見出し画像

映画「30S」約束の日イベント第一部

 同じ映画を一日に三度観る。なかなかない体験である。最近旅行づいていたせいか、映画館の椅子の感触や隣席との距離感がまるで飛行機のエコノミー席に座っている感覚を思い起こし、長時間座りっぱなしは苦痛になるかもと心配したが、そんなことはまったくなかった。機内と違って大画面で映画が見られるし、なんといっても、真田くんがプロデュースし真田くんが映画音楽を作曲し、真田くんが出演している映画を、実物の真田くんを見ながら観られる回まであるのである。映画初見で、「ちょっと長いな」なんて思ってごめん。こんなイベントがあるなら3時間はあってほしかった。なんなら、ディレクターズカット版で観たかった。

■第一部

10月31日 12:15〜 オーディオコメンタリー上映
*佐藤監督と真田Pと一緒に映画を観ながら、裏話や考察を聞ける回

 黒のセットアップに黒のローファー、首から下はキメキメなのに、頭にかぼちゃのカチューシャを乗せてオチャメに現れた真田くん。対して監督は、30Sオリジナルグッズのパーカーにジーンズ姿、肩から自身がデザインしたトートバッグを下げて、その中に真田くんの用意したかぼちゃの被り物が入っていることをチラッと見せてくれたが、結局最後まで被ってくれることはありませんでした。

 自己紹介から口も滑らかな真田くんを見ていたら今日も一日楽しくなること間違いなしと期待が膨らみます。スクリーンを挟んで下手の椅子に真田くん上手には監督が座ってイベントは進行します。

 真田くんを目の前にしていよいよ上映開始です。

 「感じるだろう?」
 
最初の台詞です。真田くんの美声を、真田くんと一緒に聞く。いやいやこんな贅沢いいんですか?
「地球が回ってるんだ」のセリフのところで、「この間(ま)、腹立つね」。そして真顔で応じるレンカとタケルの二人に「よく笑わないよね!」と茶々を入れます。
 音楽が流れると「ここ俺が作曲した曲だよ!」と教えてくれる。そして「詳細が聞きたい方は次の回も来てね!」の宣伝も忘れない。

 真田くんが10年前の撮影で着用しているポロシャツは、ユニクロで購入した2022年製だったため、パンダのワッペンを上から付けて誤魔化したことは以前のトークイベントでも聞いていたが、今回のイベントでは初出しの話も多かった。

■オーディオコメンタリーで明かされた話

・真田くんは、この映画の撮影のためにわざわざ金髪に染めたそうである。なのに映画では10年前のシーンはモノクロで表現されているため目立たない。
・天文台での食事のシーン、ケチャップで衣装を2箇所も汚してしまった真田くん。そのうち一つはお尻の部分で、御手洗がふざけてタケルの膝に座るが、お尻のケチャップ攻撃にタケルはリアルに嫌がっているんじゃないかと。
・10年前の天文台のシーンはピンマイクが一つ足りなくて、真田くんの分はなく、セリフは声を張らなければならなかった。
・ポラロイドもその当時使用していたものを入手するため、メルカリで購入した。フィルムが結構高価なのに、レンカ役の財田さんが3回くらい書き損じた。実際二本線で訂正して書き直したものが採用されている。
・レンカが手を差し延べるシーン。手だけ映されているが御手洗がその手を握るバージョンもあったらしい。たしかにあれ意味深なシーンである。
・タケルが寝起きでスマホをチェックする場面で、真田くん「起きてすぐ目が開けられるタイプだね。俺は無理。全然目が開かない。寝起きはブス」
・御手洗から突然届くメッセージ内容を見て「こんなのいきなり来たら怖いよね」
・「約束しよう」と三人が後ろ姿で並んでいるシーン。三者三様の後ろ姿に「俺、猫背だな」
・真田くんがドラムまで叩けるから驚いた監督。
・大学の教室の黒板に描かれた「太陽と地球と月の絵」はなんと真田くん作であった。え?めっちゃ上手くない?上手すぎるから絶対真田くんが描いたんじゃないと思っていた。ごめんなさい。moonの飾り文字もうさぎのイラストもめちゃくちゃ可愛いし、しかもその時真田くんが教壇に立ち、レンカとタケルが座っている席の位置は、太陽と地球と月の位置に合わせていると聞き、徹底したこだわりにひれ伏しました。
・カオルには眼鏡をかけてもらったが、眼鏡は映り込みも多いため撮影に苦労したと監督。まだ映ってるな~難しいな~としきりにおっしゃっていた。
・カオルが関わる世界は、意図的におかしくしている。本来ならボードゲームカフェのような場所で興信所の人と話をするわけがない。最初はボーリング場にしようかと思っていた。
・カオルがみさきを待つシーンの行動はアドリブという話は以前のトークショーでも聞いていたが、ビニール傘の骨を外していくところで真田くん「地味にこれされたら嫌ですよね」
・ゴミの溜まったレンカの部屋を見て「あー24時間ゴミが捨てられないタイプのマンションね」と真田くんが言ってて、いつでもゴミが捨てられる管理体制の高級なところ住みなのかな、と思いました。
・「俺、横顔ばっかりじゃない?」と真田くんが指摘した通り、監督はあえて御手洗の横顔ばかりを映しているそうである。
・御手洗の「Photostagram」アイコンのバイクは、真田くんが実際に乗っているバイクだそう。「ここだけの話ね」と言われたのに明かしてすみません。コロナ禍、阿部顕嵐くんと大型バイクの免許を取りに行ったと教えてくれたものの、その後バイクに関することは一切話したがらない真田くんが、御手洗の見栄スタグラムのためにと一肌脱いでくれたのでしょうか。その他の見栄っ張り風写真を用意するために、周りの人に時計を撮らせてもらったりしたことも話してくれました。そしてカオルが御手洗のPCのパスワードを解除しようとする場面で、「こんなパスワード絶対ダメですよ!ほら開けられちゃいますからね」と注意喚起も忘れません。
・カオルが御手洗の会社に潜入した帰り、道でタケルと電話するシーンでは、「僕、ここで交通整理してました。この角でね。」と誘導ポールを持ったしぐさをして教えてくれる。
・3年前御手洗がレンカに別れを告げるシーンの撮影は「5月23日だったから前日ライブがあって体力はヘロヘロだった」と。確かに去年の5月22日は幕張メッセで7ORDER3周年感謝祭「燦参七拍子」を開催していました。あのとんでもない忙しさの中、映画の撮影をしていたなんて恐れ入る。あれ?でも映画のクランクインってたしか5月25日じゃなかったっけ、、と頭の片隅で考えてしまった。劇中の音楽を制作し、映画をプロデュースし、ある時は交通整理のスタッフや美術のお手伝いをし、役者として出演までしていた真田くんが、細かい日付なんて忘れて当然なのであるが。真田くん曰く、あの別れの時の御手洗が本当の御手洗だそうである。
・矢崎事務所での詐欺師っぷりは、大袈裟な手振りを入れてわざと過剰に演じたという。小道具のロケットは前日に美術スタッフが作ってくれて、これを使って説明するよう監督に手渡されたそうである。熱弁の後、実はウィンクまでしているらしい。「俺もいつか、月に立って見せますよ」の後だろうか。そのシーンの評判も良く監督は使いたそうだったが、真田くんがここでまさかのプロデユーサーとしての特権を大発揮し、カットしてしまったそう。もったいない。ディレクターズカット版を全力待機します。
・レンカがお酒を止めようと家にあるお酒を全て流しに捨て部屋を掃除するシーンで、「やる事ないと部屋掃除しがちですよね」そうなんですか?
・匿名メールでセクハラを告発された高来さんが激昂する上司に向けてお辞儀をする場面で「めちゃくちゃ綺麗じゃない?」と真田くん。監督から高来さんは実は元ホテルマンだったことが明かされる。
・ウェディングドレスを試着しに行ったのに、ぼーっとしていた上「なんで俺なんかと結婚するの?」なこと言い出すタケルに「これはない!」とご立腹する男らしい真田くんであった。
・このまま30になっていいのかと逡巡するタケルと、優美のお父さんである中古車販売会社の社長が話すシーンで「いいよね」。そしてその会話の内容に「もう答え出ちゃってるじゃん」とも。売れ残ってる車が34万円なことも、なんか切ないとか言ってたような。
・タケルが蔵野に会いに行く車内でラジオを流そうと、番組風なものを録ろうと思っていたが、面倒でやめちゃった監督。
・10月29日の大学の文化祭でハロウィン感が全くないことを真田くんが触れていたが、この撮影時誰も念頭になかったそうである。
・着ぐるみのパンダはゼミの私物。
・レンカと高来さんが食事をしたイタリアンレストラン。その奥の厨房で真田くんは「生ハムの冷製パスタ」を作っていたそう。
・レンカと高来さんが待ち合わせする神社は、7ORDERファンならわかる「燦参七拍子」関連の撮影で使用した神社。真田くんは神田明神を推していたそうだがご縁があるこの神社での撮影となったそう。撮影当日もファンの方が参拝に訪れていたそうで、その場に居ない真田くんのもとにはスタッフから「ファンの方が来ていますよ」と報告があったそう。「もしかして映り込んでいたら、俺出演料払いに行かなきゃいけないんじゃない?」と笑わせてくれた。
・監督は洋画が好きとのことで、レンカの着衣シャワーや、文化祭でカオルが子供とぶつかって赤い風船が空に放たれるシーンは、キャスリン・ビグロー監督の『ハート・ロッカー』からヒントを得たそう。真田くんがこの赤い風船にも意味があるんですか?と聞いたら「ちゃんと意味がある」との事。

■同じ誕生日の人に会った事ありますか?

 同じ誕生日の人に出会えるってすごいよね、しかも3人も、という話に。監督はないと言い、真田くんは、「俺はありますよ。AKBの指原さんです(元とは言わなかった)。誕生日の人がバーッと並んでると一番最初に名前が出てきますから。売れてる順ですからね」なんて言ってた気がする。

■真田くん、途中でトイレへ行く

 映画は先に三山直子のアパート前で張り込んでいたみさきとカオルが合流した場面に。みさきはこっそり逃げようと目論むがカオルにガシッと捕まれ、「トイレだけ行かせてお願い!」と頼むもすげなく「だめ!」と断られる。「俺もトイレに行きたい。膀胱がやばい。まあ我慢はできますけど」と言い出した真田くんに、監督は「どうぞ行ってきてください」と許可を出し、真田くんはトイレへ。その間ピンチヒッターで深澤Pがマイクを握る。映画も佳境に入り、タケルと蔵野の再会シーンに入ったところで真田くんがトイレから帰ってきて、「ちゃんと手は洗いましたからね!」「いや早いと疑われるからね」なんて言ってるうちに名場面は過ぎていくのであった。

・蔵野とタケルの居酒屋トークで「焼肉食いたいな~」とつい漏らしてしまう真田くん。たしかにホルモン焼き美味しそう。監督「美味かったんだよね、この店」真田くん「あれ?俺なんでここにいなかったんだろう。ここだけ居なかったんだよね」
・こんなガレージを10年もずっと借りられるなんて実は蔵野お金持ちなんじゃない?監督も、実はいいところの人なんじゃないかと言う。「じゃなきゃこんなに売れてないのにやっていけるわけないもんね。今の時代にTikTokもやらずTwitterだけで路上ライブ開催を告知するだけだし、見てこのやる気のなさ!」と真田くんも蔵野の告知画像を指差し指摘していた。たった4人の観客の前で実際に歌っていた曲は「3月9日」だそうである。
・映画は、ほぼ大学内で撮影されている。会社っぽく見えるオフィス、病院っぽく見えるところも実は学内。レンカがレモンサワーをしこたまキメる公園みたいな場所も学内のどこかだそうである。これは聖地巡礼に行くしか?!
・アルコールを飲んで記憶を失った事ありますか?の話に。真田くんはある!と答えていたが、でも覚えていますよ、と。監督は、カラオケで飲んでいたはずなのに、気付いたら家だった事があった。それは本当に記憶が飛んでいたそう。
・矢崎事務所は胡散臭いグッズのオンパレード。壁には"開運"プレートもたくさん飾ってあるし、窓下のスペースに並んだサインには、実は真田くんがメンバーのサインを真似て書いたものもある。「俺が"やすい"とかって書いた」そう。あの場面で背景がボヤけてるのが悔しい!よーく見てみたい!
・約束の日の天文台でのシーン。御手洗とタケルのシーンは「火」、対してレンカとカオルのシーンは「水」を使いたかった。滝の前での撮影になったが、滝の音が大きく、女優さん泣かせであったらしい。
・カオルが震えるレンカの手を握る場面。カオルはレンカがアルコール依存症である事を知らないから、こんなに手が震えてしまうほどまだ御手洗の事を思っていると勘違いしている。
・映画の中に出てくる月は、その日付通りのリアルな月だそうある。
・教会の児童施設で「俺には妹が居る」と言ったのが「嘘つきの始まり」と言っていた。10年前天文台で「俺、捨て子なんだ」という御手洗の告白に、レンカは「また嘘言ってる」と流し、タケルはムッとして聞いている。
・メッセージに英文の字幕が入るのはどうして?との真田くんの問いに、監督は海外での上映を意識したからと答えていました。
・途中で、急に「MBTI診断」の話をしだし、当たってるんだよな~としみじみ言ってたけど、何の時だったか忘れてしまった。この回だったのかさえも。たしか真田くんは、「ENFJ(主人公)」でしたよね。

■素晴らしき師弟コンビ

 「今日は約束の日ですからね、少しはネタバレしてあげますよ」なサービス精神満点な滑り出しだった真田くんに対し、監督は「ここの撮影大変だったんだよね~」という話に終始し、あまり考察的な話はしたくないようであった。だから最後に「監督、少しは話してよ!」と真田くんに促されても、のらりくらり笑顔でかわされていたような。
 最後は約束の日に向けて増やしたオリジナルグッズを紹介してくれる。
 トートバッグは監督デザインの渾身の一品。「監督デザインできるんですね?」と真田くんも驚かれていたが、太陽と地球と月をシンプルにデザイン化して、自分が使いやすいようにとバッグのサイズも指定したそう。黒のパーカーも別のスタッフの方デザインの”太陽と地球と月”が背面に描かれたもの。黒Tシャツは胸に太文字で「サーティーズ」、イベントの特典ステッカーと同じデザインです。どれもデザインが可愛い。映画30Sグッズ、センスがよすぎる。
 真田くんが時々間違えて「先生」と呼びかけるのも微笑ましい、夢のようなオーディオコメンタリーは、2時間15分なんてあっという間に過ぎてしまいました。