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外撮り(野外撮影)について 第七回
・紛失・破損などのロスト対策
外撮りでは、撮影場所が自室のような慣れた場所ではありません。
それはパーツを落として破損したり、そのまま紛失したりするリスクが非常に高いということです。
それに対して、十分に注意を払う必要があります。
では、注意を払うべき点には、どのようなものがあるのでしょうか。
これも全てを列挙するのは非常に難しいので、幾つかの例を挙げて考えてみたいと思います。
・安定性を上げる。
まず、外撮りにおいてはフィギュアを床面に置いて写真を撮る場合から考えてみましょう。
屋外ですから、当然風が吹いている場合を想定しなければいけません。
また、ポージングは極力接地面を増やし、安定して立てる、あるいは座れることが重要です。
それを考えれば、立たせるより座らせる方が楽ですし、安定感は増します。
しかし、どの場合でも、安定したポージングを取れるわけではありません。
そのためにも、事前の準備が重要になってきます。
まずは各関節の渋みを調整して、固めにしておくことです。
関係ないように聞こえますが、これは重要です。
例えば、屋外では風が吹いたり、思わぬ力がフィギュアに加わることが考えられます。
そのため、力が加わっても安定してポーズを保てるようにしておくことが重要です。
また、安定性をあげるという意味では磁石を入れた靴や足パーツと鉄板などを使うことも有効です。
あるいは一般的なフィギュア用のスタンドや、ドール用の屋外スタンドアーム(先端がピックになっていて、地面に刺せるタイプのもの)などの、フィギュアを直接支える物を使ってもよいでしょうし、両面テープのような粘着テープを使ってフィギュアを直接貼り付ける物を使うのもいいでしょう。
勿論、ピックタイプのスタンドや粘着テープは、撮影環境を破損・汚損させる恐れがありますので、撮影環境次第では使えない場合も当然出てきます。
こうした補助手段は複数用意しておくか、あるいは事前に想定される撮影環境を十分に下調べをするといいでしょう。
・パーツの固定力を上げる。
外撮りでは、パーツの落下は命取りです。
というのも、室内と違って、落下したパーツを必ず回収できるとは限らないためです。
例えば、道路脇の側溝や海辺の岩場など、隙間に落ちてしまうと回収は非常に困難です。
また、気付かない内に落下してしまうと、まず回収は不可能でしょう。
そのため、手首等の外れやすいパーツは事前に瞬間接着剤等で軸を太らせて固めに調整する、または手首のように頻繁な交換の必要のないパーツは接着してしまうことも視野に入れてもいいでしょう。
特に、動物園の檻の前などでパーツが落下してしまうと、回収が不可能なばかりか、動物が飲み込んでしまい健康被害を出す、ということも過去には起こりました。
その意味でも、パーツの落下対策は考えておいた方がいいでしょう。
・野生動物に注意する。
これはかなり限定的なお話になりますが、野生動物の中には人間が持っている物を食料と誤認して襲ってくる場合があります。
特に有名なのは、神奈川の海岸に生息する鳶などですね。
過去には手に持っていたフィギュアを鳶にさらわれてしまった、という事例もあります。
このように、一見全く関係のないような情報も、自身とフィギュアを守るためには必要になってくる場合もあります。
こうした情報や知識も、持っておくに越したことはありません。
・フィギュアを取り出しやすい環境を作る。
フィギュアの野外撮影には時間をかけられない場合がほとんどです。
そのため、すぐにフィギュアを取り出したり、ポージングを崩さずに運搬できるように準備をしておくと良いでしょう。
例えば、カメラ用のがっしりしたウエストポーチを使うと、撮影したいポーズを取らせた状態でその場に運び込み、取り出して撮影した後は速やかにしまって移動することができるようになります。
あるいは、大きめのバックを持ち込み、バックの中でポージングを済ませておく、などでもいいでしょう。
少なくとも、一般的な運搬方法である眼鏡ケースなどは、野外撮影には不向きです。
ケースを取り出し、そこから出すという手間が増えるのは、速やかな撮影という観点には向かないためです。
・プライバシーへの配慮
屋外には、自身の居場所を他者に知らせてしまうランドマークになるものや、ご自身の姿を映す物などが多くあります。
また、他者の姿が写り込んでしまう場合もあります。
外撮りにおいてはそうした物をうまく隠したり加工したりする必要がありますが、そのためにはそうした知識が不可欠です。
・観光名所での撮影
観光名所の場合、他者が写り込まないように撮影をするのは非常に困難なので、写り込んだ他者を加工するのは必要です。
また、その写真は「この場所にいます」という宣言に等しいので、SNSに投稿するのは撮影から時間をおいてからにするのがいいでしょう。
・ガラス、鏡等の映り込み
ご自身が写り込むのを確認するのは勿論、他の方が写り込まないように確認するのも必要です。
カーブミラーやショーウィンドウなども忘れがちですが、注意を払う必要があります。
・電柱やマンホール
電柱などには番地が振られていたり、撮影場所を特定するヒントがあったりします。
日常風景を撮影する場合には、それらが写り込まないように配慮しましょう。