メジャー3rdシングル8月24日発売「POWER」封入抽選特典A賞:サイン会
【サイン会】
生の真田くんを間近に見たい!
直筆のサインも欲しい!
前回での経験で、自分は真田君に何のパワーも与えられないしょうもない存在であることはよーく認識しているのだが、機会があるならとミーハー心を抑えきれずに応募してしまう私である。
ちなみに前回のサイン会
【フラゲ日当日】
今日、私の家には「POWER」のCDが5枚届いています。はやる気持ちを抑えながら、いやどうせ無理だよねと期待半分諦め半分で抽選に臨む。
1枚目・・・落選
2枚目・・・落選
3枚目・・・「当選」!!
ひぇ~~~マジ?当たった~。赤い太字が眩しい!
4枚目、5枚目は落選。そりゃそーだ。
翌日届いたコロムビア予約分も、ツタヤとタワレコ店頭分も外れていた。当たり前にきびしい。
でもたった1枚ですが私はサイン色紙を手にする権利を有しています。担当=推しに会える、たった150名の選ばれし民となったのです。
神様、ありがとう!
【当選~当日まで】
対面サイン会とは、コンサートなどのように一方的にでなく、推しも自分の姿を認識するイベントです。サイン会当日までに〇㎏痩せる、それでなくても何とか少しでも綺麗になりたいと思うのが普通です。
食欲がなくなる、眠れない、という反応も当然かもしれません。
もちろん自分だって気合だけは十分。太ってはいないのでちょっと美容面を気合入れてかんばろうと思っていましたが、思うだけでした。
何を着ていこうかぐらいは漠然と考えていましたが、9月の中旬といえば服装も夏のままでいいのか秋寄りにしようか微妙なところ。当日になってみなければ判断がつきません。いたって普通の日々を緩慢に送りながらあっという間に当日を迎えてしまいました。
【サイン会当日:9月11日(日)】
気づけば出発予定時間30分前でした。
通常の化粧時間5分に気合分2分ばかり追加して丁寧に施した顔面と、ヘアアイロン3分でなんとかなる髪に気合分ジェルを付けて、値段は張っだけどカジュアルなデザインのワンピースに袖を通しました。
着てから気づきましたが、あれ、なんかクシャクシャしてる・・・。スチームアイロンでもちゃんとあてておけばよかったと思いましたが今からやる気が起きませんでした。
実は今朝起きた時から気づいていましたが、貧血を起こす予感がしていたのです。
中学生の頃から悩まされていた持病「貧血」。
ベッドから体を起こすだけでもすっと一瞬気が遠くなりました。
常備薬を服用し、午後になるまでなるべく考えないようにしながら安静に過ごしました。
午前中にはアルバム特典のオンラインイベントもあったようでした。
SNS上には朝からパワフルに活動している人たちがたくさんいます。
遠方からこのサイン会のためだけに上京してくる人たちもいます。
なんていう体力。いいな。
本来なら自分もPowerfulなのです。体力もそれなりにあるほうです。
ただ少し血が足りないだけ。
元気だったら会場まで歩いて向かおうと思っていたのですが、バスを利用することにしました。
バスを降り、会場に近づくにつれ、異様な雰囲気の中に包まれていることを感じます。
オレンジ、赤、ピンクといった色の髪をした人、髪色が白いTシャツの襟口を汚している人までいます。たった今染めたばかりなのでしょうか。驚きです。グループ名が入ったトートバッグにピチピチのマーメイドスカート、顔面年齢にそぐわないファッション、小田ちゃんをぶら下げた集団に、自分がいつの間にか紛れているのです。す、すごい気合・・・・・・・
わが身を見下ろせば、無駄に緊張して体力を消耗しないよう普段通りを心掛けた結果、足元は近所使用の汚いサンダルを履いてきてしまっていることに気づきましたが後の祭りです。恥ずかしく感じるかと思いましたが、案外平気でした。それよりも、途中で倒れてしまうことのほうが心配でした。
勢いよく倒れて鼻を強く打ち付けてしまった時の恐怖を思い出します。
電子チケットは会場前で一度確認されました。集合時間10分前、15時くらいに会場内に入りました。会場内で整列している間はスマホ触り放題でしたが、私はスマホを見る元気もなく突っ立っているだけで精一杯でした。
倒れるときに目の前に並んでいる人にぶつかって迷惑をかけたらどうしようと、それだけが心配でした。
列から外れて係員に申し出て、もう帰ったほうがいいのかもしれない。でも、変に特別扱いをしてくれようとされても困ります。ただ目立ちたいだけの人間だと思われることが一番嫌です。
でも倒れることが一番迷惑をかけることになるのです。
【15時10分】
予定していた時間に、サイン会が始まったようでした。パーテーションの向こうから、メンバーの声が漏れ聞こえてきます。
顔面蒼白だろうなとうんざりしながらなんとか平衡感覚を失わないよう一歩一歩慎重に進みました。整列用のポールがところどころに配置されているので、それにしっかりつかまってこらえました。
もう、ダメかも、と何度も思いましたが、やっと順番が回ってきてくれました。
ここで電子チケットはスタッフの手によって「完了」と表示が変わり、口頭でスマホをしまうように注意を受けます。
今回私の前に並んだ方は、これから特典会に参加するというのに、浮足立ったところが一つも感じられない、このまま会社に向かってもおかしくない落ち着いた格好をしていました。
オタク感ゼロの服装。こういう感じ憧れる。
髪や服装はメンカラに侵されていず、メンバーデザインのTシャツも身に着けていない、もちろん肩に痛バッグもさげていない、無駄に巻き髪でもなければ、イタさが微塵もない、その辺にいるお姉さんです。
だから余計に、真田くんに何を言うのだろう、と気になりました。
順番になり、すっと真田くんの前に歩を進めた彼女は、SNSに投稿してほしい内容の要望を落ち着いた声で的確に伝えていました。
す、すごい・・・
真田君も、嬉しそうな声で「逆に○○がいいですか?」と質問していました。
また彼女は的を得た一言で返しました。
すげー!真田くんを前にして、きちんとした会話が成立している!
なるほどこういうことを伝えればいいんだ、とこの期に及んでやっと学んだ私。
でも順番はもう次なのです。
もちろん私は何も考えていません。「無」の状態です。
スタッフの方にどうぞ~と促されパーテーションの中に入るとそこに、光の塊が座っていました。
ま、まぶしい。
目がやられたままの私は、おずおずと神の前に進み出ました。
せっかく直接声を届けられる機会に、何の言葉も用意していない愚民。
透明アクリル板越しの真田くんは、今日もさっさとサインを書き終え、顔を上げました。
私が何か言うのを明らかに待っています。
何も言わない人用に毎回用意している鉄板「風邪ひかないでね」と優しく言いながら卓上をすすす・・・と指先でサインを滑らせてきました。
前回同様アクリル板の下には隙間があります。
なぜか手も出さない私に、苦笑しながら、これどうぞ、とわざわざ言ってくれる優男ぶり。
そこでやっと金縛り状態から解かれた私はありがとうございますと震える声でいい、どうにか勇気を振り絞って「あの、がんばってください。」と変な声を出しました。
いやもう十分すぎるくらいがんばっている人に、何と芸のない一言。しかも神に対して「がんばって」とはなんぞや。
変な声を出したばかりの口からもう後悔の溜息が漏れました。
真田くんは、こいつしゃべったーというリアクションで目を上げ、ビブラートのかかった優しいイケボで、「ありがとう。いつもありがとう。」と笑顔で送り出してくれました。
いや、笑ったかどうかわかりません。
すきっ歯が覗いたので勝手に微笑みかけてくれた~と私が好意的に受け取っているだけに違いありません。
神は実在し、愚民の前にその姿を現し、御手でサインし、その色紙までを与えたもうてくれました。
あ、ありがとうございます!
そういえば真田くんは私とのサイン会中、スマホと身分証しか入っていない私のミニバッグをじっと見つめていた時間がありました。
「こんなバッグにこの色紙が入るわけないやろ」と冷静に考えていたに違いありません。
しくりました。
そうです。愚かな私は帰りに色紙を持ち帰ることなどすっかり忘れて、出来る限り体力の消耗を控えるべくミニミニバッグをぶら下げて来てしまったのでした。
畏れ多くも神のお言葉を手にぶらぶら下げながら、ふわふわした気持ちで家路を急ぎました。小さめの色紙で助かりました。
家に帰って落ち着いて飲むビール。
体調が悪いせいもあって、おいしくない・・・
いやしかしそういえば、貧血どこ行った?朝から悩まされ今にもぶっ倒れそうだったのに、30分もかけて徒歩で帰宅できるくらい体力が回復している自分に驚きました。
すべて、真田神のおかげです。
そして今回は、前のサイン会よりもずっと時間に余裕があるように感じました。前は自分の前の人が時間をたっぷり使っていたので、自分は早くしなきゃと焦っていました。私に剥がしなんて必要ないのです。どうやら制限時間いっぱいになると「時間です」と声をかけられるらしいのですが、私は聞いたことがありません。
翌日、FC動画がUPされました。14日に始まる秋ツアーのリハーサルの模様です。真田くんはいつにもまして大活躍している様子です。
真田くんは市井に紛れられない人だろう。どんなに隠そうとも、その輝きをすべて覆い隠すことはできません。地面から数ミリ浮いてるんじゃないかと思うくらいのオーラを放っています。
こんな偉大な方の前に、顔面蒼白、皺のよったワンピ、足元はつっかけで立ち、がんばってと告げたバカ。恥を知ります。
「ツアー楽しみにしています」
「どうかお体大切に。無理しすぎないてくださいね」
「また舞台に出てください」
「最近なんの映画見ましたか?」
「天然パーマ生かしたヘアスタイル素敵です」
「真田くんのダンスが大好きです」
いやいくらでもあったのに。
前回はオタクの戯言に付き合う真田くんは見たくないと思った。
でも今回前に並んでいた方の進言を冷静に受け止めていた声を聞き、もしかしたら神も時には下々の声を直接聞く機会を持ってやってもいいと思っているのかもしれない、と思えた。
七福神が集結して開かれた一大イベントを有意義なものにするかは、民度に委ねられています。
もちろん自分なんてまだまだ神に直接口を利く人間に値しない。もっと心身ともに鍛錬して神の前に出ても恥ずかしくない人間になりたい。
どうか神様、もう一度私にチャンスをください。
次こそは体力を万全に整えまともなことを伝えられるように。
どうか、もう一度だけ。
いつもすてきな夢を見せてくれてありがとう、とお礼を伝えたいのです。
図々しくまだ夢見る私である。