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【感想】さよならのつづき

有村架純可愛い。
生田斗真イケパラ中津感。
坂口健太郎ハマり役。

ただのラブストーリーかと思いきや、さえ子と婚約した雄介が事故死し、心臓に病を持つ成瀬に臓器提供。その心臓を持った成瀬が出会ってはいけないさえ子と出会い、好きになるという話。

"まるでドラマのような"展開。
成瀬は既婚者で、妻の美樹さんからしたらこれまでずっと看病して、病気でも愛して結婚したのにふざけるな!というところだけれど、みんな辛い思いをしているから誰も憎めない。なんともむず痒い。

ハワイでの奇跡が素敵すぎる。あんな出会いしてみたい。奇跡って偶然をそれっぽく言ったものだからというさえ子の言葉よかったな。奇跡だけど、辛くて落ち込んでる時に自分の殻に篭りすぎず、前を向く姿勢があるからピアノの音が耳に入って、楽しそうに演奏をする雄介が目に入って出会うことができた。私は営業失敗してもああいう風に落ち込むタイプではないけど、辛い時にああやって外に目を向けない人。たぶんどれだけ良い音が鳴っていても自分が「良い音を聴きに行こう」と思わないと、音が入ってこない。だからああいう外での出会いってなかなかない。都心部に住んでたらさ、みんな数人は有名人に遭遇してるんだけど私ってほぼないのよ。多分そういうことで、あんまり見てないんだよね。だからあれができる人がすごく羨ましかったりする。

あまりにも可哀想すぎる事故。
婚約した数分後に婚約者が亡くなるなんて、誰が想像しただろうか。自然災害の怖さを改めて感じる。コウノドリで交通事故に遭った妊婦さんが咄嗟にお腹の子を守って、赤ちゃんだけ助かったということがあった。自分より大切なものって本当にあるんだねという言葉は、自分が娘を産んだ瞬間に私もそう感じたから、すごく印象的で覚えてる。雄介はきっと、さえ子のことをそう思ってたんだろう。タイタニックのシーンも思い出した。

臓器提供された成瀬。
身内だったらそんなに嬉しいことはない。あの時二人で「いいねぇ」と見た花火があの花火だなんて、残酷すぎるのだけど。自分が見た美しい景色は、誰かにとっては美しくない景色なのかもしれない。万人が美しいと思うものでも、誰かにとってはトラウマで目を瞑りたくなるものなのかもしれない。

あれは突然の事故で臓器提供する権利は雄介にしかなくてさえ子にはどうしようもできなかったけど、もし自分の家族がマルにしていたら、植物状態になってしまったら、私はどういう選択をするのだろう。もし自分が当事者なら、植物状態の自分なんかいても仕方ない。亡くしたくなくとも、生きていても仕方がない。だから気持ちに区切りがついたらさよならして、誰かを救えるなら救ってほしい。と思うけど、マルはつけられていない。

でも夫がそうなったら。娘がそうなったら。意地でも渡したくない。本人が願ってたとしても、絶対に嫌だ。喋らなくてもいいし諦めないといけないことが10個あっても100個あっても、生きていてほしいと思う。

自分に置き換えて考えてしまったら、涙がとまらない。

二人とも人柄が滲み出る手紙。
あなたのことを助けにいきたいとさえ思う。勝手だけれど心がそう思ってしまうのです。さえ子はその言葉に救われただろう。私ももしあんなお手紙をいただいたら毎日見るな。

さえ子はとても前向きな人間だと思う。ちゃんと仕事をするのも、一人であんな風にコーヒーを淹れられるのも、すごいと思った。私だったら、インスタントのコーヒー飲むので精一杯だろうな。お湯でさえ沸騰させず、ウォーターサーバーの70°くらいのお湯使うんだろうな。

ひとつひとつ紐解いていって、いつ二人が気づくのだろうとドキドキしっぱなし。辛いんだけど、辛いんだけど、甘酸っぱい恋物語を見ている気分で、途中のシーンは心穏やかに見ることができた。でも結局、離婚して付き合うなんてことはないんだろうなと確信してた。踏み外してもそうはならないんだろうなと。推察力があるとかじゃなく、有村架純の表情がそんな感じだった。演技力すごいなと思った。いろんな表情を見せる有村架純は魅力的。最近、すごく好き。

健吾と喧嘩するシーンは辛かったな。
どちらもいけそうなお顔だなとは思ってたんだけど、想いには全然気付かなかった。最後の、次は同じ人を好きにならないようにしようねで、そうだったのかぁと。花火を用意してあんなニコニコ対応してた裏にそんな感情があったのかぁと、胸がきゅっとなった。

命に関わるとか、それきっかけで人と人が交わる感じとか、小説のような綺麗なセリフとか、構成全体がfirst loveとあまりにも似ているから、ずっと比べてしまっていて。あっちは「五感を刺激することで思い出すことがある」って実際分からないけどそれっぽい感じがする。でも心臓が覚えているって…。途中まではそうかそうかぁと見てたけど、図書室でセリフを一言一句覚えてるのはさすがに無理があるだろうと感じて。いや、ピアノでだいぶ???となったけどまぁまだ目を瞑れてた。だからちょっと感動は薄れてたわけ。

でも最後の最後で成瀬がハワイに行く途中に美樹さんがかけた電話でグッときた。愛してるからと美樹さんが言葉にしてくれたおかげでなんかすっきりした。すっきりした直後に辛すぎるシーンがあったけど。言葉を詰まらせてるシーン、辛かったなぁ。あんなの、言えないよ。

りんご収穫の取り付けも良かった。作中では言われなかったけど10月6日が命日なんだろう。毎年会いたいって。なんか、こんなこと言うのはよくないかもしれないけど、ああいう他の人には説明できないし理解されないけど、当人同士だけ理解できる関係っていいなぁって思った。意図的に作ることはできない、不思議な関係。不思議というか変な関係。変だけど一生の親友になるんだろうな。頻繁に会わないし普段連絡も取らないんだけど、親友。

最後の美樹さんと、直接的表現をしなくても伝わる日本語の奥ゆかしさとか美しさみたいなものがすごくよかった。

first loveと比較するとどうしても現実性がなくて微妙だなと思ってしまうけど。美しい作品でした。

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