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フレイバーテキストオブザイヤー

フレイバーテキストというらしい。カードゲームの解説文とか、ゲームのアイテムの解説のことを。

昔のRPGだと
「薬草」
に添えられる一文は
「体力を50回復」

これで説明書を読まなくてすむから助かる!それだけで十分だったのに、天才的なひとたちが、ここが自由に書き込めるスペースで、センスを発揮できるということに気づいたのか。あ、今検索したらカードゲームのマジックザギャザリングで大きく進化したようだ。

ゲームではフロム・ソフトウェアのデモンズソウルあたりから、武器ひとつにまつわる因縁とか名前の由来とかがやけに「濃い」のにみんな気づきはじめた。
アクションだけやりたいなら読まなくていいし、読み込む人はアイテムが見つかるたびにゲーム世界が広く深くなる。

今日遊んだゲームは「OU」という短編。
書き込まれた世界で倒れていた記憶喪失の子が歩いていろんなものを見る。

ニンテンドースイッチの携帯画面だと細かくてつぶれるぐらいの書き込み

この子が持っているものが面白くて、大きなバッグに「ふせん」しか入ってない。ふせんを投げて、背景にぴっと付いたらちょっとした言葉が読める。
ふせんを投げる人は初めて見た。コクヨの社員でもそんなことしない。

序盤の「ただの木」に付け足すテキストからこれ!なかなかいいでしょう。ただの木だぞ。「とくに変わったところは見つからない」とかだ普通。そもそも本当にただの木だったら「木」としか書かれないでしょ?「ただの」って何だ。

記憶喪失で世界に対して何の手掛かりももってない主人公が「ふせん」だけを貼っていく。
世界にフレイバーテキストを貼って、世界を理解する手掛かりをつくっていく。
ふせんにこれだけスポットライトが当たるのは珍しい。ぼくの好みでは、メッセージももっと少なくして、ふせんだけで世界を知りたかったぐらい。

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南ミツヒロ
読んでくれてありがとうございます。 これを書いている2020年6月13日の南光裕からお礼を言います。