ファッション業界に横たわる「製造側」と「ファッション側」の知識のキャズムの一例
AYATORIに夜中に寄稿しました。↓
ユニクロやZOZOが採用して知名度がたかまった「ホールガーメント」というセーターとそのホールガーメント編み機の企画製造販売を行う島精機製作所を例に挙げて、繊維・ファッション業界の知識差について書いてみました。
ファッション関係者は一体成型のホールガーメントのメリットについてだいたい次のように説明します。
1、一体成型で縫い目がないのでフィット感がある
2、縫い目がないので着心地がイイ
という2点ですが、残念ながら両方とも真っ赤な嘘です。
ではどうして嘘なのかを考えていきましょう。
まず、1ですが、縫い目がないからフィット感があるという理屈ですが、ホールガーメントは別にピタピタのタイトな形だけを編むわけではありません。今のトレンドならルーズシルエット、オーバーサイズのセーターを編みます。ルーズシルエット、オーバーサイズに「フィット感」なるものは必要ありません。そもそもフィットしていないのですから。(笑)
次に2ですが、縫い目がないので着心地がイイ、肌に優しいという類ですが、肌着類ならまだわかりますが、セーターを着る際、普通は肌着やTシャツ、襟付きのシャツの上から着ます。素肌にセーターを着る人はほとんどいません。「童貞を殺すセーター」くらいでしょうか。ですから、縫い目があろうとなかろうと着心地は左右されませんし、肌に直接触れませんから優しいもクソもありません。
両方とも製造に詳しくないファッション関係者が考えたフィクションに過ぎません。
ホールガーメントの本当の利点は、
1、通常のセーターではできないデザインやシルエットが可能になる
2、リンキングが不要になる
この2点です。
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