買い物支援の取組②地域の困りごとには、地域の結束で取り組む!~上鳥羽ネットワーク~
南区上鳥羽学区で「上鳥羽マルシェ」が2022年6月からスタートしました。この取組は上鳥羽自治連合会・上鳥羽社会福祉協議会をはじめとした地域の活動団体で作られた「上鳥羽ネットワーク」が進める買物支援事業で、学区内の4か所の公園、上調子児童公園・島田児童公園・奈須野公園・東向公園で移動販売が実施されています。
“上鳥羽”は、桂川と鴨川の合流地点に近く、しばしば水害に見舞われてきた地域です。しかし、それと引き換えに肥沃な土壌が育まれ広大な農地として発展してきました。全国的なブランドである九条ネギをはじめ、キャベツ・金時ニンジンなど豊富な種類の産地である一方で、主要幹線道路が通るなどの交通の利便性から多くの事業所や工場が集積する地域でもあります。
お話を聞いた人
前川勝六さん(上鳥羽自治連合会会長)
村田治夫さん(上鳥羽学区社会福祉協議会会長)
小村一誠さん(社会福祉法人清和園 鳥羽ホーム)
Q上鳥羽マルシェを始めようと思ったときに感じていた地域の課題について、それぞれの立場から聞かせてください。
小村-学区内を走るバスの本数が少なくなってきており、高齢者が買い物に困っていると聞いていまして、地域の福祉施設である鳥羽ホームとしても地域貢献をしたいという思いを持っていました。まずは、できることからやっていこうと2018年から「買物ワゴン車」で地域の方を食品スーパーへ送迎させてもらうことにしました。しかし、一回あたり7~8人しか乗れないので、どうしても対応できる人数が限られてきます。そういう背景もあって、移動販売という地域の中に出向く形式で野菜などをお届けできたらなあという思いで上鳥羽社会福祉協議会の村田会長に相談しました。
村田ー最初、鳥羽ホームさんから「買物ワゴン車」のことを打診されて、感動し一緒に取り組みたいと感じました。その後、買物送迎を学区社協として支援する中で、南区の野菜を外出が困難な方のためにできるだけ安価で届けていきたいと考えるようになりました。そこで学区内の何カ所かで、マルシェを開けばよいのではないかという話になりました。
前川-上鳥羽学区の中では、年々小売店が減少している現状があります。そうした中で、移動販売の案が出てきましたので、自治連合会としても地域の困っている人が助かるんじゃないかと思いました。地域の役員が主催して、高齢者や住民に買物に来てもらうことで、ちょっとした会話が生まれて、そこから地域がつながっていく、そういうものにしたいと思いました。
Q2022年6月からスタートして、手ごたえはいかがですか?
前川-開始にあたり、学区内にある公園の使用について南部みどり管理事務所に相談に行きました。公園使用については使用料がいるとのことで、それを了承し、4か所の公園で月に計8回開催しています。お買物をされている方からの要望もあり、少しずつ商品も増やしてきました。広報も頑張っていますが、来場者の数は平均5~6人ほどと、手ごたえとしてはまだ目標としているお客さんの数の3割程度です。始めた頃、「本来であれば歯医者の時間やけど、この移動販売の時間に合わせて来たよ」と杖をついて来られた方がいたんです。やってよかったなあと思って、今もそれが支えになっています。
村田-奈須野公園ではグラウンドゴルフの時間にマルシェを開催するようにしたので、その人たちもだんだん購入してくれるようになり、売上も増えてきた実感がありますね。ただ、もう少し多くの住民にお買物に来てもらいたいという思いはあります。
小村-南区内外の営農者たちのグループが、軽トラに野菜を中心とした商品を載せて来てくれています。お買物に来ていただく人数は、天候にも左右されますから日によってバラバラです。最初は夏野菜を少し販売する程度でしたが、地元の薬味とお菓子の製造会社が商品を出してくれることになり、商品のレパートリーが増えて喜ばれています。移動販売車は、上鳥羽マルシェのあとに鳥羽ホームのデイサービスでも販売しています。これからは、もっと地元企業を巻き込んで地域の方とつなげていきたいと思っています。
Q継続していくための「上鳥羽マルシェ」の仕組みはどのようなものですか?
小村-現在は、移動販売事業者さんたちから出店料をもらっていて、そこから公園の使用料を支払っています。差額は、先ほど話したお買物ワゴン車の送迎時の保険料などに充てています。こうした動きから今、上鳥羽ネットワークとして、買物支援のより総合的な事業化を考えていて、買い物ワゴン車での「買物送迎」、マルシェでの「移動販売」、そしてゆくゆくは代わりにお買物へ行く「買物代行」を出来たらと思っています。慈善事業では長続きしません。継続して息の長い取組にしていくためにも、企業からの協賛も検討しています。上鳥羽学区は企業も多く、地域に貢献したいけどどう関わっていったらよいかわからない事業所もあると思うので、上鳥羽ネットワークでつながってもらいやすい環境を作っていきたいですね。現在マルシェのパンフレットも新たに作成しているので、この事業に協力してもらえるよう訪問していきたいです。
Q同じような課題を抱える地域も多いなかで、上鳥羽の実行力は目を見張るものがあります。なにか秘訣はあるのですか?
村田-上鳥羽は小学校と地域が一体化していて、自治連合会の力も強いです。上鳥羽小学校は令和4年に創立150周年を迎えましたが、その式典も連合会長が実行委員長になって、地域一体で取り組みました。まずは、行動を起こそうとしている人がいるということが重要で、その意見に賛同して地域の人たちが協力して動くということが大切だと思います。今回のマルシェにしても、鳥羽ホームさんだけ動いてもあかんのです。やっぱり地域が動かないと。だから自治連合会が、旗を振って動いてくれています。
前川-いろいろとしんどいですよ。でも楽しいですよね、めっちゃ楽しいです。
Q「上鳥羽マルシェ」のこれからの展望を聞かせてください。
村田-まずは、上鳥羽マルシェに来てくれる方が目標の50%以上となることを目指しています。
前川-このマルシェを継続して定着させたいです。上鳥羽ネットワークの中にもいろんな団体があるので、連携して地域のイベントに参加するなど出店機会を増やして、もっと上鳥羽マルシェを知ってもらえるようにしたいです。その次は上鳥羽ネットワークに企業に参加してもらい、地域が広くつながる形にしていきたいというのが私の思いです。上鳥羽ネットワークは、地域の各種団体だけでなく、民間団体や事業所も参加することができる開かれたネットワークを目指しています。なので、企業ももっと巻き込んでいきたいです。
小村-今は1台の販売車だけですが、ゆくゆくは台数も増やして商品数を増やし、お客様に満足いただける商品を届けたいと考えています。鳥羽ホームに続く参加者が出てきたらいいなと思っています。
<今後のイベント情報>
上鳥羽マルシェ 10:00~11:00 ※雨天決行
毎月の開催スケジュールは、鳥羽ホームのインスタグラムInstagram(@toba_home)をチェック、または鳥羽ホーム(TEL 075-692-1147)へ直接お問い合わせください。
上調子児童公園
島田児童公園
奈須野公園
東向公園
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