【ドラマ感想】君は私の春(10話まで)
ついこの前まで「観るのに追いつけない!」という嬉しい悲鳴をあげていたのに、最近少し配信のスピードが緩やかになり、同時進行で観ていたものは全て「待ち」の状態になってしまった…配信と同時に観るのがいいか、配信が終わってから観るのがいいのか、私はまだ迷い中。
「君は私の春」
勝手に「椿の咲く頃」のコンヒョジンさんだと思い込み視聴し始める。違う。こちらはソヒョンジンさん。
なんというか、空気が少し不思議で、入り込むまでに少し時間がかかった。
1話目、不穏な空気で始まる。カンダジョンという7歳の少女の辛い記憶。隣の家に憧れる少女。過酷な家庭環境。幼い心に負った傷。
やがて彼女は大人になり、いろんな傷を克服しつつ一流ホテルのコンシェルジュとして働く。新しくできたビルに引っ越すことになるが、そのビルでは工事中に殺人事件が起きている。そして階下で開業することになった精神科医チュヨンドとの出会い。
チュヨンドと穏やかな恋が始まるのかと思えば、半年ほど前からダジョンに言い寄っている素敵な男性がすでにいる。ダジョンは男性を見る目がなく、不幸な恋愛ばかりを繰り返しているため、断り続けていた。でも、見るからに素敵な男性で周りは彼との恋愛を勧めてくる。ダジョン自身も今度は素敵な男性かもしれない…かな…?と思った矢先の物語が急激な展開を見せて、余計に観ている側は混乱する。
次から次へと起こる事件が一体、どこでダジョンと繋がるのか。
10話の時点でもまだ真相が見えてこない。5話ぐらいまでは点があちこち無数に散りばめられてばかりなのだ。点と点が少しずつ少しずつ繋がり、全体像…いや、まだうすらぼんやりした影のようなものしか見えない、それでもその影を目を凝らしてみていると面白くなってくる。
でも、私はそこに描かれる、うすらぼんやりした、そして不気味な影よりも、二人のゆっくりすすむ恋愛の方に癒されて魅入ってしまった。
ゆっくりゆっくり近づいてくる、不気味で避けることのできない影と同時に、二人の恋模様はゆっくりゆっくり穏やかに深まっていく。
互いに幼い頃に傷を負いながら、恋に臆病な二人が少しずつ惹かれあっていく。ヨンドの優しさがダジョンを包み込んでいく様にこちらも、すごく癒やされるのだ。
ヨンド役のキム・ドンウクさんの優しい空気感。飄々として、穏やかで、男前だけれど気取っていなくて…すごく魅力的なのだ。女性からはきっと「可愛い」と言われてモテるタイプであろうに、奥手で不器用。初対面でダジョンのことをズケズケと言い当ててしまい、嫌われるも、ダジョンの傷つきながらも自分の足でしっかりと立ち、傷を克服しようと努力し、強く、そして優しく生きる姿に少しずつ惹かれ、惹かれ始めると、その気持ちを隠しきれないヨンドの不器用さ…いや、子ども?少年?優しくおっとりした少年のような、人畜無害な空気感。男臭さも強引さもなく、植物のような無味無臭さ。(いい意味で)
「なんと…」が口癖のなんとも時代錯誤な空気感がまた似合っている。
ヨンドの持つ生まれながらの優しさと、そして幼い頃に受けた傷をダジョンがその強さで包み込んでいく様子がすごく素敵だ。
不穏な空気と対照的なこの穏やかな恋愛模様がクセになる。