学校の図書室にあった『学研まんが できるできないのひみつ』の堂々としたまんがっぷり!
1976年の「学研まんが できるできないのひみつ」が電子書籍化。ぼくが生まれる前から、卒業後もたぶん長いあいだ、学校の図書室にあったまんがだ。
文章だけの本が並ぶ学校の図書館に、学研のまんがシリーズと、はだしのゲンだけが居てもいいことになっていた。
「おいらは、まんがだぞ!まんがは勉強になるんだぞ!」と胸を張って、本棚に並んでいた。
何でもためしてみる「やっ太」と、すぐに否定する「デキッコナイス」の漫才のような掛け合いと、ガールフレンドのアララちゃん、ものしりの「けつろんおしょう」が話を聞いて、さまざまな疑問に挑む。
たとえば、日本に100階建てのビルを作ることはできるのか?
シカゴのシアーズビルは110階。日本の最高は55階。
半分の高さの理由は、たとえば、アメリカと違って日本は地盤が悪いから。
ぼくはこのまんがで初めて「地ばん」を知った。
「じめん」じゃなくて「地ばん」という言葉があるってことを。
やっ太がぼこぼこの日本を踏んで「地ばんわるい」デキッコナイスがトンカチでアメリカの土をカチーンと叩きながら「地ばんしっかり。」とやっている絵を見て、地盤の良い悪いがどういうことかを何となーく理解した。
地盤が悪くても、骨組みを工夫すればビルは建てられる。
だけど、高いビルほどエレベーターが必要になって、住むところが狭くなる。ビル風や日照権の問題もある。
やっ太とデキッコナイス、名前だけで対照的とわかるふたりが、
「こうすればいい!」
「それだとこうなる、できっこないす。」
と意見を出し合って、けつろんおしょうが助け舟を出す。文字だけだと先生が書いた文章を読んでるみたいだけど、まんがだから、班の生徒が意見を出しあう形に近くなっている。
先生にあたるキャラクターが「おしょうさん」なのもいい。
新聞のまんがとか、昔のお笑い番組はおしょう成分が多かった気がする。ケンカするときは煙の中でポカスカやりあうのも、堂々とした、まんがっぷり! 文章に絵を付けたものじゃなくて、ストレートに、まんが!
巻末には、原型になった学研の連載の第一話と、親御さんへのメッセージも収録。
文字ばかりの本は70年代の「現代っ子」にはなじみにくいのです。まんがは学習の役に立つんです、読ませたいと回答した生徒、親がたくさんいます、と円グラフで説明している。ここも作品の背景だ。