高のイントロと、意味がわからない歌詞。
歌詞の意味が全くわからなければ気持ちよく聞けるけど、中途半端にわかりそうでわからなくて、しかも問いかけてくるから「えっ?」てなる。
「若者の〇〇離れ」というものがある。
センスのないニュースの見出しで、昔から若者がいろんなことと離れてきたことにされてたんだけど、つい先日「若者の洋楽離れ」を見た。
それはそうかもしれない。
それ以上に、外国人が昔より邦楽を聞いてる姿をよく見る。
「外国人の邦楽近づき」だ。
YouTubeのコメ欄で反応が見えやすくなったからかな。
邦楽がかっこよくなって、かっこいいものを摂取するために海外まで行く必要がなくなった。
ふつうの軽音部はまだ1巻しか読んでないけど「それ町」にはまった感覚がよみがえる。
高校生バンドものの元祖的な「青春デンデケデケデケ」はベンチャーズのエレキギターに憧れる。そっから長い年月をかけて邦ロックが音楽マンガに出てるよ。
世界にいい音楽が溢れているのはもちろんだけど、日本語話者が無理して英語で歌うより、自国で聴いてきた、かっこいいなと思った曲を素直にやりたいっていう当たり前の感覚。
あ、ポカリのCMが果てしなく出てくる。
別にいい思い出ないのに、すぐ「あの頃は良かった」って思うようにできてるから危険。
気を抜いたら人は思い出を美化してしまう。未来に死があって過去には愛された記憶があるからしゃあない。
音楽って、曲だけで成り立つもんじゃなくて、その曲を作ったひとの人生とか時代背景とかも含めて音楽になる。
作家でもアイドルでも、作品自体に飽きたら、それを作った人の心境とか時代背景にまで考えるフェーズがやってくる。
そこまで考え始めると、もう自分の人生の一部になる。
読んでくれてありがとうございます。 これを書いている2020年6月13日の南光裕からお礼を言います。