スペーサーを作る
ⅩⅩⅠ.スペーサーを自作する方法
武装神姫の補修カテゴリとしては、随分久しぶりの更新となります。
というのも、簡単な補修方法としてお伝えできる内容は大体やり尽くしたと思っていたからです。
しかしながら、実際に武装神姫に触れた歴の浅い方々と交流を持つ内に、もう少しお伝えできる内容があるということに気づき、筆を執りました。
よろしければお付き合いください。
武装神姫には二の腕や太腿にスペーサーというパーツが組み込まれています。
3rd素体では単に腕や脚の長さ調節用のパーツなのでなくても構いません。
スペーサーの部分まで軸径が同じなので、腕や脚のパーツを差し込めるからです。
しかし、1st素体の神姫はスペーサーがないと、不自然な隙間が空いてしまいます。これは1st素体の腕や脚の軸に、スペーサー専用の軸径部分があるからです。
そのため、途中から手足を差し込むことができなくなり、結果として隙間が空いてしまうのです。
このように、1st素体ではスペーサーは必須のパーツです。
しかし、スペーサーは非常に細かいパーツであり、紛失リスクが非常に高いパーツです。
特に、中古で購入した神姫を洗浄する際など、排水溝に流されてロストするリスクが付きまとうパーツでもあります。
また、細かいパーツなので購入時に既に欠品している場合も少なからずあるでしょう。
今回は、このように何らかの事情で純正のスペーサーがない場合の解決法をまとめていきたいと思います。
・スペーサーを作る方法。
スペーサーといっても、要は「既定の径の穴・厚みを持った筒状の板」ですので、作るのは難しくありません。
模型製作に熟練した方ならば、1.5mm厚のプラバンを円状に切り出し、中心を六角形に開孔すれば作れます。
しかしながら、この記事で学ぼうという方はそうした技術がない方が大半だと思います。
よって、ここではそこまで熟練の技術がなくてもスペーサーを作る方法をいくつかご紹介していきたいと思います。
1.複製を取る。
まずはもっとも簡単な方法です。
スペーサーの構造は非常に単純なので、おゆまるとUVレジンを使って複製することができます。
これは以前まとめた「一面型によるパーツの複製」に詳しく記載していますので、簡単におさらいするに留めます。
まず用意するものは以下の通りです。
・おゆまる
・UVレジン
・お湯お入れる容器(紙コップや空き容器など、何でも可)
・UVランプ
・スパチュラ(竹串や爪楊枝などでも十分)
・おゆまるをお湯から取る用の箸(模型用なので、口に入れるものとは別の物を使うこと)
手順
・熱湯に漬けて柔らかくしたおゆまるを取りだし、スペーサーに押し付ける。
・スパチュラや爪楊枝でスペーサーを取り除く(スペーサーとおゆまるの間に隙間があったらやり直し)
・UVレジンを注いで、気泡を取り除く(爪楊枝で潰したり、不要な部分まで動かしたりして、パーツ内部に残らないようにする)。
・UVランプで紫外線を3分程度当てる。
・レジンが硬化したことを確認したら型から外し、バリ(不要部分を切り取り、整形する)。
簡単にまとめると、こんな感じです。
コツというか、きれいに作る際の注意としては以下の内容ですかね。
・型を作る際にパーツの上におゆまるを被せること。
パーツを上から押し付けるより、型の縁がきれいに揃う。
縁がきれいに整っている方が、後述の理由で便利。
・紫外線に当てる前に、爪楊枝などで表面をならす。
型にレジンを注ぐと、表面張力で中央が盛り上がってしまうので、平らな棒や板で型を拭って余分なレジンを取り除く。
この作業をするのに、型の縁がきれいに揃っている方が便利。
UVレジンでスペーサーを作ると差し色を自分の好みにできるので、個性を出すこともできます。
また、万一破損しても型が残っていれば再度複製するのは容易です(材料もたくさん余ります)。
また、必要な資材や道具はすべて100均で揃うのもメリットです(UVランプだけは小さな店舗にはないかもしれません)。
2.装飾スペーサーを作る。
手芸的な道具があるなら、たんにスペーサーを複製するのではなく、ワンポイントの装飾として作り直してしまうという方法もあります。
要は隙間が空いてしまうのが問題なので、その隙間を不自然でないように埋めてあげればいいだけのお話ですので。
材料は真鍮線やアルミ線と、適当なビーズで出来ます。
あるいは真鍮線の代わりにTピンを一緒に買ってきてもいいでしょう。
その場合は長いものを用意するといいですね。
長ければ切ることはできますが、逆は困難なので。
作り方は非常に簡単で、ビーズを通したピンを、径を合わせて円状に丸めてあげるだけです。
今回は適当に家にあったアルミの薔薇にTピンを通して丸めました。
ピンが大分細かったので(0.5mm径)着けてみるとピンの隙間が空いてしまっていますね。
多分、1.0mm~1.5mm径くらいを目安にするといいのではないでしょうか。
1.5㎜だと、二周三周と巻き付けるには不向きになるでしょう。
あるいはもっと長いピンを使って、複数回巻きつけるといいと思います。
今回は適当に花モチーフのビーズを使いましたが、リボンなんかも良さそうですね。
3.丸カンをそのまま使う。
もっとも安上がりで、手間もかからない方法です。
1st素体の軸にある六角形部分は、腕なら3.5㎜、腿なら7.0㎜が対角線に長さになります。
内径がそれに合うサイズで、厚みが1.0㎜~1.5㎜程度の丸カンをそのままはめてあげるだけです。
実際には微調整は必要だと思いますが、ペンチや丸ヤットコがあるなら3分もかからないでしょう。
また、外径が腕5.0mm、腿は10.5㎜ですので、それに近しいサイズの間を買ってくればそのまま使えます。
画像のものは外径がほんの僅かに足りませんでしたので、腕の内側に切れ目がくるようにしてあります。
ほんの僅かの隙間であれば、目立たないようにはできるでしょう。
いかがでしたでしょうか。
スペーサーは紛失しやすい上、経年劣化で破損することもあります。
1st素体では構造上必須のパーツなので、もしパーツの不足などがあった時に、こういう方法で用意ができると、補修の幅が広がりますし、個性を出すことにもつながると思います。
パーツのロストは悲しいことですが、それを乗り越えて、唯一の個性を見つけてあげてください。