「虚像への偏愛」 田川 弘PYGMALION
5月に発売されました『Pygmalion女子フィギュア惑溺仕上げ』
初めて完全ソロ編集した書籍になります。
この本の紹介をずっと書きたかったのですが、どうしてもうまく纏まらず…
今回、かなり稚拙な文になりますが、どうしても伝えたくて。このnoteを書きました。
長文なので読んでくれる方だけお進みください!
田川さんとの出会い
田川さんと出会ったのは2015年、一方的に田川さんのWebサイトやSNSを見て「はーっすごいなぁ……」というのは思っていたんです。
私はお恥ずかしいことに1/20スケールでスキャンフィギュアにもなってるので「もしかして、お渡ししたら田川さんに塗って貰えないだろうか……!?」という、今考えるととっても厚かましいお願いを田川さんにしたことが、出会いのきっかけになります。
(この時塗ってもらったフィギュアはこれ)
田川さんは嫌な顔せず、この依頼を引き受けてくださって。
その時に「いつかこの人とちゃんとお仕事をしたい!」と強く思ったのです。
(その時ワンフェスで撮ってもらったミニミナミと3ショット!)
最初のお仕事は雑誌の記事
そんなこんなでも、わたしはスケールモデルの雑誌の編集者。
中々そんな機会は訪れなかったのですが……2019年春。
アーマーモデリングで「女性フィギュア特集」をやることになりました。
この時に、なんとしても田川さんの作品を誌面に載せられないか。
と考え久しぶりに田川さんにメッセージを送るのです……。
初めての「コラボ」
田川さんに突撃連絡をしたところ、記事の掲載についてもご快諾をいただき、無事にアーマーモデリングは発売(めっちゃ売れて品切れになった)
たった4ページの「コラボ」ですが、すっごいゾクゾクしました。
この人、作品も作者も本当に興味深い……!!
田川さんの作品でもっともっと本を作りたい……っと。
「なんとか田川さんの単行本を作れないか?」と考え出したのです。で、そう思ったら行動は早いもので
(なんですぐ行動にうつすようになったかは、下記のnoteに書いてあります)
「本を作りませんか?」とオファー。
OKをもらって速攻で企画書……という流れになったのでした。
大切にしてる「取材」
もちろんね、田川さんの作品は素晴らしいです。でも、ただただ何も考えないで作品だけを載せるのはイヤ。ちゃんと「編集」した本を出したい。(このポリシーはスケビの石塚編集長から受け継いだ精神です。)
そこで、もっともっと田川さんを知ること! それが最初のこの本の私流「編集」のはじまりです。
田川さんってどんな人なんだろう。どんなことを思って作品を作ってるんだろう?
というのを、ご本人に取材したり、Webサイトや過去のSNSの投稿を見まくったりしました。
ちなみにこれは私が本を作る上で1番大事にしてる部分で、作品ももちろんですが、著者(作者)をよく知ってから本を作りたいんです!
いっぱい田川さんと話して、作品を見て……
この本を作る上で、いちばん強く、みんなに伝えたかったのは
「田川さんの想い」
です。
自身が生み出す子を愛し、慈しみ、時には涙して作品を完成させる。
いや待って……フィギュアペインターから、そんな話、聞いたことないぜっ! 泣く?!涙するの?!なんでよ!?
……と、どうしてもこの部分を強く、強く伝えたいと思いました。
これが本のテーマが決まった瞬間でした。
目指した道と最高のチーム
そのあとも田川さんと色んな話をするなかで「いわゆる一般的な模型本〝じゃない〟ものにしたい!」と、意見が一致。装丁や見せ方などもデザイナーさんと相談し、めちゃくちゃこだわりました。
そしてもうひとつ
「きちんと、ライターさんに文章を書いてもらおう」
という事にしました。
誤解を恐れずに言えば、田川さんしかり、表現者の方(って言葉が安っぽく聞こえるからあんまり使いたくないんだけど、他にいい言葉が思いつかない)たちは、言葉ではなく、作品自体で「想い」や、自分の本質的な部分を語るので、言葉にするのが苦手な人が多い印象。
よって誤解も受けやすい……
それなら、ちゃんと文章のプロに、田川さんの想いを執筆してもいたくて。
榊さんにまるまる1冊、すべての原稿を依頼しました。
(左から榊さん、田川さん、私。2020年2月某日、取材の日)
イタコなの?!榊さんのノリウツリ芸
榊さんとともに、田川さんに会い、たくさん話をしました。この本で榊さんが綴る素敵な文章。まるで田川さんが榊さんにのりうつったかのように、田川さんが言葉にできなかったことが「言語化」されていきました。
(余談ですが誰に文章を頼んだらよくなるかな?とか、そもそも文章を頼むのか?などなど。そんな事を自分で考え実現させるのも編集者の面白いところだと思っている!)
今回は相性ピッタリ。お互いをリスペクトして、田川さんが榊さんの「言語化」された自分の想いを読んでウルウルする場面も。
こうやって1冊の本がどんどんかたちになってゆきました……!
もちろん田川さんの塗装のHow to も入れてます。
本の中身は、田川さんがファンの方にいちばん聞かれる顔の塗装をメインにしました。
特に田川さんのお家芸である「まつ毛」の植毛は絶対に入れたかった……!
田川さんはこの本を作る時「秘密にすることは何もない。すべてを出します」と言ってくださいました。
なのでAmazonのレビューにもある「肌と顔の塗装しか載ってない」っていうのは、田川さんのせいじゃありません。私の責任です。
編集者が限られたページ数での構成を考えた時に、たくさん考えてたくさん考えて、こういう本になりました。
How toについては……
これもAmazonレビューにあったんですが「これから塗りを始める初心者はどう塗っていいのか全く参考にならない」という意見も聞きます。
ぶっちゃけ、女性フィギュアを初めて塗る人が、田川さんと全く同じように作るのは無理です。
いや、初めてじゃなくても難しいです。
おいっ!この本を編集してるやつが言う言葉かよ!って思われるかもしれませんが、だってこれが本当だもん……。
でも、川口名人の言葉を借りれば
本当にそうだなって。知ってたらこんなことも出来るかもしれない。あんなことも出来るかもしれない。
だから、この本を読んで少しでも自分の塗装のヒントになったり、塗ってみたいな、っていう気持ちを持ってもらったり、はたまた作品集のように眺めていただいたり……いろんな楽しみ方があるんじゃないかなって私は思うんです。
田川さんも「書籍は読者に読んでもらって、語り継いでもらえるのが最高の完成形だと思います。なので、まだまだこれからですが、それに相応しいものに仕上がっていると自負してます」と言っていました。
編集した私も同じ気持ちです。たくさんの人に読んでもらいたい!
ぜひあなたのおうちに一冊、PYGMALION女子フィギュア惑溺仕上げ をお迎えしてあげてほしいです。
最後に
この本はソロ編集したって書きましたがたくさんの方に、本当に本当にたくさんの方にご協力いただきました。
この書籍のためにフィギュアの原型を作り起こしてくれたアトリエイットの林さんはじめ、原型師の方達。友情出演していただいたmamoru、さん、ISWAAさん、おまちゃん、村上さん……!それ以外にも本当にたくさんの方に協力してもらいました。
本当に本当にありがとうございました!
もしこのnoteを読んで、少しでも興味を持った方は、ぜひこの書籍をお手にとってみてください。
最後まで読んでくださって本当にありがとうございました。
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