ドールアイへの置き換え方法
Ⅹ,ドールアイへの置き換え
武装神姫の補修方法として、この技法を紹介するのにはためらいがあります。
というのも、初心者の方向けでは絶対にないからです。
武装神姫のフェイスパーツはPCVで軟質のため、硬質の素材より加工が段違いに難しいためです。
正直、どうしてもやってみたい、という方以外にお勧めはできませんし、その場合でも失敗を覚悟してやる方がいいです。
よって、予備パーツの確保や練習用パーツの確保なども視野に入れて頂いた方がいいでしょう。
なんならレジン複製品の方が加工難度は低いです(レジン複製の手間は増えますが)し、現行の美少女プラモをドールアイ加工する方がはるかに楽です(理由は後述)。
さて、前置きはこのくらいにして、工程を確認しましょう。
1,ドールアイを作る。
2,フェイスパーツにアイホールを開ける。
3,髪パーツや首パーツとのすり合わせを行う。
大きく分けて、この三点の作業が必要です。
1/12サイズのドールアイをもう持っている、あるいは使いたいドールアイがある、という場合は二番目の工程から入ってください。
それでは次に必要な道具を見ていきましょう。
まずはドールアイの加工からです。
必要なもの
・5㎜のプラ棒
・光硬化レジン
・塗料
・ピンバイス(ドリル径2㎜と3㎜)
・棒やすり
・紙やすり
・ニッパー
・デザインナイフ
あると便利なもの
・紫外線ライト
・パイプカッター
プラ棒は模型店で買える普通の白いもので大丈夫です。
レジンは100均などでも買えますが、あまり品質が良いとは言えません。
特にレジンは経年で黄変という劣化を起こし、黄色く変色してしまいます。
出来たらハンズなどのレジンクラフト用のレジンを使う方がいいでしょう(練習用に作ってみたい、という場合はその限りではありません)。
手順
1,プラ棒の先端を半球状に丸める。
やすりを使って、5㎜の半球をプラ棒の先端に作ります。
ナイフであらかたの形を作ってもいいですし、やすりで形を整えながらやってもいいでしょう。
大体の形ができたら、240番ほどの荒い紙やすりで仕上げをしてやるときれいに成型できます。
前面ができていればいいので球状である必要はありませんが、何かの理由で球状の物が欲しい場合は5㎜のアクリルビーズやBB弾を使うといいでしょう。
2,プラ棒の中心に3㎜の穴をあける。
先端部分から1㎜程の深さに3㎜の穴を開けます。
中心部分がズレないよう、あらかじめ中心をデザインナイフで穿っておくとスムーズです。
3,さっきあけた3㎜穴の中心に、2㎜の穴をあける。
中心部分のみをさらに深く掘り進めます。
深さはもう1㎜程度でいいでしょう。
この開口部分が瞳になります。
4,2㎜の穴に色を乗せ、レジンを盛る。
穴の深い部分にだけ色を乗せます。
乾燥したら光硬化レジンを、表面張力で少し盛り上がるくらい乗せて硬化させます。
5,頂点部分から3㎜~4㎜程度の位置でプラ棒をカットする。
ニッパーやパイプカッターを使ってプラ棒をカットします。
これでアイ部分は完成です。
5㎜はニッパーで切るのはかなり太いので、パイプカッターのような道具があると便利です。
アイ自体は30分程度あれば加工できます。
硬化は天候にもよりますが、よく晴れた日なら30分も経たずに固まると思います。
紫外線ライトがある場合は1分程度紫外線を当ててやれば固まりますので、あると非常に便利です。
次はいよいよアイホールの開口作業です。
必要な道具は以下になります。
・ピンバイス
・デザインナイフ
・マイクロナイフ、彫刻刀(刃の細い丸刀、平刀)
・リューター
・細身のペンチ、あるいはピンセット
・接着剤、ひっつき虫(アイの固定用)
ピンバイス用のドリルは最低でも5㎜と、作りたいアイホールより二回りくらい小さい物の二つが必須です。
今回は2㎜と5㎜を使っていますが、大きい穴をいきなりあけるのは大変なので、中間の3㎜くらいのものもあると便利でしょう。
マイクロナイフは刃の細かい彫刻刀のようなものです。
これがあるとアイホールを掘る際にデザインナイフよりも格段にやりやすくなります。
正直、平刀か丸刀は絶対にあった方がいいでしょう。
リューターはドリルではできない細かな削り作業をするのに必要です。
ドリルとナイフだけではアイホールを薄く削り込むのは難しいので、これもあった方がいいでしょう。
細身のペンチはなくても構いませんが、ナイフで削った部分がうまく取れない等のときにあると便利です。
模型用のものよりも、アクセサリー用のものの方が先端が細く、細かい作業はやりやすいと思います。
それでは実際の作業の方を見ていきましょう。
今回使うフェイスパーツもランサメント。
ランサメントは神姫の中でもかなり小顔ですが、アイを加工するならばフェイスやアイペイントが大きめの方が作業はしやすいです。
手順
1,アイホールを開けたい部分に、2㎜程度の小さな穴をあける。
まずは開口部分の目安となる小さめの穴を開けます。
穴は絶対に2㎜である必要はありませんが、元々のアイペイントに対して小さめのものを開けてください。
この時点でアイペイントのサイズギリギリの大きさを開けてしまうと、最終的に開くアイホールは大きめになってしまいます。
2,裏側を掘り込む。
フェイスパーツの裏側をナイフで切り欠き、ドリルで穴を掘って彫刻刀やマイクロナイフで穴を広げ、ドールアイの収まる空間を作ります。
ドリルで穴を掘るとき、またそれを広げるときは極力顔の表面ギリギリまで薄く掘ってください。
そうでないとアイが密着しないので、不自然な隙間ができてしまいます。
ただし、軟質パーツを薄く残して掘るというのは非常に難しい作業です。
決して一気に掘り進めようとしないで、リューター等で少しずつ少しずつ削った方が、時間はかかりますが失敗を避けることができます。
また、武装神姫のフェイスパーツはPVCのムクなので、削らなければならない部分が多いため、単純に大変です。
現行の美少女プラモ方が加工が簡単というのは、これらが理由です。
3,アイホールの形を整える。
フェイスの表側に戻って、デザインナイフ等でアイホールの形を整えます。
概ね、白目の部分の輪郭を作るようなイメージで穴を整えてやりましょう。
このとき、何度か実際にアイをはめ込んで、ちゃんとアイがはまるか、フェイスに密着するか等を確認しながら作業しましょう。
4,アイの角度を調整し、固定する。
アイの角度を調節した後は接着剤で接着します。
あるいはひっつき虫を後頭部の開口部分から詰めてやるとアイの交換や角度の変更が簡単にできます。
ただし、ひっつき虫は気温が高いと溶けて癒着してしまうので暑い時期は気をつけて見てやる必要はあります。
5,反対側も同じ作業を繰り返す。
これを両目とも作業をすれば完成です。
作業時間は両側で3時間程度でしょうか。
アイホールを整える作業はかなり慎重にならざるを得ないので、気を使います。
さて、このように武装神姫のドールアイ化作業はかなり大変な部類に入ります。
もし挑戦する場合は、後述する複製の項目で紹介するような、レジン複製品を使うことを推奨します。
武装神姫のフェイスパーツは貴重なので、予備パーツをしっかり用意するという意味でも、加工難度の意味でも、レジン複製品を用意するのがいいでしょう。