美プラのレビュー その1


美プラのレビュー その1
ブロッカーズフィオーレ

今回から何回かに渡り、美少女プラモの簡易レビューを投稿したいと思います。
基本的には価格帯や入手しやすさ、あるいは組みやすさやどれくらい動くか、という非常に簡単な物を考えています。
その目的としては極力多くのメーカー、多くのブランドのキットを扱い、『美プラに興味はあるけど、何を買ったらいいか分からない』という方の手がかりになれば、と思います。
また、既存キット同士の互換性なども触れられたら、と思いますので、『このシリーズとこのブランドってミキシングできたっけ?』のような場面で活用出来る記事を作れたらいいと思っていますので、ご興味おありの方はよろしくお願いします。
なお、今回の目的としては、キットの魅力を伝えたい!KAWAII!ではないので、画像少なめでデータやテキスト多めです、ご了承ください。

尤も、ぼく自身は例によってモデラ―などではないただちょっと模型好きな一般人です。
その評価が絶対のものではありませんし、キットやブランドの優劣をつけたいとも思っていません(そんな知識もないですし)
ただ、実際に触ってみて、幾つかの観点から向き不向きというぼくの判断を提示したいとは思います。
美プラも多くのブランドが発売され、多くのキットには特徴があり、それを活かせる遊び方と活かせない遊び方がある、と思っていますので。
優劣ではなく、向き不向きという見方でこのレビューを見て頂けると、あなた向きのキットを探すお手伝いが出来るのではないか、と思います。

さて、その第一回はブロッカーズ・フィオーレを扱います。
まずは基本のデータと評価項目の簡易レビューから。

ブランド名
ブロッカーズ・フィオーレ
(評価試験用に『プリムラ』を使用)

メーカー
VOLKS

入手性(買いやすさ)

拡張性(組み換えしやすさ)
○⁺(ただし、同メーカー同ブランドに限る)

布服(布服着用のしやすさ)
○⁻

小物(社外製品の小物との組み合わせやすさ)

価格(手に取りやすい価格帯か)

6000~7000円台。
(武装フルセットのような大型キットは10000円超)
オプションパーツは2000円台。

組立てやすさ
○⁻
組み換え前提ではあるが、外れやすいパーツがあり、接着した方が楽な場合もある。
他社製品に比べABSが硬い印象があり、尖ったパーツなどは破損注意。

体形
M
メガミデバイスと同程度(15cm程)。
手足や胴はスリム。

可動

必要充分の可動範囲はある。
ただし、組み換え前提の部分は動かした際にパーツが分解しやすい。

各部軸径

(2024.11.13 画像追加)

それではここから詳細に見ていきましょう。
ブロッカーズ・フィオーレはVOLKSのメカキットシリーズ、『ブロッカーズ』と共通の軸やパーツを使うことを前提に作られた美プラのブランドです。
方向性としては翼や爪などの有機的なデザインのパーツから機械的なデザインのパーツまで幅広く、かつ調和するようにディティールが整えられています。
そのため、ブロッカーズフィオーレは組み換えによるカスタム遊びに向くシリーズであると言えます。
また、安価でフェイスパーツのバリエーションや髪パーツなどが販売されている点も、拡張性の高さを後押ししていると言えます。
さらにVOLKSの実店舗であればほぼ確実に入手が出来るのも、入手難度の高いキットに比べて安心感があると言えます(当然VOLKS公式の通販もあります)。
破損の際にも予備部品やパーツ請求がしやすいのは、大変嬉しいメリットと言えるでしょう。

加えて、破損のしやすい関節パーツは硬質なパーツと、軟質のポリパーツが選択できるように同梱されています。
特に手首の軸は破損しやすいので、この点は初心者にも優しいと感じました。
また、ハンドパーツは軟質で、グリップも4mmと他社製品に比べて少し大きめです。
そのため、グリップの太いトレーディングフィギュアの武器なども扱いやすいですし、ガチャやボックストイの小物を持たせて遊ぶのにも向いていると言えます。

また、可動としては前屈する動きが少々弱いものの、体を反らせる動きは出来ますし、必要充分と言えるでしょう。
ただ、激しいアクションポーズを取らせてるのには不向きかもしれません(理由は後述)。

一方で、デメリットもあります。
ブロッカーズフィオーレの特徴は、素体の各所にブロッカーズの規格に合わせた×字の穴が設けられており、まずはその見た目が許容できるかどうかがこのシリーズを評価する最初の分かれ道と言えるでしょう。
特に手足などには、結構がっつり穴が開いているので、見栄えとしては手足を丸々交換するキットに一歩譲ってしまいます。

また、社内で複数の美プラシリーズを抱えるKOTUBUKIYAのキットや、複数のメーカーで使われている共通規格、マシニーカ採用のキットのような、幅広い互換性を持っているとは言い難いブランドで、組み換えは同社内のブロッカーズ及びブロッカーズフィオーレに特化しています。
そのため、キットをひとつだけつまむよりはシリーズや同社製のブランドをいくつか追いかけるような遊び方に向いていると言えますし、他社のキットやMSGなどのパーツ、あるいはガンプラなどのパーツとは軸径が異なり、そうした拡張性は低いと評価せざるを得ません(他社製品は概ね3mm軸を採用しているのに対し、ブロッカーズフィオーレの基本は4mm軸、軸の形状も×字軸)。

さらに、構造的には選択式パーツも多く、組み換えのために本体の分解が必要な部分もあります。
この部分は意図的に分解がしやすい構造になっていて、これにも良し悪しがあります。
がっちり組んでしまうと組み換えが活かしにくいですし、逆に組み換えしやすいということは意図せずバラけてしまうということで、これらは表裏一体です。
特に、胴体部分の分解がしやすく、普通に触っているだけでも上半身がバラけやすいのは、初心者には大きなデメリットでしょう。
これがアクションポーズを取らせるのに不向きと評価した理由でもあり、組みやすさの点で○⁻と評価した理由です。
個人的にはお気に入りの形が決まったら、分解しやすい部分は接着してしまった方が安心だと思います(メンテ性は損ないますので、これも良し悪しのある方法ですが)。

もう一点、組みやすさという点では、他社製品に比べて素材であるABS樹脂が硬いように感じました。
硬いパーツというのは欠けや折れが発生しやすいという意味でもあります。
尖ったパーツの先端に注意が必要なのは言うまでもありませんが、組み立てる際のゲート跡を処理する際にも、ナイフでのカットが難しく、欠けやえぐれが発生しやすいのも注意が必要です。
この点は少々初心者には難しいように感じました。

尤も、傷なんかそこまで気にしないよ、と言う場合は別です。
組立て自体はそれほど難しくなく、素直なキットでしたので。

また、個人的には布服のと相性も良いわけではない、という印象です。
前提として、布服を着せるのに向いているキットと言うのは、人体同様の凹凸が求められ、余計な凹凸はない方が好ましいです。
要は、手足や胴体に取り外せないディティールがあると、布服着用には向かない、ということです。
ブロッカーズフィオーレは、当初のイメージよりもフラットな素体状態を作りやすいという印象でした。
しかし、前述のように胴体部分が分解しやすいと、布服の中でバラバラになってしまうリスクが高く、その意味では、素のままでは布服着用に不向きだと言えます(無論、接着などで対応することは可能ですので、○⁻と評価しました)。

総評としては、VOLKSのシリーズにしっかりついていくのであれば、大変に良いブランドだと思います。
拡張性が高く、オプションパーツも豊富で、入手も容易というのは大変な強みです。
特に、有形ブロック的なブランドであるブロッカーズの豊富なパーツがそのまま使えるというのは、組み換え玩具が得意な方にはとても大きなメリットでしょう。
普通の家電量販店などでは入手しにくいのはデメリットですが、実店舗まで行けば充分選ぶことのできる量を扱っていますし、何より破損の際のパーツ供給体制も信頼出来ます。
また、ガチャやトレフィグなどの小物や武器を持たせて遊ぶのにも向いていますし、バラけやすいポイントをしっかり接着してやれば布服着用にも耐えられると思います(個人的には美プラに布服を着せるのはそもそも向かないと考えていますが、それは別記事で解説します)。

一方で、色々なメーカーの色々なブランドを触りたいと言う方には、互換性が低く扱いにくいブランドと言えるでしょう。
そういう向きの方はマシニーカ規格を採用しているキットが向くと思います。

いかがでしたでしょうか。

とりあえず現状、ぼくの手元には10種を超える下書きがありますので、少しずつテキストに起こして投稿したいと思っています。
また、ある程度レビューが溜まったら、組分け帽子のように『貴方の遊び方に向いた美プラ』という記事も書きたいと思っていますので、ご興味お持ちの方は合わせてよろしくお願いいたします。


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