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宵宮の 夜に子どもが はしゃぐ夜 えびすの神は 商い上手し
「こんなに多くの人が」うわさには聞いていたが、本当に多くの人が夜の神社に集結している。普段は静かで、人がいるのかいないのかわからないようなところなのに。今日は「商売繁盛」という言葉を連発した大音響が聴こえ、人の多さをさらに盛り上げようとしていた。
「お店にも多くの人が」屋台のプロフェッショナルといえる的屋さんの前には多くの人がいて行列ができている。それも若者や子供が多いのが目立つ。
「夜だから学校帰りか」若者や子供たちがやけにはしゃいでいた。お正月よりも楽しそうだ。
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「それは多分だがな」「うん?」突然話しかけるものがいた。振り返るとスキンヘッドで仙人のような白いあごひげを長く伸ばした杖を持つ老人だ。
「誰?」「心配するな、恐れる必要はない。名乗るものではないが、なぜ子供たちが楽しそうにしているのかわかるか?」
老人が質問をしてきた。「さあ、にぎやかだからでしょうか?」適当に答えると老人は嬉しそうな表情をして笑いを抑えようとしてる。
「クックッ!賑やか、それだけではないな。ヒントを教えてやろう。今日は何日かな」
「え、え、10日だ、十日戎というくらいだから」そう答えると老人は静かに頷き、「その10日前に子どもたちはどうしていたかな」
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「え、10日前はお正月、子供たちは休みだが、あ!」ここで思い出した。子供たちはお正月にお年玉をもらうということを。
「さよう、だから子供たちはお金がある。10日では使い切れないと思うがなな」「うーん、ああ、それで的屋さんにみんなお金を」
「そう、的屋がなぜこんなに賑やかなのかわかったかのう。商売繁盛の正体もな。お年玉はそうだが、それにつれられた大人は」
そこまで言うと、老人は指を回すようにさした。その方向に視線を合わせてみると、大人たちは縁起物の福笹などを購入している、指が回っている方向には戎社があるが、そこには驚いた事に紙幣を出している人すらいた。
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「つまり、商売繁盛の正体は」そう言って老人を探すがすでにいない。
「だれだ、まさかあの老人ってえびす神か?」ふとそんなことを考えて、もう一度縁起物のコーナーを見た。そこにはえびすの顔が付いた縁起物があったが、先ほどの老人とはまったく違う顔だ。
「さ、さすがにそれはないだろうな」と、ひとりで笑う。直後に短歌が頭に浮かんだ。
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宵宮の 夜に子どもが はしゃぐ夜 えびすの神は 商い上手し
(よいみやの よるにこどもが はしゃぐよる えびすのかみは あきないうまし)
今日の記事「河内長野の長野えびす宵宮の様子」を参考にしました。