【映画感想】新感染ファイナル・エクスプレス
コン・ユを観たいがために、普段は観ないパニックムービーに手をつける。
始め、失敗したか…コン・ユの父ちゃんプリがダメすぎる…トッケビとの落差が…と思うも、さすがは韓国映画。
完全に別物として面白かった。
あらすじ
ソウルの証券会社でファンドマネージャーとして働くソグ(コン・ユ)は、
顧客の利益を最優先に考えて動く利己的な仕事人間。
仕事、仕事で家庭も顧みず、娘の学芸会も仕事を理由に
見に行くことはなかった。
そんな彼に愛想を尽かしたのか、妻は家をでていき、プサンで暮らしていた。
一人娘のスアンは自分の誕生日に母親に会いたいと、言い張る。
ソグは仕方なく、誕生日の早朝、娘を連れて、
プサンへ向かう高速鉄道KTXに乗り込む。
高速鉄道が出発するその時、1人の全身傷だらけの女性が車両に滑り込む。
そして、その朝、ソウルでは暴力を伴うデモが多発していた。
一体、何が起きているのか…
電車が出発してまもなく、
傷だらけの女性は、意識を失う。
そこに駆け寄る女性乗務員。
数秒後、彼女に襲いかかったのは息を引き取ったはずの傷だらけの女性。
乗務員の首に噛み付いて離れようとしない。
そこから逃げようと、通路を暴れ回る乗務員。
車内は一斉にパニック状態に陥る。
逃げ場のない車内の中、一斉に乗客たちが次々と凶暴なゾンビへと変貌する。
ソグは娘を守り切ることができるのか…
極限状態で人を守れるか
主人公ソグはかなりの利己主義者。
ゾンビから目隠しをして安全な車両に逃げ込み、一息つく車内でおばあさんに席を譲る娘。
それをみたソグは
「こんな状態でそんなことをするもんじゃない。今は自分のことを最優先に考えろ」と言う。
それに対して、反発する娘。
おそらく母親は「人に優しくしなさい」と言うタイプのようで、
母親の言いつけをしっかり守って成長している。
「だから、ママは出て行ったんでしょう」と言われてしまう始末。
自分のことばかりで他人を顧みようとしないソグに対し、
妊婦である妻を労るサンファは、反感を覚えながらも、小さなスアンに対しては
優しく寛大な様子を見せる。
また、野球部員のヨングクも他の部員を守ろうと必死で戦う。
逃げ場のない車内で、ゾンビに噛まれたら終わりという状況に置かれて、
果たして他人を思いやれるか…
自分がその場に置かれたら、残念ながらその自信はない。
他人を、弱者を助ける人間でありたいと思うが、
人間誰しも自分や自分の身内を一番に守りたいのではないか。
ましてや自分だけではなく、自分以上に大切な小さな存在を守ろうとしている状態。
もちろん子どもには「人にやさしく」と教えたい。
けれど、自分だって怖いのだ。死ぬのも恐ければ、ゾンビと言う得体のしれない生き物も怖い。
噛まれるのも怖い。
痛いのも嫌だ。
どうすれば自分以外にも優しくできるような、強い人間になれるのだろう。
ソグは自分たちだけ守ろうと必死で自分のツテを当たる。
また、バス会社の役員のおじさんも自分だけは助かろうと必死であれこれ工作する。
極限の状態に陥った時に、人間の本性がでると言う。確かにそう思う。
ソグは、危機一髪のところをサンファに助けられたことで、
気持ちを入れ替え、彼らと力を合わせるようになる。
仕事を必死にこなすことが家庭を守ることだと信じて疑わなかった彼のこれまで。
時に本末転倒になるほどに仕事人間になってしまった結果、
自分自身を見失ったのかもしれない。
元々は、スアンの母親のような女性と出会ったのだから、
他人を思いやる人間だったのかもしれない。
けれど、いつの間にか目の前の仕事を必死でこなしているうちに
顧客の利益ばかりを追い求めるうちに、
自身のことばかり考えるようになってしまったのかもしれない。
それでも必死で働き、お金を稼ぐことは娘や家族のためだと信じている。
娘の誕生日には喜ぶものを買い与えたい。部下に聞いて流行りのプレゼントを買ったら、それはつい先日別の理由で買い与えたものとかぶってしまった、という失態をおかしたとしても…それらは全て娘のためだと信じて疑わなかった。
自分は一生懸命娘のためを想っているのに、
娘の気持ちは離れるばかり。
極限状態で自分や、伴侶にがっかりしたくないから、
極限状態には陥りたくないなあと、
詮ないことを考えた私でした。
それにしても、トッケビとは全く違うけれど、
泣かせてくれるコン・ユの演技。
パニックムービーは苦手であまり見ないけれど、
韓国の映画って、きちんと泣かせるところ泣かせるし、
考えさせられるようなテーマも入ってるし、
日本のゾンビ映画は安っぽくて見られないけれど、
そういう安っぽさは全然ない。
爆破シーンも迫力がある。
逃げ場のない鉄道内と言う密室の使い方もうまい。
派手なところ派手で、細かい部分はきっちり描いてあるから、
見ていて飽きない。
すごいなあと感心するばかり。
こういうのならば、パニックムービー含め、
色々韓国映画も観てみようかな、と思う。
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