衣装を作る
Ⅱ,衣装を作る。
近年、美少女プラモデルにも布製の衣装を着用させるということのハードルが非常に低くなっていると感じます。
それは偏に、多くのディーラー様、メーカー様が1/12サイズの衣装開発に尽力してくださった結果です。
同時に、ワンダーフェスティバルやAKガーデン、ドールショウやI・doll等のイベントや、ヤフオク、メルカリ、minne、Booth等の作り手と消費者を結び付けるサービスが発達してきたことによるものであると思います。
さらには秋葉原のいのう商店様や日本橋のいろしか様のような専門店でディーラー様の作品が恒常的に購入できるようになったということも大きな役割を果たしていると言えるでしょう。
しかし、地方在住であったりネット通販を利用しにくい環境であったりすると、まだまだこうした製品が行き届いているとは言い難い状況であると言えます。
この記事が、その一助になればと思います。
とはいえ、裁縫というのは模型に比べるといささか心理的ハードルが高いのも否めません。
恐らく、小・中学校での家庭科の授業以来という方もおられると思います。
そこでこの記事では、初心者向けの、模型の技術の応用で作れる簡易的な衣装の作り方を解説します。
道具と材料
主な材料は、木工ボンドと不織布に、工作用紙にマスキングテープです。
特別なものはなく、すべて100均で揃えられます。
不織布とは繊維を絡み合わせて布状にしたもので、最近では使い捨てマスクの素材として認識されている方も多いのではないでしょうか。
ダイソーやセリアのような100均では、ラッピングバッグの素材や包装用としても売られています。
不織布は繊維を絡み合わせてるので、断ち切ってもほつれてくることがなく、非常に扱いやすい素材です。
また、木工用ボンドでも接着ができるため、手軽に加工ができます。
これに、型紙を作る用の工作用紙とマスキングテープがあれば完璧です。
複数着作りたいという方は型紙があった方が楽ですが、なくてもできるので大丈夫です(あった方が便利ではあります)。
道具はデザインナイフとはさみ、定規にラジオペンチかピンセット、下書き用のシャープペンがあればいいでしょう。
特別なものとしてはクリップがあると便利です。
これは木工ボンドで不織布を接着する際の固定用ですので、目玉クリップでもなんでもいいです。
今回は手持ちがこれしかなかったので、木製のフォトピンチを使っています。
それでは、初心者でも簡単に作れるものとして、今回はTシャツとポンチョを作っていきたいと思います。
1,型紙を引く。
まずは実際の大きさをイメージしながら、下絵を描きます。
実際に神姫を置いて描くと各部の大きさが分かりやすいと思います。
今回は少し細身のTシャツを作ります。
シャープペンがなければ鉛筆で大丈夫です。
後で転写する都合上、ボールペンなどは避けます。
下絵が書けたら、工作用紙に転写します。
鉛筆書きならば裏表をひっくり返し、裏から強くこすればカーボン紙の要領で線が転写できます。
うっすらとですが、線が写っているので、それをもとにしてTシャツの型紙を切り出します。
この時に線に忠実に切るよりも、長さや幅を工作用紙の升目に合わせて切ると左右対称な形に切り出せます。
2,不織布を裁断する。
型紙ができたら、それに合わせて不織布を裁断します。
この時、マスキングテープで固定してやるとズレの予防になります。
一枚目は型紙そのままの大きさで切り出します。
二枚目にはのりしろを作ってやる必要があるので、印をつけた部分を外側に5㎜ほど広げて切り出します。
この時、マスキングテープでのりしろ部分に目印をつけるとやりやすいでしょう。
二枚とも切り出せたら、二枚目のわきの下には斜めに切り込みを入れます。
袖部分と胴体部分にそれぞれのりしろが必要になりますので、分割してやらないといけません。
3,木工ボンドで接着する。
のりしろに木工ボンドを塗って、二枚の不織布を接着します。
この時、先にのりしろ部分を山折りにしておくと後の作業が楽です。
これをしておくと接着部分が服の内側に来るので、接着後に裏返さなくて済みます(普通に接着してもできますが、このサイズのシャツを裏返すのは中々手間です)。
あとは剥がれてこないようにクリップやピンチで挟んで、乾くまで待ちます。
ちなみに今回は物がなかったので木製のものを使っていますが、出来たらボンドがくっつかないプラスチック製か金属製のものの方がいいでしょう。
4,首元を整えて、完成。
ボンドが完全に乾いたら、必要に応じて裏返します。
この時にピンセットやラジオペンチがあるとやりやすいです。
着用写真。
そのままだと、首元が一直線になっています。
このままでもいい方はここで完成ですが、普通首元は丸首なりV字なりのくりがありますので、それをつけてやりましょう。
布の切り出しは直線の方が楽なので、今回はV字首に仕上げました。
無論、好みで丸首にしても問題はないです。
好みに応じて処理してください。
5,ポンチョのパーツを裁断する。
次はポンチョです。
ポンチョはTシャツと違い、全て長方形のパーツで構成できますので、型紙はなくても大丈夫です。
100㎜×150㎜を二枚、40㎜×50㎜を一枚、それぞれ切り出します。
6,プリーツを作る。
大きい方の二枚が、ポンチョの胴体部分です。
これの短い方の辺にプリーツを作ってやります。
プリーツとは、布を折り返して作るひだのことです。
短辺の片側だけ、三段か四段のプリーツを折って、木工用ボンドで接着します。
ボンドを塗ったら、クリップで固定して乾くまで待ちます。
これを、ふたつ作ります。
7,筒を作る。
小さい方の長方形は、40㎜の短辺に5㎜程のりしろを作り、筒状にしてボンドで接着します。
これも乾くまで待ちます。
8,筒とプリーツを接着する。
作ったパーツが乾いたら、筒の片側にプリーツ部分を接着します。
この時、筒に5㎜程の切り込みを入れて、のりしろにしてやるとやりやすいでしょう。
二枚のプリーツ部分は多少重ねた方がいいでしょう。
重ならなくても構いませんが、見栄えの問題ですね。
ここもボンドを塗ったらクリップで固定して乾くのを待ちます。
が、小さなクリップで接着面をすべて押さえるのは難しいので、洗濯ばさみなどで押さえてしまった方が楽です。
筒部分はつぶしてしまって構いません。
9,仕上げをして、完成。
しっかりと筒とプリーツが乾いたら、概ねの形は完成です。
着用方法は筒部分に首を通してやるだけです。
首を外して筒を被せ、筒部分を潰して頭部パーツをつけてやりましょう。
Tシャツと併せるとこんな感じに。
ポンチョ部分が二枚に分かれているのは、大きな動きをしたときに背中で分かれて邪魔にならないようにするためです。
さて、ここで完成にしてしまっても構いませんが、追加の加工をして仕上げです。
不織布は化学繊維でできていますので、熱で簡単に溶けます。
それを利用すると、こんなことができます。
裾部分をぼろぼろにし、穴をランダムに開けてやります。
やり方ははんだごてやライターであぶった調色スティックでつついてやるだけです。
ライターがなければガスコンロでやっても同じことはできますが、火傷には注意してください。
ポンチョのサイズは裾を長めにとってありますので、好きなだけぼろぼろにしましょう。
さて、今回は簡単な衣装の作り方でした。
これを応用すれば、ズボンやワンピースなども作れると思います。
凝ったものは難しいと思いますが、初級編として挑戦してみてください。