『キルミーアゲイン'21』上映会&トークライブ
発光体"真田佑馬くん"とともに。
2022年11月12日
新宿駅で降りて、グーグルが示してくれる通りに道を進むと、真昼間にもかかわらずいかにもホスト然とした人とすれ違う。
「本当にこっちであってる?」不安になる。
ALTAや東急シネマのすぐそばなのに、路地を一つ入ればこんなにディープな空間が広がっている。怪しげな店が立ち並ぶ一角に今日のイベント会場「ロフトプラスワン」はあった。
トークライブなんて生まれて初めて。
どんなものかと恐々足を踏み入れる。
ドリンク代600円を入り口で納めて会場に入ると、入って左手にステージがあり、その前には丸椅子がぎっしりと並べられている。左右は桟敷席とテーブル席になっていた。「とりあえず席を確保してからドリンクコーナーや物販へ行こうね」と鹿殺しさんからツイッターで事前に案内されていたので、それに従う。
ツイッター上でも募集していたが、会場内でも質問を募っており、BOXにはかなりの量の質問が集まっているようだった。
ドリンクを取りに行ったら、なんとお酒も注文できる!
え?真田佑馬くんと乾杯して、お酒を飲みながら一緒にDVDを鑑賞できるんですか??!
えっ?!いいんですか??
物販でグッズを買い足したりしてソワソワ待っているうちにさあ時間である。他の登壇者とともに、どかどかと階段を下りて現れた真田くん。さっきたしかに自分も下りてきた何の変哲もない階段までもがキラキラ輝きだした。そして見たのである。
”神真田”が登場した瞬間、会場全体が「ハァ〜ン」と撃沈するのを。
真田くん、発光してる!
そんなことは全員が知っているのだが、いやでもここまでとは。今日のイベントでこれまで認識していた明るさレベルを数段階上げたはずである。
ステージ上には縦2列でパイプ椅子が用意されており、上手右後方からメガマスミさん、長瀬さん、前方にチョビさん、真田くん、スクリーンを挟んで下手に丸尾さん、コバケンさん、後方に前川さんが着席。
上手端から自己紹介が始まり、「劇団鹿殺しの〜」を付けて話す流れから、
真田くん「劇団鹿殺しの真田佑馬で〜す!」と自己紹介して笑いを誘うと、
即座に丸尾さんが「7ORDERの丸尾丸一郎で〜す!」と被せてくれた。
あれ、最近どっかで聞いたわと思ったが、9月24日に行われた北九州ロックフェスティバルであった。
樽美酒「どうも~7ORDERです!」
安井くん「どうも、ゴールデンボンバーです!」
キルミーアゲイン‘21は、東京と大阪で上演された舞台。
2021年9月30日(木)~10月10日(日)
@紀伊國屋ホール
2021年10月15日(金)~10月17日(日)
@大阪IMPホール
出演者も、え?あれいつだった?1年前?もう?!
どこだっけ、本多劇場だ。ああ!紀伊國屋だった。とすぐには思い出せないくらいになっていた。(本多劇場は初演時の会場)
ステージにビールの小ジャッキが配られると、乾杯前だというのに二口くらい飲んじゃって会場に笑われる真田くん。
「おい!新人!」とチョビさんに都度怒られるも、
平然と「空気読まないんで」と答える大物ぶりを発揮する。
ステージ上はさながら動物園の檻の中。
我々はパンダサナダを心ゆくまで鑑賞して良いのだ。
入場料を払えばこっちのもん。不躾な視線を送っても失礼にはあたらない、生の真田佑馬を観察しながら3時間弱いっしょに過ごせる贅沢極まりない神イベント!の始まりである。
「カンパーイ!」
真田くんといっしょに乾杯したお酒の美味しいこと。いや実際味なんてしなかった。超希少生物を前にして、テーブルのない丸椅子組は、プラカップに入った飲み物を手に持っているか下に置くしかないのだが、こぼさないよう常に緊張感を持って座っていた。
オーディオコメンタリーを公開収録しているような感じだが、途中早送りをするので、初見の人には舞台のストーリーがいまいちわからないかもしれない。途中、気になる場面では停止して、トークが挟まれる。
藪中の登場シーンから始まるキルミーアゲイン。真田くんは客席から登場する。
・本当は客席でもセリフを言う予定だったが、コロナ禍で断念した
1年経って改めて当時の裏話を聞けるのが嬉しい。
ステージに上がり藪中のひとり芝居が始まるのだが、藪中は芝居が下手な設定だったから、あえてあんな風に演じてもらったと説明が入る。初見では置いてきぼり感半端なく不安になったが、チョビさんも「ここみんな不安になったよね~この調子で続くの?って」と客席に投げかけていたが、まったくその通りだった記憶が呼び起こされる。
・真田くんには「劇中劇ではとにかくわざと下手に、ダンスも踊れないように」と演技指導していた。
当たり前に出来てしまうことを出来ない様に演じるのもまた大変だったことだろう。でも歌だけは他が下手だから、「8:2で佑馬、いや9:2で!」とほぼ任された状態だった。確かに歌のシーンは真田くんの歌声しか聞こえなかった。
・帽子を斜めに被っている高校生藪中の裏設定は、(ポケモンの)「サトシ」だった。
ほぅ~。そうだったのね。
まあそんなことよりも、そのキャップの前面に”GOOD LOOKING”と書かれてあるのが気になっていたので、その小道具が用意された経緯なぞお聞きしたかったのだが、残念ながら触れられることはなかった。
でも、ずっと疑問だった”藪中の担当はなぜドラムだったのか”がやっと判明した。
・「重くて運ぶのに大変そうな楽器」というだけで太鼓を担がされていた
私は再演だから時間がなくてドラムを選択したのだと予想していたのだが、全く違った。
本当はサックスをやりたかった真田くん、何度か要望を伝えて粘ったけど、返ってくる答えは「太鼓で」だった。なぜなら、とにかく重くて運ぶのが大変なものにしたかったと。
真田くんは「初演で藪中はチューバを演奏していて、自分も管楽器をやりたかった。なんなら自腹でいいからと伝えた。この機会にサックスをやりたかった。バリトンの大きいやつ」と力強く語っていた。
舞台の終盤でメインの演奏シーンが入るから、20キロのドラマセットを担いでの演奏は体力的にもきつかっただろう。舞台中コルセットをしていたそう。またドラムが入った箱は、実際は中身のない軽いものと2つ用意されていたという。
・藪中の衣装Gジャンの下に着た白のタートルセーターは袖なしだった。
上演はまだ秋でとにかく暑かったので、袖はカットしていたそう。しかしこの35才薮本の服装、デニム上下に白のとっくりセーターって改めてクソダサいな。
・”訛り”でことごとくダメ出しを食らう
東京出身:真田くんが懸命に訛ろうと頑張るも、「それは違う」。架空の村のはずなのに、関西出身の劇団のせいかあくまで関西っぽいイントネーションと方言を求められたらしい。
・おニン魚のカツラは男性陣で取り合いだった。
「本当は梅ちゃんのカツラが良かった」真田くん。カツラはとにかくボリュームをダウンしてほしいとリクエストしていたそう。
「ただでさえ頭でかいんだから」と自虐して会場から笑い声が起こると、すかさず「今笑った人―!あとでパセラに来い」とオコして見せる。
・丸尾さん「佑馬本当に良い奴なんだけど、悪いとこってあるの?」
マジのテンションで客席に問いかける。悪いところなんてあるわけないの甘々の空気の中、真田くん自ら「お腹が悪いです」と訳の分からない回答をする。お腹が弱いってことだろうけれど。
そしてまた客席に向かい、「いま悪いとこ言ったやつ、パセラ来い!説教だ。3時間説教」と言い放つ。
パセラネタは何度か繰り返したのだ。
佑馬の好きなところは、「こういう格好させられるとわかってて、脱毛したり筋肉をバキバキに仕上げてこないところ。」と丸尾さん。
そうだね、ちょっとプニプニしてるねみたいなことを共演者の皆さんに言われていたが、えっ?そう?無駄な贅肉のない自然な筋肉で仕上がった上半身、めちゃくちゃカッコいいのに〜。
真田くんは、逆にこの後脱毛に通い始めましたと言っていた。
途中、質問箱からランダムに選んだ質問コーナーも挟まれる。
質問『タイトル"もう一度、殺してくれ"にちなんで、もう一度○○するとしたら?』
真田くん「小さいころにやった習い事をやり直したい。最初にECCジュニアをやって、その後水泳を始めて平泳ぎでつまずいて、そろばんと暗算を始めて、3級からしか履歴書に書けないから、合格するまでやめさせてもらえなかった。そろばん3級、暗算2級を取ったけど。そろばん、使わん!そろばんと暗算に小学生時代をそそげてきたので…」
丸尾さん「え?そそげて…?」
しっかり丸尾さんが拾ってくれて良かった。
「捧げると注ぐが混ざっちゃった」テヘ
今日も安定に言い間違えてくれる。
でも、そろばん、使わない?
私自身も習っていたけれど良いことしかない。
買い物をしていても税込み額まで瞬時に計算しながらだから、会計時にえ?っと慌てることもない。友達と会食しても割り勘額は実は一円単位まで把握している。数字を見ればつい頭の中の算盤をはじいている。
めっちゃ使うよ~!
幼少時からピアノなど音楽の習い事をしていたかったなぁ、な真田くん。
丸尾さん「今やってる楽器はいつからやってたの?」
「ギターは17とかからです。」
その年で始めた楽器を使い、今その好きなことを職業にしているのだから、めちゃくちゃ凄いのに。だって小さい頃から習っていたら、もしかしたら嫌いになっていたかもしれないよ?むしろ10代終わり、好きなことや苦手なこと興味のあるもの自分をよくわかったうえで始めたからこそ夢中になれたのではと思ったりした。
質問『おニン魚を演じるにあたり、イメージした人魚がいたら教えてください。』
長瀬さん「きゃりーぱみゅぱみゅ」
真田くん「アリエル!」当たり前でしょ?な口調であった。
丸尾さん「浅野温子」
丸尾さんのカツラは確かにストレートロングだったけど、オンザ眉毛の前髪で決してワンレンではなかったが。
入り口でBINGOカードが配られていたので、BINGOをやるのかと思っていたが違った。それを使って5択のクイズが行われた。
「Q1:初めておニン魚の衣装着用時の真田くんの一言は?」
「Q2:竜宮城に登場しなかった海産物は?」
「Q3:長瀬さんの驚くべき早替え技は?」
「Q4:メンテナンスが大変だった海産物は何?」
「Q5:“めめこ汁”とはどんな郷土料理?」
1問目の5択は確か、
①「可愛い」
②、③は忘れてしまった。
④「山ガールみたい」
⑤「北京ベルリンダブリンリベリア」と歌った
だったと思う。
正解は、4番の「山ガールみたい」であった。たしかにどっかで言ってた気がすることを今さらながら思い出した。なのにその時の自分、5番の「北京ベルリン・・・」を選んでしまっていたのだ。だってあのカツラ、パフィーみたいにボリューミーなカーリーツインテールだったから。
1問目から外した私はしょんぼりだったのだか、真田くんは、「ここで当たらなかった人は俺のことよくわかってない」と発言した。たしかに言った。しかしその後すぐに「安心してください。5択全部俺どっかで言ってます」と支離滅裂なフォローをしてくれた。いや「♪北京ベルリンダブリン」をどこかで?ぜひとも聞きたかった。
キルミーアゲインは、東京公演が終わりその後の大阪公演では真田くんのカツラがしっとりしたものになったと噂には聞いていたが、ボリュームに調整が入ったらしい。私は東京公演しか見ていないのでそっちもぜひ見たかった。
おニン魚姿の真田くんは毎公演鏡の前で「ん。可愛い!」と自分に言い聞かせてからステージに立っていたことも明かしてくれた。
5番目のクイズ、めめこ汁の回答が発表されるとき、真田くんはめちゃくちゃ嬉しそうに被せ気味に「そんなものありませーん!」と元気に答えて、外れた奴ザマアミロ感がヤバかった。サイコパス味さえ漂った。相変わらず真田くんの点火スイッチがよくわからない。
クイズは難易度が高かったため結局全問正解者はなく、4問正解された5名が長瀬さんのサインをいただけることになった。
・♪うろこを脱いでキスしよう の曲は、男女の掛け合いソングで、バービーボーイズを意識したという。
振りは少年隊。「バキバキに踊っているのにダサい」80年代ぽさを出したかったそうだ。
・丸尾さん自身が心が空っぽになって何も書けなくなってしまったときに心を取り戻す話を書こうと生まれたのが「キルミーアゲイン」だった
やっぱり藪中は、丸尾さん自身だったのだ。
・劇団が東京に出てきたときの話
最初は路上パフォーマンスをしていたから、警察には指紋をめちゃくちゃ取られている。そのたびに偽名を言っていた。
佑馬は知らないよね、と話を振られたが、真田くんは丸尾さんの本「さよなら鹿ハウス」を読んで劇団の歴史もしっかり履修済であった。
このトークイベントで改めて判明したが、真田くんはこの舞台で「出来ない、下手、ダサい」の三重苦を徹底して求められ、その高い演技力で全うしたにもかかわらず、舞台上でキラキラ眩しく輝き続け、観る者を夢中にさせた。そんな、奇跡の舞台だった。
20代最後、生の真田佑馬は、キラキラ眩しかった。
左足を組んで斜めに座り、グレーのジャケット、白の無地Tシャツの胸にはサングラス、黒のデザイン性のあるパンツは下にチャックが付いて、フレア使用にもできる感じだった。真っ白靴下に真っ白のハイカットスニーカーの紐は綺麗~に縦に結ばれていた。
足元にグラスを置いて、時々グイっとビールをあおるのだが、マスクをしたままなので全体の顔を拝めるのはその「グイっ」の瞬間だけ。トーク中ずっと目しか見えてないのにこのオーラ。
目の前に生きた真田佑馬がいて、足をゆらゆら動かしたり、ギターを奏でるように指を動かしたり、笑ったり、飲んだりしてるんだよ。え、この発光体はどんなに眺めても見飽きない。
最後に「新宿に進撃の巨人」「新宿に進撃の巨人」と早口言葉並みに二度言って、ステージ天井に頭が引っ掛かりそうな細かい小芝居やりながら移動し、両手で元気よく「バイバイ」しながら爽やかに去っていった。私たちに溶けない魔法をかけたまま。お蔭で我々会場を出てもずっとふわふわ浮わついてニヤニヤしていたと思う。
キルミーアゲイン’21の1年ぶりの同窓会に参加させていただけて、とってもとっても楽しく心弾んだ3時間でした。
真田くんの20代最後の出演となった舞台『キルミーアゲイン'21』のDVDはこちらから購入可能です。
パンフレットや上演台本、舞台写真もまだ購入できます。お人魚Tシャツもまだ在庫がありました。
上演当時の感想。
そうえいば、初演時丸尾さんの台本が仕上がったのが上映開始1週間前で、犯人役の方は「えっ、自分が犯人だったの?」と非常にびっくりしたという。意外な犯人に驚愕させられる、ミステリーとしても楽しめる舞台だったなぁ。
勝手に綴っていた考察も浮かばれた気がしました。
丸尾さんは、真田くんのことをすごく買ってくれている、真田くんが天に選ばれし人間である事がわかっている人だ。
キルミーアゲインのパンフレットの、丸尾さん×梅津さん×真田くんとの対談内でもその点には触れられている。真田くんは照れ隠しか褒められると必ずちょっと自虐で受け流すけれど。
カテコで毎回チョビさんに「皆のアイドル、真田佑馬~!」と紹介される真田くん、良かったなぁ。ステージに居る真田くんはマックスに輝いている。上映会では特に触れられなかったけれど。
そろそろどんな誉め言葉を言われても照れずに「まったくおっしゃる通りです」と受け止めるスタンスを取っていくのはどうだろうか。阿部顕嵐くんみたいに。
真田佑馬も、もっともっと奢っていい。自分をどんどん肯定していこう!
そんな30代を過ごされることをお祈りしています。