野外撮影
はじめに
フィギュアの野外撮影は、嫌われる行為です。
これは一般の方から見て、というだけではなく、同好の方の中にもフィギュア・ドールの野外撮影を嫌う方が一定数いる、という意味です。
その理由は人によって様々ですが、野外撮影勢はマナーを守らない、というのが理由の一つに挙げられます。
これは一面では正しい意見です。
というのも、野外撮影を行う上での注意点というのは、存外に共有されておらず、知らず知らずのうちに違反行為を行っている例も多々見受けられるからです。
あるいは、違反行為を行っている例が悪目立ちし、一般化されることもあるでしょう。
一部の方のマナー違反により、撮影禁止になった場所などもあります。
それを考えれば、野外撮影勢が嫌われるのは無理なからぬことでしょう。
また一方で、フィギュアの野外撮影は自宅での撮影に比べてはるかにリスクの高い行為でもあります。
破損だけでなく、思いもよらぬ紛失・遺失の例は枚挙に暇がなく、それを考えれば野外撮影は極力避けるべき行動のようにさえ思えます。
しかし一方で、ぼく自身は野外撮影を嗜みます。
これは紛失のリスクや、同好の方の立場を顧みないという悪評を引き受けてなお野外撮影を行いたいという、どうしようもないエゴから来るものです。
ですので、ぼくは他者に野外撮影を勧めるようなことはしようとは思いません。
お相手の評判を、いわゆる撮り鉄と同じところまで引き下げるようなものだからです。
このnoteは、ぼく同様にそんなエゴを処理できない、どうしようもない方に向けたものになります。
そうしたどうしようもないエゴであることを自覚し、せめて正しい知識を身に付けて他の方のご迷惑にならないように心がける必要がある、と自戒してください。
1,一般的な禁止事項を守る。
基本中の基本です。
これは、一般の方の邪魔をしない、迷惑をかけないというだけでなく、施設管理者の指示には従う、画像データの扱いには注意する、のように明文化されていない行動マナーを含みます。
この、明文化されていない行動マナーを含む、というのが実に厄介で、配慮事項が無数にあるので注意が行き届かない、注意喚起のしようがない、というのも、野外撮影の難しさだと思います。
しかし、基本的な考え方としては『他者の権利を侵さない』ということに尽きると思います。
他者の権利という観点に立てば、迷惑行為や邪魔になるような行為は控えるべきだという考えになりますし、どういう行動がマナー違反になるかという指針にもなります。
例えば、大通りのど真ん中で撮影を行うのは他の通行人の邪魔になりますので、通りの写真が撮りたいならば隅の方でひっそりと撮影する方が良い、という考えになります。
また、そうした写真をネットにアップするならば、通行人が写り込まないようにするか、画像を加工して通行人のプライバシーに配慮しなければなりません。
また、撮影禁止エリアなどの扱いも同様に考えることができます。
海水浴場などで撮影を行っていれば、警察を呼ばれても文句は言えませんし、施設管理者が禁止といえば禁止です。
そんな大事にはならないだろう、という甘い考えは禁物です。
確かに一人の行動で禁止されるようなことはないでしょう。
しかし、貴方の行動が何度も繰り返された末の、最後の一人でない保証はありません。
ぼくは実際に撮影マナーが原因で撮影禁止になった場所を知っていますし、マナー違反は結局自分の首を絞める行為です。
注意してしすぎることはないと思います。
2,知識を増やす。
まったく関係ないことのように聞こえるかもしれませんが、これはとても大事なことです。
知識を増やすことで、知らずにマナー違反や禁止事項に触れてしまうという事態を防ぐことができるためです。
自分でも知らない内に禁止事項に触れてしまうことというのは、気づかないだけでままあることだとぼくは思っています。
また、気づいていないので直すことも出来ません。
それを防ぐのは、正しい知識だと考えます。
例えば、春になるとよく見られる、桜の枝の上にフィギュアを乗せて撮られた写真。
あれはダメな例です。
桜の木は刺激に弱く、枝を掴んで引っ張るだけでも良くない影響を及ぼします。
また、同様に桜の根が張っている範囲を歩き回るのもよくないと言われる程なので、桜は手を触れずに眺める、写真に撮るのが推奨です。
また、水族館や動物園でフラッシュ撮影をするのもアウトな場合があります。
深海に住む魚や暗所に住む動物は強い光のない環境で生活していますので、フラッシュ撮影をするとダメージを与えてしまう場合があります。
生き物相手の写真を撮る際には十分な注意が必要です。
こうした例は、正しく知識を身に付けることである程度防ぐことができます。
特に動物園や水族館などは撮影の際の注意事項が掲示されている場合も多くありますので、それを参考にするのが一番だと思います。
3,リスクを把握する。
野外では、室内と異なり脱落して落下したパーツを回収できるとは限りません。
また、支えのない状態で撮影すると、風に吹かれて転倒・転落して破損する、というリスクもあります。
そのため、事前に撮影環境を入念にイメージして、起こりうるリスクに備える必要があります。
・遺失、紛失
道路の側溝や、海辺の岩場など、隙間のある場所には注意が必要です。
パーツが外れて落下してしまうと、回収できなくなってしまう場所というのは存外に多いです。
まずは落下を防ぐために、手首などのパーツは硬めに調整する、手に何かを持たせる場合は両面テープ等を併用する、などの固定方法を事前に考えて、用意しましょう。
過去には、動物の檻の中に脱落したパーツを飲み込まれてしまった事例もあります。
その場合は自身の損害だけでなく、飲み込んだ生き物の健康に被害を出す場合もありますので、速やかに飼育員等に知らせましょう。
海辺などは、海鳥にも注意が必要です。海辺の鳥は人が手に持っているものを食べ物と認識して攫って行きます。
そうした場所では撮影を避けるか、手を離さない、短時間で撮影を終えるように工夫する必要があります。
・破損
手を放して野外撮影をする場合、落下や転倒によって破損するリスクは少なくありません。
特に風が強い場合や無理な姿勢を取らせる場合は注意が必要ですし、素立ちであっても短時間にしっかりポーズを取らせて撮影するというのは難しいものです。
転倒防止策として、磁石を仕込んだ靴と金属プレートを併用する、関節を硬めに調整して姿勢を崩れにくくする、あるいはスタンドを別に用意するという対策が必要になってきます。
ただし、両面テープのように撮影対象に直接貼り付けるなどの撮影場所を汚損、破損させる行為は避けましょう。
どうしてもの場合は、きちんと管理者に許可を取るなどの手続きを踏んでください。
・プライバシーへの配慮
通行人など、撮影時に他の方が写り込んでしまった場合にSNSに上げるのは厳禁、アップするならばちゃんと顔を隠すなどの配慮を行う、まずこれは基本です。
また、鏡やガラス等を被写体を写す場合は自身や周囲の人が写り込む場合があり、注意が必要です。
いかがでしたでしょうか。
繰り返しになりますが、フィギュアの野外撮影は非常に嫌われる行為です。
そして、一歩間違えれば外撮りを嗜む同好の士全体に迷惑をかけてしまいます。
外撮りを楽しみたいのならば、最低限そのことを自覚し、周囲の迷惑にならないように勉強や準備を重ねてから行うべきです。
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