最も簡単なアセット・アロケーションの組み方(3)
金融商品の値動きによるアセット・アロケーションは前回ご説明したとおりです。
さて、次はキャッシュの増減による対応です。
「普通の人」さんは、今年そこそこのボーナスを貰えることとなり、特に資金使途もないので全額運用に組み込むこととしました。ボーナスは75万円です。
現在の運用のキャッシュ(現金)は5,774,250円となっているため、これが75万円増えることとなります。
当然、現金比率が上がることとなりますので、現金:リスクを半々に戻すため、リスク資産であるeMAXIS Slim 米国株式 (S&P500)を追加購入します。
その結果、調整表は次の通りとなります。
さて、年末となり家族で正月旅行に出かけることとなります。
旅行の予算は40万円。生活費でない特別な出費ですので、運用資産から資金調達します。
今度は現金を40万円減少させて、その分リスク資産を売却し比率を50%ずつに戻すところまで一気にやりますね。
※実際には相場による値動きがあるのでこのようにはならないですが、現金の出入りによる調整を説明するため、あえて相場(リスク資産)は動かなかったとしています。実際には調整時にリスク資産評価額を反映させてください。
さて、旅行に行くということで運用資産を取り崩してしまいました。
「『長期投資』といいながら、せっかくボーナスで運用に回した有料ファンド『eMAXIS Slim 米国株式 (S&P500)』をこんな短期で売却するなんて…」という真面目な「普通の人」さんがいると思います。でも
資産運用というのは「節約」とは意味が違います
資産運用は、あくまで資産のうち「適切な割合」をリスク資産にしておくということです。そこは躊躇する必要は全くありません。
お金は人生を豊かにする道具であり、お金自身を増やすことのみを目的とするのは間違っています。使ってナンボです。
例えば、前出の「ツワモノさん」のように、100%リスク資産に資金を投じる人にとっては、支出は必要な分だけリスク資産を売却すれば良いだけです。
でも、相場には値動きがあるし、高いところを売って安いところを買い直さないと儲からないんじゃないの?
はい、これが一般個人のほとんどの考え方だと思います。
もしそうであれば、機械的に売買されるインデックスファンドなどよりプロが運用するアクティブファンドの方が常に成績が良いはずです。
でも実際にはそうなっていない。年を通じてプロが運用するファンドがインデックスファンドに勝てるのは10%程度。長期では皆無に近いのが現状ですす。
相場の「高い」「安い」はあくまで投資家の主観であり、その後の相場の値動きを予見できるものではない
これが長年運用経験を積んだ私の意見です。
なので特に一般個人は、良い金融商品を見つけたら、あとは値動きなどを予想し短期売買などはせず、淡々とアセット・アロケーションによる資金配分を機械的に続けるだけで資産は増え続けます。
最近つぎの名著が改訂されたようです。
良本ですので、良かったら手にとって読んでみてください。