美プラのレビュー その7
美プラのレビュー その7
Chitocerium
美プラの簡易レビュー第7回はfigumaなどで有名なGOOD SMILE COMPANYの美プラブランド、Chitocerium(チトセリウム)を扱います。
今回も例によって、『美プラに興味はあるけど、何を買ったらいいか分からない』という方の手がかりになれば、という目的になりますので、この記事を読んで興味を持った、もっと詳細に知りたいという場合は別のレビューを参考にされることをお勧めします。
それではいつも通り、基本データと評価項目の簡易レビューから参ります。
ブランド名
Chitocerium
(評価試験用にプラチナムを使用)
メーカー
GOOD SMILE COMPANY
入手性(買いやすさ)
○
拡張性(組み換えしやすさ)
△
単体でも充分絵になるので、組み換えはあまり想定されていない。
布服(布服着用のしやすさ)
○⁻
関節が硬めに調整されているので、着せつけ等の際の破損リスクは高い。
また、完成された世界観を持ったブランドなので他との組み合わせは強くはない。
小物(社外製品の小物との組み合わせやすさ)
○⁺
ハンドパーツは軟質なので、手に持たせる遊びは相性が良い。
ただ、世界観的に似あうかどうかは別なので、○⁺と評価。
価格(手に取りやすい価格帯か)
○
5000円~7000円台。
このサイズの美プラとしては平均的な価格。
組立てやすさ
未評価
今回はぼく自身で組んでいないので、未評価。
ただ、マシニーカ規格を採用しているのと、説明書を読み解く限り、それほど難しいキットではない(多分○~○⁺くらい)。
(自分で組んだら更新します)
体形
M(特殊)
エフェル・アルベラやターニォなど特殊規格のキットもある。
ディティールとしても、現状唯一に近い(後述)。
可動
○
マシニーカ規格採用キットなので、可動についてはよく動くし、可動域への信頼性も高い。
ただ、硬めの関節なので、頻繁に動かす場合は軸調整などをして、破損対策をしておいた方が安心。
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各部軸径
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それでは、ここから詳細に見ていきましょう。
Chitocerium(チトセリウム)は、マシニーカ規格を採用した、GOOD SMILE COMPANYの美プラブランドです。
チトセリウムは「美少女のプラモ」、というよりは「美少女型アンドロイドのプラモ」なので、ディティールも生身の少女のそれではなく、球体関節のようなディティールが盛り込まれて、人型機械やドールといった趣になっています。
マシニーカ規格ではあるものの、他社の同規格採用キットとの互換性はあまり高くはありません。
二の腕のロール軸や太腿のロール軸はプラチナムには不採用ですし、エフェル・アルベラのようなSS素体もあり、統一規格と言うには少々独特です。
というのも、チトセリウムはブランドの特徴として、世界観やデザインにデザイナー様の美意識が強く反映されたシリーズなので、組み換えやミキシングでオリジナルを作るより、キットに表現された世界観に浸ったり、世界観に沿った改造(ウェザリングや形状変更、アイペイント変更等)を楽しむのに向くシリーズです。
また、頻繁に手に取って動かすよりも、気に入ったポーズを付けて付属のスタンドや自作ジオラマベースなどと併せて飾っておくような、インテリアや美術品に近い感覚のブランドだとぼくは思っています。
素立ちでも充分絵になるキットなので、埃避けのケースなどを少し良いものにして、目につくところに展示して眺めて楽しむのに向いていると言えます。
体形としても前述のエフェル・アルベラのような12cmサイズのSS素体であったり、ターニォのような同スケールの同スケールの猫のキットであったりと、唯一無二のものがあります。
さらにはケース兼用のスタンドであったり、鳥籠を模したディスプレイパーツであったりと、独自の世界観や美意識が付属品を含む随所に盛り込まれています。
構造としてはマシニーカ規格なので、可動範囲は十分に確保され、且つ関節は渋めの調整のようでポーズの保持には強いと思います。
逆に、硬めの関節は頻繁に動かすと破損リスクがありますので、そういう遊び方を楽しみたい場合は関節の軸を紙やすりなどで調整しておいた方が不幸な事故を避けられます。
また、ぼくが知る限りハンドパーツの指に球体関節のディティールが入っているキットはこのブランドだけです。
他の美プラブランドなどより強めに「人口の美少女」という味付けがされていますので、そういう表現や世界観の好きな方には強くお勧めできます。
ただ、ブランドで表現された世界観や美意識が強いので、布服や小物を絡めて遊ぶには少し難しいかもしれません。
ハンドパーツとしては3mmグリップの軟質パーツですし、素体の構造もフラットな素体に近いものを作りにくいわけではありません。
破損リスクも、事前にヤスリで調整をするなどすればリスク回避は出来ます。
ただ、このブランドの世界観に合わせたり、特殊なサイズの素体に合わせたり出来る布服や小物を入手するのは、まあそれなりに手間ですし、作り手を選び、探すことにはなると思います。
総評としては、ディティールやシリーズの展開などを見ていると、現状唯一無二の世界観で表現されているブランドであると言えます。
そのため、遊び方としてはその世界観を追及したり、世界観に浸る遊び方が向いていると思いますし、そういう遊び方をしているユーザー様が大変多い印象です。
一方で、開発の皆様はもっと多様な遊び方をしてほしいと願っておられるようで、この記事に書かれた内容を先入観として切り捨て、ご自分なりの遊び方や世界観を表現される方が出てくることを、個人的には願っています。
いかがでしたでしょうか。
今回はぼくが自分で組んでいないキットを、知人にお借りしてレビューをしている都合上、一部のデータが不完全な物になっているという自覚はあります。
一方で、このシリーズの記事は多彩なメーカーやブランドを横断的に扱うことに価値があると思っていますので、このような形でリリースすることになりました。
いずれぼく自身で入手する機会がありましたら、データは更新したいと思いますので、気長にお待ちいただければと思います。
さて、大量に用意した下書きもようやく折り返しを過ぎました。
まだまだ美プラのブランドは数多ありますので、もし「このブランドのレビューが見たい!」という方がおられましたら、もうしばしお付き合いをお願いいたします。