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個別株への投資をどう考えるか

やれ「成長株」だ「テンバガー」だなど、個別銘柄への投資はとても魅力的に聞こえます。

「何がインデックスファンドだ。株の醍醐味は個別株しかないだろう。」


大きく資産を増やし、大成功を収めた著名投資家が「インデックスファンドで一財産築いた」などという話はあまり聞いたことがありません。

正直、私も個別株から相場の世界に入り、投資塾などを主催して個別株投資指南などもしていた経験があります。
ただ、永年の経験を伝えるのは本当に難しい。
唯一、テクニカル(ローソク足などチャートを利用した投資方法)だけは基準があるので教えることは可能なのですが、残念ながらその優位性はせいぜい5%程度で、それよりも精神的な問題でつまずくケースの方が多いのが現実でした。

株式投資(トレード)を本業としていない「普通の人」たちにとって、有利なのは個別株よりインデックスファンドです。


これは理論的に説明ができます。
リスク資産(投資対象になる金融商品)に対する将来の期待値(利益)は「シャープレシオ」で表すことができます。
シャープレシオとはリターン÷リスク、つまりリスクに対するリターンの割合が大きいほど期待値が高くなります。

前出の記事で説明したとおり、時価総額加重平均連動のインデックスファンドは、少なめに見積もっても

リターン5% リスク 10%

はあります。
(ここで言うリスクとは『危険度』を表すものでなく、リターン成果のブレを表すものです(標準偏差))
一方、個別銘柄のほとんどは、これよりリターンは大きくあっても、リスクは更に大きいものが多いです。例えば

リターン10% リスク22%

などのような状態で、長期投資においてはよほど上手く運用しない限り、投資効率はインデックスファンドに劣ってしまいます。

個別銘柄の成功者は、短期投資で上手く切り抜けたり、損失覚悟で値下がりした銘柄を売却して投資効率を高める、いわゆるロスカット技術に長けた投資家たちであり、これらは「普通の人」に教えても精神的に難しく、実行出来る人は一握りしかいませんでした。

なので、さらに良い期待値を求めて投資効率を高めたければ、個別株を加えるより、アセット・アロケーションを見直し

リスク資産の割合を増やす
現金:リスク資産の割合を50:50から30:70などに変更する

方が有効になります。
もちろん、その分リスクも大きくなるため、仮に暴落などに巻き込まれた場合、かなりの資産減少を覚悟しなければなりませんが、個別銘柄をロスカット(損切り)するよりは精神的にかなり楽で、現金比率さえ残してあれば、アセット・アロケーションのリバランスで下げ相場の中、残った現金で買い向かうことさえできます。

この精神的優位性は大暴落に見舞われた経験がある方ならすぐ分かると思うのですが、過去の例を見ても、いち早く相場が立ち直るのは先物市場であり、それに追随してインデックスであることが多いのです。

目先の資産減少に目をつむり、世間が株式市場の先行きを悲観する中、淡々とインデックスファンドの安値をアセット・アロケーションのリバランスにより計算された金額を機械的に買う。
その後、急速な立ち直りを見ることができれば、一気に資産が回復する。
個別株のテンバガーを当てるほどではないかも知れませんが、これはこれで結構醍醐味があるものです。
(もちろん長期投資において、一喜一憂は厳禁ですが…)

以上のような理由から、「普通の人」さんには投資対象は時価総額加重平均連動型インデックスファンドのみをお勧めします。
お勧めの金融商品は前の記事を参考にしてくださいね。


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